メタルアーマー
メタルアーマー(Metal Armor)とは、リアルロボットアニメ『機甲戦記ドラグナー』に登場する架空のロボット兵器の呼称。メタル・アーマーとも表記し、企画時名称は「ギルトール」(後にギルトール元帥の名に転用)であり、第1話ではその名残で同名称が使われていた。
目次
概要
メタルアーマー(以下MA)のデザイン的特徴として、「近代航空兵器」のイメージと、『機動戦士ガンダム』のモビルスーツのイメージが融合した(レース用モーターサイクルという説もあり)デザインであり、特にドラグナーシリーズは三次曲面を多用した形状が特徴である。放映当時、映画『トップガン』の大ヒットがあり、オープニングでは空母から発進するシークエンスや、ドラグナー3型が艦上機であるE-2Cホークアイ早期警戒機に搭載されるレドームに似た頭部にデザインされるなどの影響があった。デザイナーの大河原邦男は放映前後の時期には、「私が一番デザインしたかったメカ」と発言していた。大河原はロボットの権利関係に一枚噛むなど、マーチャンダイジングの部分も含め従来以上の意気込みで本作に臨んだ。しかし本作の売り上げや人気は大河原の期待ほどには芳しくなく、後にこの作品のデザインについては「ボトムズのように考えないでやるのが一番いい」と発言する結果となった。
設定面においては、空中給油や電子戦など任務遂行に必要だが直接攻撃ではない機能や、試作機(主人公機)より高性能な量産機の登場、ハードだけでなくソフトウェアのアップデートなど、基本的には現実的な要素が追求された。一方で『重戦機エルガイム』で確立したムーバブルフレーム構造や、『銀河漂流バイファム』で登場したスリングパニアーと呼ばれる飛行システムなど、過去作品で人気だったギミックも採用されている。大気圏内の飛行描写は、重力や慣性といったリアリティよりもアクション性に重点を置いた描写がなされていた。さらに(動画の使いまわしのために)大気のない宇宙空間でも揚力を発生させる翼を装着させるという、およそ現実味とはかけ離れた描写もされているなど、ちぐはぐな面も見られる。
音響面においては、コクピット内の各機種毎、火器類毎にそれぞれ異なるSEが設定されているという凝った演出がされていた。なおこれらのSEは『魔神英雄伝ワタル』に流用されている。
設定
- メタル・アーマー (MA)
- 劇中に登場する人型機動兵器の総称。本来メタルワーカーと呼ばれる作業機械から発展させたもので、その後軍事にも転用されたが、それを可能としたのはロボット工学者ラング・プラートの技術力によるものが多く、ラングが地球連合軍に亡命した後、ギガノス軍はそれに対抗しうる兵器の開発が遅れがちになった。
- D兵器
- MAの量産性を高める為にプラート博士が試作した、ムーバブル・フレームを共通化し、1次装甲や武装をユニット化する事でそれらを交換するだけであらゆる局面に特化した機体をより量産する事が出来る様にした機体群の事。メインコンピュータにはパイロットとの対話も可能なクレイ9000系が採用されている。
- 機体をカスタマイズする事で乗り切って来たギガノス軍上層部にはウケが悪かったらしく、白兵戦用・後方支援型・電子戦用の3種類分のパーツ群と3体分のムーバブル・フレームが完成した時点で計画が頓挫。結果的にラングの亡命の引き金の一因ともなる。
- 3機とも試作機の為、パイロットが登録制。登録はメインコンピュータに登録用ディスクをセットして、パイロットの声紋や体格などのデータを走査させる事で行われる。登録解除は基本的に大規模の基地かハッキングでしか行えない。
- 作中においては事故で一般人が搭乗し登録されてしまったとはいえ、その戦果は目を見張る物があり、地球連合軍は量産化を決定。但し、連合軍では戦局の打開を急ぐ為か、3機分の能力を集約したタイプのドラグーンのみの製作・量産を優先。試作機群は能力の高い3号機以外は廃棄される予定であったが、ラングは1、2号機を大幅にカスタマイズ(3号機もソフト等を強化)させる事で延命させた。
- リフター
- 空間戦闘用であるD兵器に空戦総力を持たせるために開発された追加飛行ユニット。それぞれの機体専用の物が作られた。量産型のドラグーンおよび改修後のD-1、D-2には当初より空戦能力が備わっているので存在しない。翼下に追加武装を装備可能であり、宇宙空間でも武装ラックとして利用するため装備したままだった。
- M.A.F.F.U.(マッフ)
- ギガノス軍における連合軍のリフター装備にあたり、「メタル・アーマー・フィックスド・フォルグ・ユニット」の略。飛行ユニットそのものはフォルグユニットと称される。
- なお、リフターもマッフも(演出上、「空中で立ち話をする」シーンのため)構造上不可能なはずの空中での静止を行うことができる。
- フォルグアーマー
- MAにフォルグユニットを装着することで空戦用能力を持たせたギガノス軍だったが、マッフではないものとして一から製作された純然たる空戦用メカ。軽量かつ生産性を考慮しており、マッフと比較して重力下に於ける運動性と機動力に優れる。
- 戦闘用のシュワルグと攻撃用のダウツェンの2機種が存在する。偵察用は在来機で十分として存在しない。
- 劇中では、フォルグアーマーが戦闘機に撃墜される場面もあり、普通のメタルアーマーよりは装甲が薄いようである。
連合軍MA
ドラグナー1型(D-1)
接近戦に特化して開発された白兵戦用MA。搭載されたAIの愛称はクララ。小型核融合炉を2基備え、装甲はマルチプルハイブリッド型でありゼライトコーティングが施されている。両腰に一振りずつレーザーソードを装備し、ふくらはぎフレーム部には実体剣のアサルトナイフを備える(同じムーバブルフレームを使用しているD-2、D-3にも装備されている)がD-1は劇中未使用(他の機体もあくまで作業用として使用)。園田英樹著の小説版ではD-1が実際に使用している。
主兵装は75mmハンドレールガンである。レーザーソードは柄部で接合させて諸刃として使うことも可能。両肩に対MA用のショルダーボムを備えている。また両腕の外部装甲にハンドレールガン用の予備弾倉を差し込むスリットが備えられ、手甲部には二連式25ミリ機関砲も装備されている。フリスビー型のスローイングボム装備は、カスタム化時にはソーサー型の物に変更され腰部に装備(腕にも装備可能)。塗装色は白を基調とし、脚部には赤と青のラインが描かれている。
飛行装備のリフター1を装着した場合、翼下にミサイルポッドを装備可能なため火力が上がる。また、リフター1はドッグファイト時の旋回能力や揚力を上げるために4枚翼の複葉仕様となっている他、非飛行時には翼を折りたたむことが出来るなど、空中だけでなく地上での格闘戦をも考慮した仕様になっている。
キャバリアー0(ゼロ)
D-1専用の増加装甲を兼ねた追加武装。本来はD兵器の試作機の空間戦闘用ポッド。形式番号はXC-00。
もともとD兵器の計画では、後に連合軍で製作されたドラグーンの様にD-1、D-2、D-3の能力をひとつにまとめた機体を作る予定であり、これがキャバリアー0の原型である。しかし、これらの能力を単体にまとめるのは困難とされたために、3機に能力を分離し、それぞれの装備をより専門化させた物をユニット化する方向で量産化の計画が進んでいた。D-1は白兵戦用となったため、それ以外の領域の戦闘能力を補う目的で、ポッドのコックピットや推進器部分を撤去し、出来たスペースを利用して上から被せる形での追加装備として再設計が行なわれた。
試作コンセプトの名残の装備ではあるが、D-1にD-2並みの攻撃力とD-3並みの電子兵装を装備させ、D-1の単体での総合戦闘能力を高めることを可能にした。もっとも、この装備を装着している間D-1は白兵戦が事実上不可能となる(手持ち武器は使用可能だが、行動が制限されるためあくまでも牽制用)ため、白兵戦に移行する際にはこの装備の排除が必須となる。
本編初登場時のD-1はこれを装備した状態。10話でのファルゲンとの交戦時に、内部の部品を撤去し、可能な限りの爆薬を詰め込んで爆弾として利用され大破、失われる。
元ネタは時代劇での菅笠+陣羽織もしくは蓑であり、キャバリアーの排除シークエンスも菅笠+陣羽織もしくは蓑を空中に投げ捨てる場面を意識したもの。スタッフは『桃太郎侍』がやりたかったと語っている[1]。
D-1カスタム
ドラグナー1型を改装したメタルアーマー。まったくの新型ではなく、基本的なフレームは流用されている。肩アーマーが左右非対称に大型化され、左肩には重力場感知システムが追加。そのため両肩に装備されていたショルダーボムが右肩のみになっている。その他、アフターバーナーなど各部が強化された。
ハンドレールガンは55.6mmと小口径になったが発射速度が上がっている。装甲材もトリプルハードニス型ヘビーコーティングに換装された。またレーザーソードは左腰に二振りマウントされる形に改められ、空いた右腰にはフリスビー状態のスローインボムが追加されている。また、終盤のみ光子バズーカを使用した。
最初から飛行翼を装備しており、リフターなしに飛行することが可能。この翼は固定式で、リフターのように折りたたむことは出来ない。本編終盤では、パイロットのケーンがエースパイロットとして知られるようになっていたこともあり、地球連合軍を象徴するMAとなっていた。
ドラグナー2型(D-2)
中・遠距離支援用MA。搭載されたAIの愛称はソニア。接近戦用装備はアサルトナイフ以外には無く、D-1よりも重装甲であるもののフレーム自体はD-1と共通であるために、武装はすべて背部の戦闘ポッドに集中している。なお、手甲部にはD-1と同様に機関砲が装備されているが、D-2は劇中では使用しなかった。
ハンドレールガンは88mmとD-1のものより大口径になっている。背部ポッドには280mmレールキャノンを2門備え、側面に2連装75mm自動砲を2基備える。手持ち武器として2連装ガトリングガンを装備した場合まさに動く火薬庫といったMAとなる。機体色は明度の低い紫。脚部のラインとソールに赤が塗装されている。
飛行装備のリフター2を装備した場合側面の2連装75mm自動砲を外さねばならないが、大型のジェットエンジンを2基追加するため回避力がアップし、ミサイルポッドを2基追加できる。空中給油機としての能力も持ち合わせ、他の2機に対し空中給油を行うことが可能。
D-2カスタム
ドラグナー2型を改装したメタルアーマー。しかし、改装とは名ばかりで実際は殆ど新装に近い。
脚部に内蔵ミサイルを備える。レールキャノンは640mmに換装され、ミサイルポッド上に1門の二連式75ミリ自動砲を再度装備。さらに終盤では光子バズーカを装備した。装甲材はトリプルハードニス型ヘビーコーティングに換装された。AIの愛称は引き続きソニアである。
ドラグナー3型(D-3)
偵察・電子戦用MA。搭載されたAIの愛称はマギー。前述のように頭部がレドーム状という独特のデザインをしている。
機体の運用においても、劇中ではジャミング機能で相手方が放った誘導ミサイルを逆誘導して撃った本体に向けさせたり、敵のコンピューターをハッキングして誤情報を流し混乱させるなど、電子戦を重視する戦いとなった。
胸、背中、脚部にも複合センサーを搭載しており、直接の武装は自衛用としてアサルトナイフと50mmハンドレールガンを装備。D-1、D-2と同一のフレームを使用しているが、両機に装備されている手甲部の機関砲はD-3には装備されていない。
逆ガルウィングのリフター3を装備した場合、対レーダーミサイルを装備可能(両翼に1基ずつ)で、多少戦闘力が上がる。終盤では光子バズーカも装備。
完成度が高かったために他の2機とは異なりカスタム化はされなかった(スタッフ曰く「D-3は直接戦わないからやる必要がない[1]」)。しかし外装や武装にこそ手を加えていないものの、ムーバブルフレームや内部コンピュータ、解析プログラムを大幅にアップデートしている。公式サイトの紹介ではカスタム化とは書かれていないが、一部のゲーム作品などではアップデート後をD-3カスタムと呼称している[2]。
ドラグーン
本来D兵器に代表されるMAは、当初ギガノスの最新兵器であり連合軍には存在していなかった。このため宇宙では戦闘ポッド、大気圏内では従前の戦闘機や戦車が対MA用兵器として運用されていたが、これらの兵器ではMAに対しあまり有効な戦力とはならなかった。そのため連合軍によるMA開発が切望され、ラングの協力やギガノス軍から奪取した最新型MA「D兵器」の解析によって、ついに連合軍初の量産型MA「ドラグーン」が完成することになった。当初は中国重慶の連合軍基地で生産された。
各用途に特化されたD兵器3機の機能を統合・発展させており、ギガノス軍のMAを大きく上回る性能を持っていた。初登場時にはD兵器を圧倒する性能を見せつけるなど、試作機よりも強い量産機として現実的な設定がなされ、それに伴う演出がなされている。1例としてケーン達もドラグナーがカスタム中で使えない時に本機に搭乗してグンジェム隊と戦い、これを退けた。以後も地球上を席巻していたからギガノス軍MAを駆逐し戦争を勝利へと導く主力兵器として活躍している。ただし、ヤム少佐の部隊がグン・ジェム隊にあっけなく全滅させられる、巨大MAギルガザムネに多数が撃破される等、本機もロボット物特有の一般的なやられ役としての演出も少なかった訳ではない。なお、最終話では設計者であるプラート博士自身もこの機体で出撃し、実子であるマイヨと和解した。
右肩に460mmレールキャノン1門と55.6mmハンドレールガン、左腰には両刃式レーザーソードを備え遠近両方に対応している。リフターの機能を内蔵し、標準で大気圏内での高機動戦闘が可能であると共にカスタム化後のD兵器と同様宇宙空間の運用も可能であった。両翼には十連ミサイルポッドを標準装備している他、D-3ほどではないが電子戦用の装備も存在する。スタッフは「D-1・D-2のおいしい所をかき集めてそれにちょっとD-3を振りかけた機体」と称している。
なお、それぞれ元になったDシリーズを参考に格闘性能に特化したドラグーン1、砲撃仕様のドラグーン2、レーダーを強化のドラグーン3という派生機がある[1]。
ギガノス帝国MA
ゲバイ
ギガノスにおいて最も多用された量産MA。いくつかの試作型を経て制式採用された。性能に特筆するものはないが、大型の頭部に内蔵された電子兵装と50mmハンドレールガンの組み合わせは操作性に優れ乗り手を選ばない機体である。その良好な操縦性はダイン登場以降も多くの将兵から高い評価を受けて、終戦まで活躍した。ギルガザムネの陰に隠れたりしているが、設定状はMAの中ではギルガザムネとスターク・ゲバイに次いで重量がある(ただし鈍重な描写はされていない)。腰部前面には予備弾倉を装備している。名前の由来はドイツ語で「2」を意味する「ツヴァイ」[3]。
ゲバイマッフ
重力下における飛行用のフォルグユニットを装着した大気圏内飛行タイプ。翼下に兵装ポッドを下げられないため武装は変化しない。
ダイン
近接戦闘向けに開発されたMAで、主に指揮官用の乗機として使用された。機体色は赤が基本であるが、月面に配備された部隊には濃緑色の機体、ドルチェノフ付きのSPには黄色の機体(ドルチェノフもこれに搭乗)が配備されていた。対MA戦を前提に設計されており、制御ソフトや操縦装置の光学式伝達システムも洗練されたものを採用している。また背中のハードポイントに何種類かの武装を装備できるため、汎用性も高い。ノーマルタイプはそこにブースターを兼ねたマルチディスチャージャーを装備し50mmハンドレールガンを携行する。名前の由来はドイツ語で「1」を意味する「アイン」[3]。
ダインマッフ
ダインのハードポイントのマルチディスチャージャーを外し、フォルグユニットを装備したタイプ。翼下に兵装ポッドを下げられないため武装は減少するが、飛行能力で得られた機動力を活かしているため、近接戦闘の強さは変わっていない。
地上用ダイン
連合軍の陸上戦力に対抗するために、地上戦用に改修したタイプ。背中のハードポイントに6連装のミサイルランチャーを2基備え、地上用に構造を変更してある。また頭部左側面にVHFアンテナが取り付けられている。
ドラウ
MAの開発初期に作られたMA。車輪状の電子索敵ユニットを包むように胴体が構成されている。量産機として初めて実戦投入され、月面作業ロボットから進化した“兵器”として一時代を築くものの、ドラグナー登場後のメタルアーマー開発ラッシュに押され、瞬く間にロートルになってしまう。チューンして偵察用に運用されていたものの耐弾性の低さは解消できず、劇中でも登場は多くない。名前の由来はドイツ語の「3」を意味する「ドライ」[3]。
ファルゲン
マイヨ・プラート専用MA。戦闘型MAの運動性・火力・電子戦能力向上のために開発された実験機であり、最新鋭技術実証機であるドラグナーシリーズに匹敵するポテンシャルを持つ。始めはドラグナーを圧倒する性能を見せるが、ケーンたちが操縦に慣れるに従って苦戦を強いられる。しかしパイロットの資質と経験で最後まで破壊されること無く運用された。
75mmハンドレールガンを持ち背部に3連マルチディスチャージャーを2基装備している。腰から太ももにかけての装甲が本体と一体化しており脚部がほとんど動かないように見えるが、この部分は硬質ゴムに近い弾力を持った新素材の装甲材「シモールA型パッシブ装甲」で構成されており人体さながらの柔軟な動きが可能。
名前の由来はドイツ語で「鷹」の意味を持つ「ファルケン」[3]。
ファルゲンマッフ
重力下飛行仕様のファルゲン。ハードポイントを4基備え、リフターを装着し空戦能力を持ったD兵器に対抗した。重力下仕様だが、物語終盤では宇宙空間や機動要塞内部でも戦闘を行っていた。
ファルゲンカスタム
本編未登場。大河原邦男が新たにデザインを描き下ろし、2007年にサンライズ公式設定として発表された。最初に姿を見ることが出来たのは、同年9月発売のゲーム『Another Century's Episode 3 THE FINAL』で、ファルゲンの強化機体(後継機体)として登場した。従来のファルゲンマッフを蹈襲した機体に見えるが、外見上の違いとして、従来は左肩だけだった突起状のユニットが両肩になっていることと、背部にレドームと大型レールキャノンを2門装備していることが挙げられる。Dシリーズ3機種の機能をひとつに統合した性能を持ち、火力や機動力のみならずハッキングにも注意を要す。
ゲルフ
次期主力型の検討用試作MA。マイヨ直属のプラクティーズに与えられた機体の色は青。ゲルポック隊向けは紺色の機体色となっていた。ファルゲンの簡易生産機として設計され、次期主力MAになりうるかの検討モデルであったとされる。ダインと同様、背部に2基のハードポイントを備え、汎用性を高めてあった。75mmハンドレールガンの他、白兵戦装備として、D-1やファルゲンの使用しているレーザーソードと違い、実体のレールに沿ってレーザーを発振させるタイプのサーベルを装備する。なおファルゲンはドラグナーのプロトタイプであり、ファルゲンの簡易量産型の本機はドラグナーの量産型であるドラグーンとは兄弟のような関係になる。ただしあくまでも簡易型の本機に対しドラグーンはD兵器の最も優れた部分のみを1機に纏めるというコンセプトで作られた物でありかつドラグーンの方が後から作られた機体なので性能自体はドラグーンの方が上のはずではあるが、プラクティーズ3人組に供与されたゲルフマッフは新造機体とされており、出力も向上している(劇中では実戦経験の差を演出する為か、プラクティーズやゲルポック隊がドラグーン部隊を圧倒している)。
ゲルフマッフ
フォルグユニット装備タイプ。出力が向上した上にハードポイントが4基増え、5連ミサイルポッドを2基装備した。プラクティーズのダンとゲルポック隊のゲルポックが使用。ゲルポック機は通常時ハンドレールガンを装備せず、チェンドル機の兵装ボックスに預けていた。
ヤクトゲルフ
プラクティーズがD兵器に苦戦続きの為、対抗してカスタマイズされた機体。D-2の攻撃力に対抗するために背部に220mmレールキャノンを2門装備し左右腰アーマーに200mm3連ロケット弾ポッドを1基ずつ備える。レーザーサーベルを廃した為、接近戦に弱くなっている。
ヤクトゲルフマッフ
フォルグユニット装備。ハードポイントが4基増え、5連ミサイルポッドを2基装備、左腰には200mm3連ロケット弾ポッドを廃してレーザーサーベルが再装備され、接近戦にも対応できるようになった。プラクティーズのウェルナーとゲルポック隊のチェンドルが使用。チェンドル機は背中にゲルポック機向けの兵装ボックスを追加装備していた。
レビゲルフ
ヤクトゲルフと同じく対D兵器用にカスタマイズされた機体。D-3の電子兵装に対抗するため、頭部と腹部に大改修を施し、索敵能力をアップしてあるが、D-3には及ばない。
レビゲルフマッフ
フォルグユニット装備。ハードポイントが4基増え、5連ミサイルポッドを2基装備した。プラクティーズのカールとゲルポック隊のアデンが使用。アデン機はD-3並みの電子兵装を持っていた。
ドーラ
ギガノス軍が初めて開発した合体式MA。簡易MAのドーラと巨大バイクガンツァーまたは巨大ホバークラフトゲルファーとを合体させて運用される。ドーラには足がなく、その代わりに大型のロケットノズルが装備されている。そのため長時間の単体運用はできない。また、ガンツァー&ゲルファーかドーラのどちらかが破壊されると戦闘力が大幅に半減する為、作戦を選ぶ機体でもある。105mmレールキャノン2門、7連装ミサイルランチャー2基、デュアルミサイル2基が装備される。
ガンドーラ
機動ユニットであるガンツァーと合体した場合ドーラのノズルを全て推進用に使えるため全高13.2mの巨体でありながら最高時速530kmと驚異的なスピードを誇る。言うなれば超高速戦車である。戦闘中に分離・合体をすることでトリッキーな戦闘を可能にしている。合体中のドーラ部は戦車の様に、旋回しての射撃が可能、ガンツァーには80mmマルチディスチャージャーが2門装備されている。
ゲルドーラ
ガンドーラと同時に開発された水上用MA。ガンツァーの代わりに巨大ホバークラフトゲルファーと合体して運用される。ガンツァーよりも大型のゲルファーには3連装バルカン砲が装備され、ハードポイントも増設されている。なおガンツァー同様、合体中のドーラ部は戦車の砲塔の様に、旋回しての射撃が可能。
ズワイ
唯一の水陸両用MA。水中での運用を前提に設計されており、外殻装甲でフレームを完全に覆っている為、重装甲となっている。つま先に折りたたみ可能なフィンがあり、左手に大型のクローアームを装備する。50mmハンドレールガンを携え接近戦を得意とする。大きく後ろに張り出した胴体後部上方に4連装デュアルミサイルポッドを持っている。頭部はダインに近い。
24話「上海大逃走」のみの登場であるが、D-1を半壊にまで追い込んでいる。
ギルガザムネ
「究極のMA」として開発された、全高28mを超える巨大MAで通常のMAの約1.5倍の全高を持つ。更に劇中では数倍のサイズで描かれることが多かった。頭部に三日月型の前立を持ち鎧武者の様ないでたちで、左腰部には通常のMAの全高に迫る長さを持つハイブリッドブロードサーベルを装備する(これはグン・ジェムの依頼で急遽造られたもので、グン・ジェム搭乗以前に行われた実戦テストではサーベルは装備されていなかった)。このサーベルは実体剣でグン・ジェムの最初の出撃時は直剣だったがD-1の白刃取りで折られ、二度目の出撃では青竜刀型の剣が装備された。また、ハイデルネッケン機では青竜刀、ドルチェノフ機では直剣が装備されていた。この他、右肩部に100連装デュアルミサイルポッド、胸部に75mm機関砲を16基(内4基は胸部上、残り12基は内部にあるため胸部装甲を展開して使用)、腹部に10km四方を火の海にする大型ミサイル1基などを装備する。武装の関係でコクピットは腹部中央に配されている。最初からマッフとして設計されており大気圏内で飛行可能である。
バイオフィードバックシステムと呼ばれる思考制御システムによって操縦され巨体ながら驚異的な機動性を誇る。しかし逆に言えばこのシステムを使用しないと操縦は非常に困難となり、自機の重量とあいまってクズ鉄呼ばわりされるほど機動力が落ちてしまう。グン・ジェムや秘密工場のテストパイロットの乗った金色の試作型は、思考制御システムには一定時間以上連続使用すると脳に悪影響を及ぼしパイロットが正常な判断力を失う、機体そのものにはシステムによる機動性にマシンが追いつかずブレる(ライトの分析による)という2つの致命的な欠陥があった。そこで、ハイデルネッケンの乗ったライトグリーンの改良型では強制安全装置が装備され思考制御システムに5分間のインターバルタイムを設けることでこの問題を解決したが、インターバルタイム中は通常のMAと同様のコントロールシステムとなり機動力は大幅に落ちるため、その間は僚機によるサポートが必要な場合もあった。ドルチェノフの乗ったブルーグレーの機体は、ハイデルネッケン機で露呈した欠陥は報告前に撃破されたためか改修されておらず、最終的にはその弱点を突かれケーンとマイヨの合体攻撃によって撃破された。
なお、43話では宇宙機動要塞内に多数のギルガザムネ(全てライトグリーン色)が並べられており、量産体制が整えられていた描写があるが、関連本では3機の生産と書かれるものもある。
名前やデザインは当時大河ドラマで人気があった伊達政宗をモチーフにしている[1]。39話ではグン・ジェムにギルガザネムと言い間違えられていた。
『サンライズ英雄譚2』ではグン・ジェム機と量産機の他に、グン・ジェム隊四天王機が登場する。なお、ガナン機のカラーリングはライトグリーン色である為か、量産機のカラーリングは白色になっている。
ゲルニカ
マンガ版オリジナルの機体でマイヨ・プラートが搭乗する。試作機で当初はこの機体がドラグナーとなるはずだった。単行本が未発売なこともあり、知名度は低い。
ダヌル
小型核融合炉を搭載した最初のMA。2080年に2機の試作機がロールアウトした。メタルワーカーの面影を色濃く残すがダインに至るギガノス軍のMAの原型となった。1号機はギガノス科学博物館に展示される。
ドラグナーシリーズ
そもそもドラグナーはギガノス軍が開発したMAであり、1型、2型、3型は地球連合軍に奪取されたが、それ以降のプランも存在し7型機までを確認できる。これらは月刊ニュータイプの「ドラグナー世界のメカニック戦史」に掲載されていた。
ドラグナー4型 5型 6型(D-4 D-5 D-6)
それぞれ2型、3型、1型とコンセプトを一にする機体。一部の性能では1~3型に優る点もあったが、インナー・フレームを共用する1~3型に比べ整備性や生産性で劣るとされ、採用に至らなかった。
ドラグナー7型(D-7)
3種類のキャバリアーを換装することにより、1~3型の特性を1機種で得ようとした機体。メーン・ノズルすらもキャバリアー側に依存した設計になっており、7型本体には「何も付いていない」事から、採用に至らなかった。
ギガノス帝国FA
シュワルグ
飛行機に手足が生えたという趣の主力FA。翼端にデュアルミサイルを装備可能、翼下にもハードポイントを持つ。胸、頭部は一体式の流線型をしており空力特性に優れる。高速飛行時には折りたたまれる脚はMAよりも細くできており、手には50mmハンドレールガンを持つ。運動性に重点を置いている為、航空機の機銃で破壊されるほどに装甲が薄く、対地攻撃能力が低いのが弱点だが、火力を重視したダウツェンとのコンビネーションで制空権を絶対のものにすることを前提に開発されているので支障はあまり無かったようだ。航空機としては破格の攻撃力を備えており、21話でその存在を知った連合軍が奪取作戦を命令したほど(ケーン達3人組の命令無視とギガノス軍守備隊長の暴走が原因で、作戦は水泡に帰している)。なお同話で語られたところによるとスロットルレバーの操作方向がドラグナー3機とは逆らしい。
ダウツェン
シュワルグと同時期に開発された能力向上型。対地攻撃任務や編隊指揮官機として使用された。腕と腰に内蔵された機関砲とミサイルポッド、対地攻撃用に脚部の爆弾投射機、そして手持ちの大型ハンドレールガンにより攻撃力が向上している。シュワルグと同様に高速飛行時には足を折りたたむ。頭部がシュワルグに比べはっきりしており火器管制システムや照準機器、通信機能も強化されている。
グン・ジェム隊カスタムMA
スターク・ゲバイ
ゴル専用のカスタムMA。もとはゲバイマッフ。頭頂部に潜望鏡にもなるトサカ状の飾りが付き450mmレールキャノンを携行しており、弾種もプラズマ化弾を使用している為、威力は非常に強い。巨砲に負けないように出力も強化されており、腰部には8個の対MA用ハンドグレネードを装備している。潜望鏡により機体を隠した状態での周辺警戒が可能であり、原型機よりも幅広い運用が出来る。元々出力が高いゲバイを更に出力強化しているため、D-1がパワー負けをしたほどである。最後は無限軌道砲の爆発に巻き込まれて破壊された。
スターク・ガンドーラ
ガナン専用MA。もとはガンドーラ。肩部の2門のレールキャノンが105mmから450mmに大型化され75mmレールガンも装備している。チューニングによって出力が向上している為、単体では運用の向かないドーラをそのまま使用可能。また、ガンツァーもそれに合わせてチューニングが成されている。レーザーソードも装備しており、2本連結して振り回して使う事が多い。見切りを習得したケーンによって真っ二つにされ、下半身は岩山にぶつかって大破した。
スタークダウツェン
ジン専用FA。もとはダウツェン。特に電子戦用に強化され翼下にエリントポッドという装備を持つ。これはホログラムで自らの分身を作り出し、敵を撹乱させるもの。アデンを失ったゲルポックがジンに協力を求めたのも、この装備が目当てだった。グン・ジェム隊では最後まで生き残った方だったが、ギルガザムネ最初の出撃時、判断力を失ったグン・ジェムによって誤って撃破される。能力的にはD-3に匹敵する性能を有していた。
スタークダイン
グン・ジェム隊の紅一点、ミン専用MA。ダインマッフをもとにカスタムしてあり両手にトンファーの様に装備されたハイブリッド・サージと呼ばれるチェーンソーが最大の特徴で、ドラグナーのゼライトコーティングされた装甲をも切り裂く威力を持つ。パイロットであるミンはグレネードで相手のセンサーを無力化してから、このサージで襲い掛かる戦法を得意とした。また携行弾数が多く、ベルト給弾式の50mmハンドレールガンを持ち、給弾ベルトを機体に巻きつけてあった。閃光と高熱でセンサーを溶解させるタイプとチャフでセンサーを狂わせるタイプの2種類の対MA用ハンドグレネードも装備、通信機材もカスタム化がされ、頭部形状が若干変わっている。グン・ジェム隊壊滅後はマイヨ率いる反乱部隊に参加して最後まで生き残った。
ゲイザム
一機だけ作られた試作型MAでグン・ジェム専用機として使われた。大型のフレームと重装甲を持ち専用の強化金属製青竜刀を装備している。これはグン・ジェムの趣味であると共に、実体剣でありながらレーザーソードと互角に切り結ぶほどの強力な武器としてグン・ジェムの恐怖神話を決定づけている。他にはベルト給弾式の50mmハンドレールガンを持ち、給弾ベルトが左腕に巻きつけられている。対MA用ハンドグレネードも8基装備している。フォルグユニットを搭載していたがマッフとは呼ばれない。グン・ジェムの操縦技術と相俟って高い戦闘力を誇り、連合軍を徹底的に苦しめた。編成間もないドラグーン隊を壊滅、D-1を大破に追いやったほど。劇中では最後までほとんど損傷を受けなかった。第38話以降はグン・ジェムがギルガザムネに乗り換えたため使用されなくなる。第39話で秘密兵器工場への移動に使用されていたのが最後の登場シーンである。 ちなみに「スーパーロボット大戦」等の一部のクロスオーバー作品では本機の制式量産仕様が登場していることがある。