アラニンアミノ基転移酵素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
テンプレート:Enzyme テンプレート:Protein アラニンアミノ基転移酵素(Alanine aminotransferase, ALT, テンプレート:EC number)は、GPT(Glutamic Pyruvic Transaminase:グルタミン酸ピルビン酸転移酵素)とも呼ばれ、ピルビン酸とグルタミン酸をアラニンとα-ケトグルタル酸に相互変換する酵素である。
人体のほとんどの組織に含まれているが、なかでも肝細胞への分布が圧倒的に多い。そのため、肝細胞の破壊(あるいは細胞膜の透過性亢進)の際に血中濃度が上昇する(逸脱酵素)。
臨床検査におけるALT
逸脱酵素としての性質から、血清中のALT濃度は肝障害の程度の指標として利用される。肝細胞が破壊し尽くされるとむしろ流出量は低下する。肝臓の逸脱酵素としてALTとともに知られるAST(GOT)よりも特異性が高い(肝臓以外の障害では上がりにくい)が、ASTとの比率も臨床的に意義がある。
基準値
単位は IU/l(国際単位/l)で示され、5~40程度が基準値となる。
異常値
正常ではALTの方が高めの数値を示していることが多い。肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝腫瘍などの肝疾患ではAST、ALTの上昇が特徴的であり、100以上、ときに500以上を示す。なかでも、アルコール性肝炎や肝硬変、肝腫瘍ではASTの上昇が目立ち、ウイルス性肝炎や脂肪肝ではALTの上昇が目立つとされている。