国鉄タキ1900形貨車
国鉄タキ1900形貨車(こくてつタキ1900がたかしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)、現在は日本貨物鉄道(JR貨物)に車籍を有する、40t積みセメント専用の私有貨車(タンク車)である。
概要
本形式は、1964年(昭和39年)から1981年(昭和56年)にかけて、川崎車輛、日立製作所、日本車輌製造、三菱重工業で、78ロット1,729両が製造された。
記号番号表記は特殊標記符号「コ」(全長 12 m 以下)を前置し「コタキ」と標記する。番号は、次のとおりである。装備する台車によって番台区分がなされており、それについても併記する。
- タキ1900 - タキ1999
- タキ11900 - タキ11999
- タキ21900 - タキ21999
- タキ31900 - タキ31999
- タキ41900 - タキ41999
- タキ51900 - タキ51999
- タキ61900 - タキ61999
- タキ71900 - タキ71999
- タキ81900 - タキ81999
- タキ91900 - タキ91999
- タキ101900 - タキ101951(TR209系台車装備。タキ101952 - タキ101999は欠番)
- タキ111900 - タキ111986(タキ101987 - タキ101999は欠番)
- タキ112000 - タキ112079(TR41F台車装備。タキ112080 - タキ12099は欠番)
- タキ112068(II), タキ112069(II)(事故廃車の補充)
- タキ112100 - タキ112208(TR41G台車装備。タキ112070 - タキ112099は欠番)
- タキ112300 - タキ112698(TR41E-13, TR225,TR213C台車装備)
構造
本形式は、日本初の40t積み粉体セメント専用車である。40tものセメントを積載するため、台枠中梁とタンク体をタンク受台を介して強度的に一体化して自重削減を図った。タンク体は普通鋼製のドームレス異径胴で、内側にはセメント付着を防ぐため、耐アルカリ塗料が塗布されている。タンクの容積は32.0 - 36.4m³で、台枠長は10,000mm、最大長は10,800mmである。
積み込み口は3箇所または4箇所あり、車体下部中央の両側に取り降ろし口を装備する。この形態は所有者により異なる。
荷役方式はエアスライド式。これはセメントを取り出す際に、タンク下部から空気を噴き出し、タンクとセメントの間に薄い空気の層をつくってセメントを流しだす方式である。
台車はベッテンドルフ式2軸ボギー台車で、初期の車両はTR41C・D・E・G、後期の車両はTR209B・C、TR213C、TR225などを装備する。塗装は基本的に黒だが、大量集約輸送用(セメントターミナル所有)は区別のため薄緑色(淡緑3号)に塗ってある。
所有者
タキ1900形を所有する(または所有していた)企業は、セメントターミナル以外では小野田セメント、チチブセメント、日本セメント(いずれも現:太平洋セメント)、住友セメント、大阪セメント(共に現:住友大阪セメント)、日立セメント、三井鉱山、三菱鉱業セメント、東北開発(共に現:三菱マテリアル)、明星セメント、電気化学工業などが挙げられる。
後年は各地でセメント専用列車の廃止が進んで本形式の余剰車が発生したことや老朽化により廃車が進み、2014年現在では太平洋セメント所有の車両が95両在籍するのみであり、太平洋セメント藤原工場を起点に三岐鉄道三岐線東藤原駅 - 関西本線四日市駅間で運用されるのみとなっている。
参考文献
- 鉄道公報
- 吉岡心平「プロフェッサー吉岡の私有貨車図鑑(復刻増補)」2008年、ネコ・パブリッシング刊 ISBN 978-4-7770-0583-3
- 『日本の貨車-技術発達史-』(貨車技術発達史編纂委員会編著、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊、2008年)