フォーヴィスム
テンプレート:出典の明記 フォーヴィスム(テンプレート:Lang-fr-short、野獣派)は、20世紀初頭の絵画運動の名称。
1905年にパリで開催された展覧会サロン・ドートンヌに出品された一群の作品の、原色を多用した強烈な色彩と、激しいタッチを見た批評家ルイ・ボークセル(テンプレート:Lang-fr-short、テンプレート:Lang-en-short)が「あたかも野獣の檻(フォーヴ、fauverie)の中にいるようだ」と評したことから命名された。
象徴主義の画家で、当時エコール・デ・ボザール(官立美術学校)の教授をしていたギュスターヴ・モローがフォーヴィスムの画家達の指導者であった。彼が弟子達に主張したのは、形式の枠組みの外で物事を考え、その考えに従うことであった。主な弟子達は、この運動の中心人物であるアンリ・マティス、アンドレ・ドラン達であった。
フォーヴィスムはキュビズムのように理知的ではなく、感覚を重視し、色彩はデッサンや構図に従属するものではなく、芸術家の主観的な感覚を表現するための道具として、自由に使われるべきであるとする。ルネサンス以降の伝統である写実主義とは決別し、目に映る色彩ではなく、心が感じる色彩を表現した。世紀末芸術に見られる陰鬱な暗い作風とは対照的に、明るい強烈な色彩でのびのびとした雰囲気を創造した。
フォーヴィスムに分類される主要な画家は、以下のとおり。
- アンリ・マティス(Henri Matisse; 1869年-1954年)
- アンドレ・ドラン(André Derain; 1880年-1954年)
- モーリス・ド・ヴラマンク(Maurice de Vlaminck; 1876年-1958年)
- ラウル・デュフィ(Raoul Dufy; 1877年-1953年)
- ジョルジュ・ルオー(Georges Rouault; 1871年-1958年)
フォーヴィスムに影響を与えた画家として、明るく強烈な印象の色彩を使用するポール・ゴーギャンやフィンセント・ファン・ゴッホ、点描のジョルジュ・スーラやポール・シニャックに代表される新印象派の画家達、またポール・セザンヌ等が挙げられる。
日本への影響
フォーヴィスムは日本にも大きな影響を与えている。例えば、1992年から1993年にかけて『フォーヴィスムと日本近代洋画』(愛知県美術館、京都国立近代美術館、東京国立近代美術館)という展覧会が開催されており、その展覧会では次の21名の作家が取り上げられている。
- 梅原龍三郎(1888-1986)
- 川上凉花(1887-1921)
- 岸田劉生(1891-1929)
- 木村荘八(1893-1958)
- 熊谷守一(1880-1977)
- 小出楢重(1887-1931)
- 小絲源太郎(1887-1978)
- 児島善三郎(1893-1962)
- 佐伯祐三(1898-1928)
- 里見勝蔵(1895-1981)
- 鈴木金平(1896-1978)
- 中川一政(1893-1991)
- 中川紀元(1892-1972)
- 中村彝(1887-1924)
- 野口弥太郎(1899-1976)
- 長谷川利行(1891-1940)
- 前田寛治(1896-1930)
- 三岸好太郎(1903-1934)
- 村山槐多(1896-1919)
- 柳瀬正夢(1900-1945)
- 萬鐵五郎(1885-1927)
関連項目
関連文献
- 秋丸知貴「フォーヴィズムと自動車」(2013年)(初出:秋丸知貴「フォーヴィスムと自動車――二〇世紀における近代技術による視覚の変容」『形の文化研究』第6号、形の文化会、2011年、23-32頁。)