アナライザー (宇宙戦艦ヤマト)
テンプレート:Pathnav アナライザーは、アニメ『宇宙戦艦ヤマトシリーズ』に登場するロボット。声優は緒方賢一、『宇宙戦艦ヤマト2199』ではチョー。
名前の由来はanalyzer(解析器)から。
目次
概要
名前のとおり、主に調査・分析を任務とする、等身大のロボットである。全体的に赤い色で頭部を中心にメーターが多数ついており、ガミラス戦車を持ち上げるほどの怪力。足はキャタピラとなっている。電磁バリヤーやレーザー銃撃などに耐える高い耐久性を持つが、鈍い衝撃に対しては破損した描写も数度ある[1]。
酒に酔い、感情、触覚を有する。いかにもロボット然とした外観とは裏腹に内面は極めて情緒性に富んでおり、森雪に想いを寄せ、度々セクハラ行為に及んでいる。このようなロボットが作品世界内で普遍的なものなのか、それともアナライザーだけが特異な存在なのかについて、作中における説明は無い。ただ、作中でははっきりとした感情を持っている描写のあるロボットは他には登場しない。
ボディーはドームのある円柱に手足が生えた形で、昆虫のような「頭部」「胸部」「下半身」の3つに切り離し可能。顔はなく、頭部の三枚のフィンがある側が背中。酒を頭から浴びると「酔っ払う」。劇中では語られていないが、切り離した際には制御系統が分断されるため、胴体部は切り離し前の動きをひたすら繰り返す。その接合部のサイズは共通であり、胸部抜きで頭部と下半身を直接つなげることも可能。完全分離状態になった際、空中に浮遊する(『ヤマト』2話)。手首(腕)は伸縮可能、臀部にはロケットを内蔵し、推進が可能。また腕部はロケットパンチの要領で飛ばすことも可能である。
話すときに特徴的な電子音が混じり、各部の計器が点滅する。
宇宙戦艦ヤマト
病院区画のロボットとして初登場する。沖田にかかってきた通信をドアの外で盗み聞きして古代達に教えた。この頃から森雪へのセクハラ行為は行っていた。
ヤマトに召集された古代進・島大介・佐渡酒造らに強引に随伴し、自分から沖田十三艦長に能力を売り込んで現場採用の形で無理やりヤマトの乗組員となる。
普段は生活班調査・分析担当するほか、敵基地攻略などの白兵戦に駆り出されることもある。固定した配置場所を持たないが、必要に応じて第一艦橋前部左側の席に着く。
耐久性が非常に高く、冥王星前線基地攻略では、バリアを突破するために、バリアにわざと当たって股の下にトンネルを作ったりしている。また、腕力も高く、ガミラス戦車を軽々と持ち上げるなど怪力を持っている。
当初は酒を拒否していたが、佐渡から酒を浴びせられ、成分を分析した直後に酔っ払う。その後は佐渡の良き飲み友達となっている。デスラー機雷処理に酒気帯びのまま参加し、真田志郎に「つまらんところが精巧にできてる」と揶揄される。しかし、「人間の十万倍の正確さ」の自称するだけのことはあり、見事にコントロール機雷を無力化してみせた。
雪に一方的に想いを寄せセクハラ行為を度々はたらき、将来結婚するとまで言っていたが、第16話のビーメラ星での騒動の際に、古代と抱き合う雪の姿や、ビーメラ星人に叩かれても傷つかず化け物と呼ばれたことで、自身が人間ではなくロボットであることを改めて自覚する。しかし、雪に対してロボットにも人間的な博愛と自己犠牲の心があることを示した。
七色星団の戦いでは、真田志郎とともにドリルミサイルの処理に活躍した。
ガミラス本星決戦では、惑星に着水した際に衝撃で体がバラバラになってしまう。その後、真田に修理され、ガミラス本星の海や雨や大気が強酸性であることを分析した。
- 漫画版
- 松本零士の漫画では、2199年製でありながら製造番号の桁がやたらに多く、最新式にしては古いとの沖田の評に対し、“こうでないとロボットらしくないと開発者が抜かしよりました”と説明していた。
- 聖悠紀の漫画では、デザイン自体は変わらないものの、黒目があり、かなり表情豊かになっている。関西弁で話す陽気なキャラとなっており、余計なことを言ってはバラバラにされるのが常となっている。
さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち
防衛軍科学局で真田と共に勤務、謎の電波の解析にあたっていた。
都市帝国との決戦では、医務室にて佐渡酒造の助手として負傷者の治療にあたっていたが、医務室が被弾したために爆発に巻き込まれ、佐渡と共に「戦死」した。
宇宙戦艦ヤマト2
中央病院で働いていたり、技術局で真田の助手を務めていたりした。、テレザート星からの強力な電波によって内部回路が焼き切れ煙を吹き、さらに後頭部が飛んで火を噴いたことがあり、精神エネルギー波に対してはかなりデリケートである描写を見せた。
第10話では、宇宙ボタルに夢中になって作業がはかどらない乗組員を見かねて、宇宙ボタルを虫カゴに入れて乗組員に配る。しかし、この宇宙ボタルはデスラーが罠として仕掛けた金属を捕食するバクテリアであり、艦内に騒動を引き起こしてしまう。第11話では、自らも宇宙ボタルの影響を受け異常行動をとるようになり、加藤三郎が佐渡のところへ駆け込んだが、「こりゃあ真田くんの担当じゃ」と言われる。その後真田に宇宙ボタルを除去され修理された。
土星会戦においては、真田とともにコスモタイガー三座型で索敵任務に出て、敵が発する通信をキャッチし、敵機動部隊を発見した。
都市帝国との決戦時には、行方不明となった島に代わって操縦席に着き、ヤマトの操縦をこなした。
宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち
中央病院におり、相原義一が「牢屋にいる気分だった」と古代に耳打ちした際に、「相原さんは(看護婦に囲まれてて)一生入院していたいと言っていました」と暴露する。
英雄の丘に行った際に、雪のスカートをめくって雪に追い掛け回され、佐渡から「あの癖はなかなか直らんなぁ」と笑われる。
ヤマトよ永遠に
佐渡犬猫病院におり、佐渡とくつろいでいたところ、地球に降下してくる暗黒星団帝国の重核子爆弾を目撃する。
その後、敵の襲撃から逃れ、英雄の丘にいたところ、同じく逃れてきた他のヤマト乗組員と合流し、ヤマトがある小惑星イカロスに向かう。
偽地球に降り立った際には、周囲の映像をヤマトまで送信していた。
宇宙戦艦ヤマトIII
第二の地球探しという航海の目的上、活躍の場が増えており、探査ロボットのリーダーという立場にもなっている。
しかし、太陽異常による世界的規模の磁気嵐によって二度も故障したり、波動エンジンの故障箇所を調べるため胴体を強引に利用されたり、銃撃戦で盾代わりにされたりと、散々な目にあっている。
惑星ファンタム調査の際には、ファンタムから何かを感じ取り、何となくおかしいと判断して調査に反対する。物的証拠がないとして聞き入れられなかった後、コントロールルームで暴れまわってコンピュータを破壊し、コスモハウンドの発進を無理やりにでも止めようとしたが、事情を知らない乗組員達に縛り上げられる。
その後、自分の言っていることを信じてもらえなかったためふて腐れて、古代たちからファンタムの超常現象の原因を調べることを頼まれても頑として拒否したが、雪に頼まれた途端態度を変え、意気揚々とファンタムの調査に赴き、ファンタムがスーパーサイコエネルギーを発する一つの生命体であることを突き止めた。
宇宙戦艦ヤマト 完結編
ガルマン・ガミラスへ向かう際には、雪の席に着いてレーダーを担当していた。
その後、ディンギル帝国のハイパー放射ミサイルの攻撃によって乗組員が全滅し、とある惑星に落下していくとき、偶然自動操縦が働いたのを見て、「ヤマトにも命があるのか」と言った直後に壊れた。
地球帰還後に修理された模様で、佐渡の私室でくつろいでいる。ディンギルの少年がフライドチキンを奪った際には密航者として捕まえようとしたが、段差で転んで捕まえそこねる。本作ではこのシーンが最後の登場であり、それまでの作品に比べて出番が非常に少ない。
宇宙戦艦ヤマト 復活篇
ヤマトには乗艦せず、地球のフィールドパークで佐渡とともにすごしている。地球がブラックホールに飲み込まれる際は、地球に最後まで残ることを決め、説得しに来た美雪を無理やり救命艇に乗せた。
SPACE BATTLESHIP ヤマト
2010年公開の実写映画『SPACE BATTLESHIP ヤマト』では、古代が装備する小型コンピューターに移植したAIとして登場。元々コスモゼロの拡張ユニットで、コスモゼロから分離・独立して、強力な武器を備えた戦闘ロボットにも変形できる。その姿はアニメ版と頭部は似ているが、ずんぐりむっくりした体形ではなく、身長約3mのスマートなスタイル。ガミラス上陸時、戦闘ロボットとして古代たちを守るためにガミラス兵に攻撃。多数のガミラス兵に数で押されて古代に地球を託すメッセージを送り、爆発した。
宇宙戦艦ヤマト2199
『宇宙戦艦ヤマト』(以下、旧作)のリメイク作品である『宇宙戦艦ヤマト2199』では、ヤマトの自律型サブコンピュータという設定になっており、旧作のように自分を沖田に売り込むシーンは存在しない。
また、「AU09(エーユー・オーナイン)」という型番があり、「アナライザー」という呼称は型番で呼ばれることを嫌った本人が名乗ったものであるという設定になっている。
外見に関しては、腕から背中に伸びていた黄色のコードがなくなり、代わりに背中にスラスターを備えた箱状の突起がある。艦外活動では外部強化ユニットも装着している。全長は140cm、胴回りの全幅は55.5cmである。また、トサカの長さは17cmで、股下の長さは26.8cmである。ボディーの分離や浮遊、腕の伸縮機能などの描写はなく、旧作ほどのオールマイティーさは見られない。
平時はよく佐渡の私室でくつろいでいた旧作と異なり、本作では特に他に仕事が無い時は第一艦橋の戦術長席の左隣の予備操縦席に常駐している。
性格は旧シリーズに比べると機械的な印象が強くなり、セクハラ行為をしない[2]だけでなく、古代と雪の関係を疑った原田の言葉を全く理解できなかったり、酒も機能障害を起こす可能性があるとして頑なに断ったりするため、佐渡や原田からは「つまらない奴」と言われている。反面、自らを優秀と自賛するなど自信家な面はそのままであり、嬉しい時は諸手を上げて喜ぶなど、全く機械的なわけではない。
第9話においてエンケラドゥスで捕獲したガミロイド兵のオルタと同じ機械同士交流を深めていく。アナライザーがオルタから、オルタが艦内ネットワークに接続した際に会った女性(オルタいわく「女神」)から言われた「あなたは誰」という問いに関して、「あなたは答えられるか」と聞かれた際には「友達」と答えた。これらの交流の中でオルタと自分達は同じ存在と思うようになる。後にオルタが脱走した際には、自分達を敵と思われたくないとして保安部に銃を一旦収めることを願った。その際にオルタを心を持った人間と同じように捕虜として扱うかどうかで揉め事が起きる。最終的にオルタはアナライザーの手によって活動を停止したが、オルタの「周りを全て敵と認識した際に自爆する」というプログラムが作動した形跡はなく、アナライザーを仲間(友達)と認識していたことが示唆されている(アナライザーやオルタに魂があるかどうか、それを認めて「人間」として扱ってやるかどうかが、第9話のメインテーマとなった)。
終盤では旧作のように、ここが落ち着くと言って佐渡の私室に入り浸るようになっている。
なお、本作のアナライザーは基本的に3DCGで描写されている。
名称について
企画書の段階での名称は「アナライザー・ロボット」であり、固有名詞というより「調査・分析ロボ」程度の抽象的な呼び名であった。放送前に製作されたパイロットフィルムでは、すでに「アナライザー」とテロップが付けられるが、放映当初は何故かちゃんと名乗らず(自己紹介では「ワタシハテンサイ(天才)」。また第5話では森雪に「ロボちゃん」と呼ばれたりもしている)、登場後しばらくした後に、やっとそう呼ばれるようになる。
他作品でのバリエーション
- アナライザー・ゼロ(ユニット0)
- ゲーム『松本零士999 〜Story of Galaxy Express 999〜』に登場。ユニット0として長い間壊れていたところを『銀河鉄道999』の主人公星野鉄郎に助けてもらい、『宇宙海賊キャプテンハーロック』のヤッタラン副長に引き取られ、アルカディア号に同乗することとなる。『新宇宙戦艦ヤマト』にも登場。旧式ながら、多大な働きを見せる。
- バトル・アナライザー / バトライザー
- ゲーム『コスモウォーリアー零』に登場した戦闘用ロボット。8ヤマト形態に変形が可能。伝説の宇宙戦艦ヤマトを探している。
- アニメ版では、バトライザーの名称で登場。戦艦火龍のシステム担当攻撃型ロボット。身長約160cm。身体の各所に武器を内蔵し、両足はヤマトの主砲に酷似している。宇宙艦モードに変形することでワープ航法も可能。
この他、『宇宙海賊キャプテンハーロック』ではアナライザーそっくりのロボット、ロペット・ワーワーが登場しており声もアナライザー役の緒方が担当している。また『大YAMATO零号』では、アナライザーを意識したデザインのロボット部隊、ロボット工作兵艦隊「ティム艦隊」が登場しており、そのうちの1体のティムが大ヤマト零号に乗り込んでいる。
その他
呉市海事歴史科学館「大和ミュージアム」の展示室D「未来へ」ではアナライザーが来場者を迎えてくれる。