伊藤眞
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伊藤 眞(いとう まこと、 1945年2月14日 - )は、日本の法学者。東京大学名誉教授。早稲田大学客員教授。専門は民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、倒産法、裁判法。三ヶ月章の弟子。蝶ネクタイがトレードマーク。長野県上田市生まれ。
学説
その学説は、訴訟物において、師である三ヶ月章が「新訴訟物理論」「訴訟法説」を採るのと異なり、実体法上の請求権などを基準に律する「旧訴訟物理論」「実体法説」を採る。新訴訟物理論が今後実務に受容される蓋然性は必ずしも高くないとした上で、旧訴訟物理論を前提に、合理的な訴訟運営や立法提言を行うべきとする穏当な態度に実務家からの信用も厚い[1]。
学歴
職歴
- 1968年4月 東京大学法学部助手
- 1971年6月 名古屋大学法学部助教授
- 1983年10月 一橋大学法学部助教授
- 1985年4月 一橋大学法学部教授
- 1993年4月 東京大学大学院法学政治学研究科教授
- 2007年3月 東京大学定年退職
- 2007年4月 早稲田大学大学院法務研究科客員教授、弁護士登録(第一東京弁護士会)、長島・大野・常松法律事務所顧問
- 2007年6月 東京大学名誉教授
社会的活動
- 内閣司法制度改革推進本部法曹制度検討会委員(座長)(2002年 - 2004年)
- 内閣司法制度改革推進本部知財訴訟検討会委員(座長)(2002年 - 2004年)
- 司法試験第二次試験考査委員(2004年 - 2006年)
- 最高裁判所民事訴訟規則制定諮問委員会委員
- 最高裁判所下級裁判所裁判官指名諮問委員会委員(2006年 - )
- 法務省法制審議会倒産法部会委員
- 法務省法制審議会民事訴訟法部会委員(部会長)(2006年 - 2007年)
- 法務省法制審議会非訟事件手続法・家事審判法部会委員(部会長)(2009年)
著書
単著
- 『民事訴訟の当事者』(弘文堂、1978年)
- 『債務者更生手続の研究』(西神田編集室、1984年)
- 『破産:破滅か更生か』(有斐閣、1989年)
- 『破産法(第4版補訂版)』(有斐閣、2006年)
- 『法律学への誘い(第2版)』(有斐閣、2006年)
- 『破産法・民事再生法(第2版)』(有斐閣、2009年)
- 『民事訴訟法(第4版)』(有斐閣、2011年)
- 『会社更生法』(有斐閣,2012年)
共著
- 『演習民事訴訟法』(新堂幸司、井上治典、梅本吉彦、小島武司、霜島甲一、高橋宏志)(有斐閣、1985年)
- 『破産法概説(新版増補2版)』(青山善充、井上治典、福永有利)(有斐閣、2001年)
- 『民事訴訟法の論争』(加藤新太郎、山本和彦)(有斐閣、2007年)
共編著
- 『民事手続法学の革新(上)(中)(下)』(中野貞一郎、新堂幸司、鈴木正裕、竹下守夫、青山善充、高橋宏志)(有斐閣、1991年)
- 『講座新民事訴訟法(III)』(徳田和幸)(弘文堂、1998年)
- 『裁判外紛争処理法』(小島武司)(有斐閣、1998年)
- 『倒産手続と保全処分』(松浦馨)(有斐閣、1999年)
- 『民事訴訟法理論の新たな構築(上)(下)』(青山善充、高橋宏志、高見進、高田裕成、長谷部由起子)(有斐閣、2001年)
- 『注釈民事再生法(上)(下)』(才口千晴、瀬戸英雄、田原睦夫、桃尾重明、山本克己)(金融財政事情研究会、2002年)
- 『権利実現過程の基本構造』(春日偉知郎、上原敏夫、野村秀敏)(有斐閣、2002年)
- 『民事訴訟法の史的展開』(福永有利、井上治典、松本博之、徳田和幸、高橋宏志、高田裕成、山本克己)(有斐閣、2002年)
- 『新しい会社更生法』(西岡清一郎、桃尾重明)(有斐閣、2004年)
- 『法曹倫理』(小島武司、田中成明、加藤新太郎)(有斐閣、2005年)
所属学会
- 日本民事訴訟法学会 (理事 、1998年-2001年 、国内 )
- 日本私法学会
- 金融法学会
- American Law Institute
脚注
- ↑ 上掲『民事訴訟法の論争』31~64頁
補足
資格試験予備校「伊藤塾」の塾長である、伊藤真(いとう まこと)とは別人である。伊藤真が有名になったため、名前の表記を旧字体の「眞」に改めた経緯がある。