トランセカード

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トランセカードとは、かつて東急トランセが発行していた、渋谷・代官山路線専用のバスカードである。非接触ICチップを内蔵している。

概要

東急トランセの渋谷・代官山路線では、運行開始時(1998年7月28日)から専用のバスカードとしてICカードを採用していて、このカードは公共交通分野で早期に導入されたICカードの一つとして知られている。

発売開始から7か月後の1999年3月での発行枚数は約1,000枚で、1日の利用者約1,500人のうち売り上げの約2割がカード利用分であった。

カードは、バス車内と東急バス下馬営業所で販売していた。発売額は3,000円で、150円分のプレミアを付加して3,150円分使用できた。デポジット(預り金)はない。カードを購入すると、簡単な説明の記された紙片と大小2枚のシール(TRANSSESロゴ入りシールとカードサイズの透明シール)が付いてきた。

形状

サイズは、SuicaなどのICカードと同じ。表面には中央に白いパネルがあるが、リライト印刷はない。なお、添付のTRANSSESロゴ入りシールはパネル部分にぴったり合うサイズで、利用者が自分でシールを貼付する事ができる。裏面には注意事項が印刷されている。他に、シリアル番号らしき8桁の数と "RC-S102/6T" という文字が薄く刻印されている。切り欠きはない。刻印されている "RC-S102" は、1997年頃にソニーが販売していた非接触ICカードの型番を記したものと推測されている。

内蔵されているICチップは非接触式で、サイズの違う四角形を2個つなげた様な形状のループアンテナが接続されている。

使用方法

乗車時に運転席横に設置されている料金箱のカードリーダ部分にカードをしっかりタッチすると、「ピッ」という音と共に料金と残額が表示される。エラー発生時には「ピッピッピッ」と3回音がする。複数人(割引がある)あるいは小児が乗車される場合は、運転手にその旨を告げてからタッチしなければならない。料金は均一・前払いのため、降車時の処理はない。

非接触式のため、(電磁波を阻止しない素材でできた)定期入れや財布・かばんの中に入れたままでも利用可能である。

チャージ(入金)はバス車内で可能で、1,000円、2,000円、3,000円の3種類があり、それぞれに5%のプレミアが付いている。

カード残額は運賃支払い時に表示されるが、他では確認できない。カード紛失時に備えてシステム側では利用履歴・入金情報を保管している。

利用停止

2007年8月24日から、このカードを導入していた渋谷・代官山線においてPASMOを導入した(ただし、バス利用特典サービスは適用されない)。それと引き換えにこのカードは利用停止となり、代替措置として「代官山循環線専用バスカード」(磁気カード)の発行を開始している。なお、トランセカードに残っている残高については、同月17日から払い戻しあるいは磁気カードへの交換の取り扱いを東急バス渋谷案内所にて行っている。

経緯

  • 1998年7月28日 - 運行開始時から「トランセカード」を導入。
  • 1999年3月 - 約1,000枚を発行。
  • 2007年8月17日 - 磁気カードの「代官山循環線専用カード」の発売を開始。あわせてトランセカードの払い戻し・磁気カードへの交換の扱いを開始。
  • 2007年8月23日 - PASMO導入に伴い、トランセカードの利用を停止。
  • 2007年8月24日 - PASMOおよび磁気カードを導入。

関連項目

テンプレート:ICカード乗車券