ファフニール
ファフニール(fefnir、fevnir:ファフニル、ファーフニール、ファーフニル、ファーブニル、ファヴニル、ファフナー、ファーフナー 英:fafnir / fafner)は、北欧神話及びドイツ北部のゲルマン神話等に登場するドワーフ(もしくは人間)[1][2]。ワーム(日本語では竜-ドラゴン もしくは蛇)に変身する[1][2]。その名は(多くの黄金を抱え込んだことから)「抱擁するもの」を意味する[2]。
北欧神話・ゲルマン神話におけるファフニール
話の細部は物語(『エッダ』・『ヴォルスンガ・サガ』・『ファーヴニルの歌』等)によって異なるが、あらすじは以下の通りである。
ファフニールはフレイズマルの長男であり、オッテル(次男)とレギン(三男)という弟がいた[2]。 神であるロキ・オーディン・ヘーニルが旅をしているとき、河でカワウソに変身していたオッテルをしとめた[2]。神々はそれを知らずにフレイズマルにその日の宿を求めた。フレイズマルに指示されたファフニールとレギンは神々を捕らえ、賠償金を要求する[2]。
神々はオッテルの皮の内側と外側を埋め尽くす量の黄金(もしくは赤い黄金)を支払うことで合意する。オーディンとヘーニルが人質として残され、ロキがドワーフのアンドヴァリから黄金と黄金を生み出す指輪(もしくは腕輪)を奪う[2]。その際に、アンドヴァリは指輪の持ち主に永遠の不幸をもたらす呪いをかける[2](もしくは最初から指輪はそのような性質のものであった)。
指輪は黄金とともに皮に入れられてフレイズマルに渡された。そして黄金に欲を出したファフニールはフレイズマルを殺害する[1][2]。ファフニールは黄金を弟と分け合うことを拒み、黄金とともにグニタヘイズ(Gnitaheidr)へ逃亡、黄金を守るために毒を吐くワームに変身する[1][2](もしくは指輪の呪いによってワームになってしまう)。
レギンはシグルズという若者にこのことを話し、ファフニールを殺すように頼む[1][2]。鍛冶屋であったレギンはシグルズの持っていた折れた剣グラムを鍛えなおして与える[2]。
シグルズはグラムでファフニールを殺す[2]。リジル(リジン)という剣でファフニールの心臓を切り出し、シグルズはレギンの指示に従って心臓を火で焙ったが、その際にやけどを負い、指をなめてドラゴンの血もなめてしまった[1][2]。そしてドラゴンの血の力によってシグルズは全ての言語を理解する力を得る[1][2]。鳥の鳴き声からレギンに自分が殺されようとしていることを知ったシグルズはレギンを殺し、黄金を手に入れる[1][2]。
『ニーベルングの指環』におけるファフニール
ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』におけるファフニールはファーフナーという名前で登場し、竜に変身はするものの、巨人族として描かれている[3]。
また、シグルズはジークフリートと呼ばれ、オッテルとレギンはそれぞれアルベリヒとミーメと呼ばれている他、彼らの血縁関係も変化しているが、物語における役割に大きな変化は無い[3]。