離散数学
離散数学(りさんすうがく、英語:discrete mathematics)とは、原則として離散的な(言い換えると連続でない、とびとびの)対象をあつかう数学のことである。有限数学あるいは離散数理と呼ばれることもある。
グラフ理論、組み合わせ理論、最適化問題、計算幾何学、プログラミング、アルゴリズム論が絡む[1]応用分野で、その領域を包括的・抽象的に表現する際に用いられることが多い。またもちろん離散数学には整数論が含まれるが、初等整数論を超えると解析学などとも関係し(解析的整数論)、離散数学の範疇を超える。
離散数学の内容
離散数学の中核を成す分野として次の2つが挙げられる。
組合せ論とは「ひたすら数える」数学である。より一般的にいって、それは有限の数(とはいっても星の数よりはるかに大きな数のときもあるが・・・)について考えるということである。その考え方の基本は
- 解決法は存在するか?
- どれくらいの数の解決法があるか?
- 最適の解決法があるか?
ということについてである。
グラフ理論は、(大まかに言うと)点と線の数学である。頂点(点)とそれらの接続(辺)を調べるという単純な考え方が基本となるが、現在、とても勢いのある分野へとなった。グラフ理論の中の多くの問題は、組合せ論に関係がある。例えば、グラフで2頂点の間の路に関する問題がある。この問題は、
- 路は存在するか?
- どれくらいの数の路があるか?
- 最適の路を見つけられるか?
ということになる。他にもグラフの彩色に関する問題など組合せ論との関りは深い。
他には、学校教育の中で教えられているものには行列,集合,順列・組合せ,論理と証明,帰納法と漸化式,数列などがある。それ以外にも、経済や産業の分野で応用されているものにゲーム理論、マルコフ連鎖、社会選択理論、投票理論、ビンパッキング問題、記号論などがある。
離散数学で使われる解決方法
離散数学でよく使われる共通の問題解決法がある。それはアルゴリズムによる解決法である。問題の構造をアルゴリズムに置換え、分析することで問題を解決する。アルゴリズムの理論は帰納的な考えを含む。つまり、アルゴリズムの理論自体も離散数学の一角を成しているといえる。アルゴリズムの理論の対象を成すのが実証論である。実証論は整数論やトポロジーなどの伝統的な数学の顕著な特徴を持っている。数学的には実証論的な証明の方が綺麗だといわれる。
脚注
参考文献
- 根上生也 『情報数学講座3 離散構造』、共立出版、1993年
- 秋山仁・R.L.Graham 『入門 有限・離散の数学1 離散数学入門』、朝倉書店、1993年
- 惠羅博,小川健次郎,土屋守正,松井泰子 『離散数学』 、 横浜図書