テナガザル

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テナガザル(手長猿)は、テナガザル科に属するサルの総称。名前の通り、前肢の長さが特徴的である。

分布

インド東端を西限、中国最南端を北限とし、バングラデシュミャンマーインドシナ半島を経て、マレー半島からスマトラ島ジャワ島西部、ボルネオ島に至る地域[1]。千年ほど前には黄河以北にも生息していたことが中国の文献に記載されている[2]

生態

東南アジア地域では熱帯雨林、アジア本土では半落葉性モンスーン林に生息している[1]。ほとんどの種では頭胴長 45-65 cm、体重 5.5-6.7 kgだが、フクロテナガザルは頭胴長 75-90 cm、体重約10.5 kg[1]。樹上生活者であり、長い腕で「枝わたり」(ブラキエーション)をして林冠を移動して生活する。

1夫1妻で、子供を含めた4頭程度の群れを形成している。母親はふつう2-3年ごとに1頭の子供を産む。生後6年目ぐらいに性成熟、8年目までには社会的にも成熟し、それまでに群れを出て行っていなければ家族集団からの離脱が父親によってうながされる[3]

テナガザルは歌を歌うことで知られている。主にカップルのオスとメスが交互に叫びあいながら、複雑なフレーズを取り混ぜたデュエットを行うのである。頻度は1日2回から5日で1回と種や社会的状況によっても異なる。縄張りの境界で集団が出会ったときなどは、1回の平均継続時間が35分と非常に激しくなる。この歌は家族間の絆を深めたり、他の群れに対してなわばりを主張したりすることに役立っていると考えられる[3]。この歌い方は、種によってそれぞれ特色があるため、歌を聞き分けることにより、種の判別が可能である[1]

分類

本稿ではテナガザル科に属する全種がテナガザル属(Hylobates )1属に属するとしているが、フクロテナガザルのみをフクロテナガザル属(Symphalangus )にしてあとの8種はテナガザル属とする説や、さらにテナガザル属からフーロックテナガザル属(Hoolock )やクロテナガザル属(Nomascus )を分離する説などがある。

保護上の位置づけ

人間との関係

テナガザルの生活域である熱帯雨林は、伐採により減少しており、生活環境が脅かされている。また、ペットとしての捕獲もその生存を圧迫してきた。テナガザルの飼育の歴史は長く、古くは古代中国の王侯が飼育していた記録がある。水墨画にもよく描かれ、特に水面の月を掬う意匠が有名である。

テナガザル科の分岐

テナガザル科はヒト上科に属しているが、同じくヒト上科に属するヒト科から分岐したのは2000万年から1600万年前[4]と言われている。

脚注

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参考文献

cs:Gibon

sk:Gibonorodé
  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 『動物大百科3』 p122
  2. 『動物大百科3』 p125
  3. 3.0 3.1 『動物大百科3』 p126
  4. ヒトとチンパンジーの系統的学位置