ホーキング放射
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
テンプレート:出典の明記 ホーキング放射(ホーキングほうしゃ、テンプレート:En)またはホーキング輻射(ふくしゃ)とは、ホーキングが存在を提唱・指摘した、ブラックホールからの熱的な放射のことである。
ブラックホールは熱的な特性を持つだろう、と予言したベッケンシュタインの名前を取って、ベッケンシュタイン・ホーキング輻射(テンプレート:En)と呼ぶこともある。
概説
一般相対性理論が予言するブラックホール天体には、量子効果を考えるならば、熱的な放射がある、と1974年にホーキングが提唱した。
テンプレート:要出典範囲そのアナロジーから、ブラックホールの絶対温度 T が次式で定義される[1]。
- <math>T = \frac{\hbar c^3}{8\pi kGM}</math>
ここで k はボルツマン定数、M はブラックホールの質量である[1]。つまり、ブラックホールはその質量M で決まる温度 T の熱放射を放出していることになり[1]、完全に「黒い」わけではない。これがホーキング放射である。ホーキング放射はエネルギーを外部に放出するので、ブラックホールの質量は減少する。
上式から、ブラックホールは質量M が小さければ小さいほど高温であるといえる[1]。とはいえその温度は、例えば太陽の数倍の質量を持つブラックホールの場合、100万分の1 K 程度[注 1]となり、通常の恒星質量クラスのブラックホールでは宇宙背景放射の温度(3 K)よりもずっと低い[1]。