ツィンバロム
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ツィンバロム(ハンガリー語:cimbalom)は、ハンガリーを中心とする中欧・東欧地域で見られる大型の打弦楽器。多くのものは39コース以上の弦、4オクターブ以上の音域を持つ。チンバロン、ツィンバロンなどの表記も多く用いられる(ツィンバロムは日本打弦楽器協会[1]推奨表記)。ロマの音楽で多く用いられる他、コダーイ、ストラヴィンスキー、クルターグ・ジェルジなどの近現代の作曲家にもしばしば用いられている。コダーイがオペラから編んだ組曲『ハーリ・ヤーノシュ』(第3曲、第5曲でソロ的に扱われる)が特に有名で、しばしば演奏される。
外形的には、彫刻を施されたクラシックな雰囲気のものが多いが、最近では装飾を一切廃した楽器なども作られるようになってきている。メーカーとしては、Bohak の評価が高く、近年では Bohak から独立した Kosmos の工房の楽器の評価があがってきている。
メーカー
- Bohák
- Kozmosz
- Schunda
- Vsiansky[2]
ツィンバロムを用いた楽曲
- フランツ・リスト:「ハンガリー狂詩曲第3番」(ドップラーによる管弦楽版)
- ドビュッシー:「レントより遅く」(作曲者自身による室内オーケストラ版)
- ストラヴィンスキー:「狐」「ラグタイム」
- バルトーク:「ラプソディー第1番」
- コダーイ:組曲「ハーリ・ヤーノシュ」
- デュティユー:「瞬間の神秘」「夢の樹」
- クルターグ:「クアジ・ウナ・ファンタジア op.27」「シュテファンの墓碑」
- アンドリーセン:「時間 (De Tijd)」
- コステロ:「イル・ソーニョ (IL SONGO)」
- レハール: 喜歌劇「ジプシーの恋」
- カールマーン: 喜歌劇「チャールダーシュ侯爵夫人」「伯爵夫人マリッツァ」
(オペレッタの上演では、しばしば(ハンガリー、オーストリア国外では)ツィンバロムを省略、またはハープなどで代用することが多い。
演奏家
- Geza ALLAGA (1841-1913)
- Sandor HERKEL
- Ylonka Fodor
- Ida Tarjani Toth (1918- )
- 加納靖子 (193* -)
- Viktoria Herencsar (194* -)
- Agnes SZAKALY (1951 -)
- James Earl Barnes
- Laurence Kaptain
- 崎村潤子 (1965 -)
- 斉藤浩
- Suzana Hroncekova (1983 -)
- Vladimir homola
- Aladar RACZ (1886-1958)
- Josef SZALAY
- Zoth ELEK
- Ferenc Gerencser (1923-1989)
- Ilona Szeverenyi (1946 -)
- Gyongyi FARKAS
- Marta FABIAN (1946 -)
- Detlef KIEFFER (1944 -)
- Paul STINGA (1948 -)
- Ildiko Vekony (1963 -)
- Rozsa Farkas (1971 -)
- Enik? Ginzery (1975 -)
- Helena Cervenkova
- Katerina Zlatnikova
- Ruzena Decka
- Luigi Gaggero
- John H. Leach
- Toni IORDACHE (1942-1987)
- Kalman Balogh (1959 -)
- Ludovit KOVAC (1968 -)
関連項目
- ハンマー・ダルシマー
- サントゥール
- カラマーゾフの兄弟(ドストエフスキーの小説。第8編でユダヤ女性が演奏するという楽器はヴァイオリンとツィンバロムだろうが、多くの邦訳ではツィンバロムではなくシンバルになっている。これはロシア語のЦимбалыにツィンバロムとシンバルの両方の意味があるための誤訳だと思われる)
外部リンク