だるまさんがころんだ
- だるまさんがころんだは、こどもの遊びの一種。(この節で説明)
- 遊びなどで十まで数える数え方の一つ。「だるまさんがころんだ」の10文字の文章でちょうど10拍になる。
- NHKみんなのうたで放映された「だるまさんがころんだ」(作詞・作曲:山本正之 歌:斉藤こずえ)という歌。(この節の題材とした作品を参照)
概説
鬼ごっこの変種のひとつである。鬼が「だるまさんがころんだ」という掛け声を唱えることから、この名前がついた。鬼を一人立て、その鬼が他の参加者をすべて捕虜にすることを目的とする。また、鬼以外の参加者は、次の鬼になることを回避しようと、鬼に触れた後により遠くへ逃げることを目的とする。他の鬼ごっこに似た遊びとは違い、基本的に鬼は自陣から動かない。唱える言葉は「だるまさんが転んだ」の他にも、地域によりさまざまなバリエーションがある(後述)。近頃はこれより派生した「だるまさんの1日」という鬼ごっことは少し違う遊びがあるようである。
進め方
- 遊びを始める前に鬼の自陣を決める。普通、木や電柱、ブロック塀など、地面に建つ柱や壁のようなものを使う。鬼以外の参加者は、この自陣からある程度以上離れた場所で遊びを始める。(ルールにもよるが、ゲーム開始時に鬼以外の参加者が「はじめの一歩」または「はじめの第一歩」と叫び、スタートラインから一歩だけ前に出てよい場合もある。)
- 鬼は自陣となる柱や壁のほうに向かい「だるまさんがころんだ」という掛け声を唱える。柱や壁に向かっているため、他の参加者の行動は見ることができない。唱え終わるまで、振り返って周囲を見渡してはならない(唱える速度やタイミングをずらすことはローカルルールとして許容される)。
- 鬼以外の参加者は鬼が掛け声を唱えている間だけ行動できる。触れようとして鬼に向かって近づく。
- 掛け声を言い終わった鬼は、周囲を見渡すことができる。この間、他の参加者は、歩くことはもちろん、少し動いてもいけない。
- 鬼が動いている者(厳格な基準はなく、グループ内でのコンセンサスによるところが大きい)を見かけると、その者にそれを指摘して、捕虜として自陣に呼び寄せる。捕虜となった段階で、前項の行動禁止の対象から除外される。
捕虜は、他の者が鬼に捕まらずに鬼にタッチする(触れる)まで、逃げることはできない。捕虜は、捕まった順に鬼を先頭として鎖状につながっていく。 - 鬼が掛け声を言うことと指摘を繰り返し、他の参加者すべてが捕虜となった段階で鬼の交代となる。その場合、最初に捕虜となったものが次の鬼となり、最初の状態から遊びを再開する。
- 参加者のうちの誰かが鬼にタッチするのと同時に、捕虜を含めた鬼以外の参加者は鬼の自陣から逃げる行動をとる。[1]ただし、捕虜がいない状態で鬼がタッチされた場合は即座に鬼の負けとなる。
- 鬼は「ストップ」「止まれ」など叫ぶことによって、逃げる者の行動を止められる。
- 捕虜などの行動を止めた後、鬼は限られた歩数(「大股5歩」など)や秒数(かくれんぼとは逆に行動時に数え上げる数)、または自分のはいている靴を蹴り飛ばし、その距離を歩くことができる。この鬼の行動の際に触れられた逃亡者は、鬼の捕虜となる。[2]
- 前項の行動によって、鬼が全ての参加者に触れることができると、鬼の勝ちとなり鬼役が交代する。この場合、次の鬼は最初に触れられた者となる場合が多い。全ての参加者にタッチすることができなかった場合はすべての参加者が解放され、また初期状態から再開される。鬼が交代できなかった場合、通常は鬼を継続させることとなる。[3][4]
禁則
遊びを円滑に進めるため、いくつかの禁則を設ける場合がある。これらの禁則はそのコミュニティの性質などによってローカルルールとして設けられるものがほとんどである。これらの禁則を破ったものは通常、鬼と交代させられたり(鬼以外)、最初からやり直し(鬼)となるが、場合によっては口論の原因となることがある。
- 禁則の例
- 鬼以外の参加者は、鬼の自陣から見えない障害物に隠れてはならない。
- 鬼は、掛け声を唱えるときに、周辺の鏡やガラス窓の反射を利用して様子をうかがってはならない。
- 鬼以外の参加者は、鬼が掛け声を唱えるときに鬼から離れる方向へ移動してはならない。
- 鬼は、まばたき・呼吸などの不随意な動作をもって「動いている者」と認定してはならない。
- 鬼以外の参加者は、事前に決めた範囲外へ逃げてはならない。
- 鬼に触れるものが鬼の進む歩数が決められるルールでは、小股一歩や、離れているのに中股五歩など、確実に逃亡者に離れる歩数を言った場合は、即ゲームから除外しなければならない。そもそも、こういうルールは不平等のため、このルールはまずない。
- 鬼が「ストップ」「止まれ」と言った位置から動いてはいけない。
- だるまさんの一日に限るが、例えば「だるまさんがティッシュを配布した」などといわれ、行動をとりながら鬼の方向へ進んではいけない。
10を数える方法
遊びの際に唱えられる「だるまさんがころんだ」は、ちょうど10音であるため、10をすばやく数える方法としても使われる。
地方や年代によっては他の10音の文章に置き換えられる場合や10音でない言葉に置き換えられる場合もある。それを受けて、遊びの名前そのものが、その文章に置き換えられている場合もある。以下に例を示す。
- 「坊さん(ぼうさん、ぼんさん)が屁をこいた」(近畿地方)
- 「インディアンのふんどし」(関東地方)
- 「兵隊さんが通る」
- 「くるまん(の)とんてんかん」(宮城県)
- 「乃木さんは偉い人」
- 「インド人の黒ん坊」(九州中国四国地方・石川県)
- 「寿がきやのやきうどん」
- 「ひみなこと(5文字と短いためか、唱える回数が決まっていない)」(和歌山県)
掛け声の由来についての考察
- だるまさんがころんだ
- 倒してもすぐ起き上がる「だるま人形」や転倒させないようにして遊ぶ「だるま落し」などの玩具に見られるように、達磨大師の面壁九年の故事に由来すると考えられる。
- また、大人たちからそれを耳にたこができるほど言い聞かされた子供達が「達磨さんだって、誰も見ていないところでは寝転んでいただろう」と反発して始めたのが『だるまさんがころんだ』ではないか、という考察もあるテンプレート:要出典。
- 坊さんが屁をこいた
- 昔、寺院で肉食が禁じられていたころ、肉を食べると屁が臭くなることから、『おならが臭い』→『坊さんなのに肉を食べた』という考えから『坊さんが屁をこいた』という言い方ができたという考察があるテンプレート:要出典。
- くるまのとんてんかん
- かつて、仙台市の小田原車通(現在の仙台市宮城野区小田原1丁目付近)には数件の鍛冶屋があって、車通の「くるま」と鍛冶屋の槌音「とんてんかん」を組み合わせたものというのが地元の通説となっている。しかし、なぜこの言葉を「だるまさんがころんだ」に利用するようになったかは、古老に尋ねても分からない状態。ちなみに車通の地名は「車地蔵に通じる道路」に由来している。
- インド人のくろんぼ
- 1975年(昭和50年)頃までは北部九州ではこのような掛け声で遊ばれることがあった。一部のインド人の黒い色の肌は、インドの先住民の1つであるオーストラロイド系民族に由来するとされ、インド本国では下層カーストを連想させる特徴である。
題材とした作品
- 音楽
他国での類似の遊び
だるまさんがころんだと似た英語圏の遊びに、レッドライト・グリーンライト(en:Red light, green light)がある。遊び方にはいろいろな変種があるが、基本的には参加者は鬼から離れたところからスタートし、最初に鬼に触った人が勝ちとなる。ただし動くことができるのは鬼が後ろを向いて「グリーンライト」(青信号)と言ったときだけで、鬼はいつでも突然振り返って「レッドライト」(赤信号)と叫ぶことができ、このときただちに静止しないと、その参加者は失格になる。
「ある言葉を言っている間だけ動いて良いというルールで、そっと鬼に近付いていく」という点で、日本のだるまさんがころんだによく似ている。一方、顕著な違いとして、日本のだるまさんがころんだでは鬼にならないことが参加者の目的であり、参加者らは鬼でない「みんな」の中にとどまろうとし、敗者が次の鬼となるのに対し、レッドライト・グリーンライトでは鬼になることが参加者の目的であり、参加者は「みんな」と違う特権的な信号灯役になろうとし、勝者が次の鬼となる。
韓国では「むくげの花が咲きました」や「達磨さんが寝転んだ」、中国では「一、二、三、(我们都是)木头人(木頭人。(私たちはすべて)『木の人形』の意)」、フランスでは「アン、ドゥ、トロヮ、ソレイユ(1、2、3、太陽)」fr:Un, deux, trois, soleil、スペインにはes:Un, dos, tres, chocolate inglés、という掛け声で日本の『だるまさんがころんだ』とほぼ同じ遊びがある。