アスパラギン
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アスパラギン (NH2COCH2CH(COOH)NH2) とは、アミノ酸のひとつで、2-アミノ-3-カルバモイルプロピオン酸のこと。 スペルはasparagineで、略号はNあるいはAsn。アスパラガスからはじめて単離されたことによりこの名がついた。アスパラガスを食べた後尿から独特の匂いがすることがあるが、それはこの物質の代謝副産物に起因する。[1]
中性極性側鎖アミノ酸に分類される。蛋白質構成アミノ酸のひとつで、非必須アミノ酸。グリコーゲン生産性を持つ。コドンはAAUまたはAACである。
歴史
アスパラギンは1806年、フランスのルイ=ニコラ・ヴォークランとピエール=ジャン・ロビケ(当時は助手)によりアスパラガスの汁から結晶として単離され、単離された最初のアミノ酸となった。[2][3]
1809年、ピエール=ジャン・ロビケは甘草の根からもアスパラギン様物質を単離したが、1828年、それはアスパラギンであったことが確認された。[4]
タンパク質内での機能
アスパラギンの側鎖はペプチド骨格と水素結合を形成することができる。つまり、他のペプチド骨格の代わりに水素結合サイトを埋めることができる。そのため、この残基はαヘリックスの始点、終点、βシートのターンで見られる。構造の類似したグルタミンは立体配座エントロピーが大きいため、このような機能は持たない。
また、アスパラギンはタンパクのN-グリコシル化の標的となる。
生合成
生体内では、アスパラギン酸からアスパラギンシンテターゼにより生合成される。また、アスパラギナーゼによりアスパラギン酸とアンモニアに分解される。
物性
- 分子量 132.12
- 等電点 5.41
- 溶解性 水にやや難溶。
- 溶解度(水、g/100g)2.36 (20℃)、5.94 (40℃)、13.7 (60℃)(一水和物の場合)
- ファンデルワールス半径 96