1600メートルリレー走
1600メートルリレー走は、4人で400mずつリレーしながら走り、その時間を競う陸上競技である。
概要
1600メートルは約1マイルであることから、マイルリレーとも呼ばれる。また、4×400mRや1600mRと表記されることも多い。ほとんどの大会ではマラソンなどを除いて最終種目として行われることが多く、大いに盛り上がる種目である。
第1走者のみがセパレートレーンで走り、第2走者が第2コーナーを回ってからはオープンレーンとなる。この為、選手同士の接触や接触によるバトンの落下、また競り合いによる激しい肉弾戦も展開される。走力も重要だが、リレーゾーンではコーナートップ制を取っていて、2走から3走、3走からアンカーへのバトンパスは、走り終えた選手がバトンを受けて走り出す選手の進路を妨げてしまう(走り終えた直後であり、後ろは見えない)危険もあり、ここでのタイムロスもまた勝負の行方を左右するのでバトンパスも重要である。
基本的には400mを得意にする選手で構成されることが多いが、持久力があり、ラストスパートの強さを生かせる800メートル走の選手や、障害走ながら同じ距離を走る400メートルハードルの選手が起用されることも多い。またスピードを武器とする100m、200mを本業とする選手がオリンピックや世界陸上競技選手権大会の決勝で、メダル獲得や入賞への切り札として投入され、大きく貢献することもある(日本では伊東浩司、世界ではアリソン・フェリックスなどが該当する)。但しこれは多くの大会の場合、彼らの本職である4×100mRの決勝と本種目の予選が同一日(最終日の前日)に重なっており、たとえ2、3時間の間隔が開いていてもかけもちが難しい(スタッフも無理をさせたくないのが本音と思われる)という日程面の影響もある。
現在の競技状況
世界的に男子は、アメリカが400メートルのベストタイム43~44秒台の選手を多数擁する絶対の選手層で、実力が突出しているが、2~8位ぐらいまでは実力的にほとんど差がない状態である。1990年代後半~2000年代の初めには日本の実力は6位前後で、今後の強化次第では世界選手権やオリンピックでのメダル獲得は決して夢ではないと思われていた時期もあった。現にアトランタオリンピックで初の5位入賞(現在もアジア記録として残る)を果たし、アテネオリンピックではこの種目としては世界大会過去最高の4位(3位とは100分の9秒差)に入っている。反面決勝の常連である4×100mRに比べると選手の層が若干薄く、また選手個人の故障などもあってベストな状態で挑めることが少なく、北京オリンピックではベストメンバーを組めず予選で敗退するなど、現在では決勝進出のボーダーライン上に位置している[1]。世界陸上選手権は第1回からの連続出場を続けてきたが、2009年は参加標準記録を切ることができず、連続出場が途切れた。[2]
女子はアメリカ、ジャマイカ、ロシアなどが実力上位と考えられ、日本は世界選手権やオリンピックの出場枠の上位16位が当面の目標であったが、2008年の北京オリンピックで史上初めて出場枠を手に入れ、予選敗退ながらも日本記録に匹敵する走りを披露した。
男子
記録 | タイム | 名前 | 所属 | 日付 |
---|---|---|---|---|
世界 | 2分54秒29 | アンドリュー・バルモン、クインシー・ワッツ、ブッチ・レイノルズ、マイケル・ジョンソン | テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 | 1993年8月22日 |
世界ジュニア | 3分01秒09 | ブランドン・ジョンソン、ラショーン・メリット、Jason Craig、カーロン・クレメント | テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 | 2004年7月18日 |
アジア・日本 | 3分00秒76 | 苅部俊二、伊東浩司、小坂田淳、大森盛一 | テンプレート:Flagicon 日本 | 1996年8月3日 |
学生 | 3分03秒71 | 小林稔、向井裕紀弘、中川亘、山村貴彦 | 日本大学 | 2000年5月21日 |
学生(混成) | 3分03秒20 | 太田和憲、堀籠佳宏、山村貴彦、成迫健児 | テンプレート:Flagicon 日本 | 2005年8月20日 |
アジア・日本ジュニア | 3分04秒11 | ウォルシュ・ジュリアン、油井快晴、北川貴理、加藤修也 | テンプレート:Flagicon 日本 | 2014年7月27日 |
高校 | 3分08秒32 | 笛木靖宏、山本真也、菅井純平、鈴木哲平 | 成田高等学校 | 2003年10月12日 |
中学 | 3分25秒5 | 尾崎宏文、井谷弘志、矢追孝、谷脇啓司 | 川西町三宅町組合立式下中学校 | 1987年6月28日 |
女子
記録 | タイム | 名前 | 所属 | 日付 |
---|---|---|---|---|
世界 | 3分15秒17 | タチアナ・レドフスカヤ、オルガ・ナザロワ、マリヤ・ピニギナ、オルガ・ブリズギナ | テンプレート:Flagicon ソビエト連邦 | 1988年10月1日 |
世界ジュニア | 3分27秒60 | アレクサンドリア・アンダーソン、Ashlee Kidd、ステファニー・スミス、Natasha Hasting | テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 | 2004年7月18日 |
アジア | 3分24秒28 | 安小紅、白暁雲、曹春英、馬玉芹 | テンプレート:Flagicon 中国河北省 | 1993年9月13日 |
日本 | 3分30秒17 | 青木沙弥佳、丹野麻美、久保倉里美、木田真有 | テンプレート:Flagicon 日本 | 2007年9月1日 |
学生 | 3分34秒70 | 渡辺なつみ、丹野麻美、青木沙弥佳、金田一菜可 | 福島大学 | 2007年10月28日 |
日本ジュニア | 3分34秒83 | 天野恵子、笠島里美、山形依希子、柿沼和恵 | テンプレート:Flagicon 日本 | 1992年9月20日 |
高校 | 3分37秒86 | 筬島愛、新宮美歩、高橋満里、三木汐莉 | 東大阪大学敬愛高等学校 | 2009年8月2日 |
高校(混成) | 3分35秒03 | 青山聖佳、杉浦はる香、大木彩夏、神保祐希 | 日本選抜U19 | 2013年11月2日 |
中学 | 3分54秒88 | 徳田由美子、松本恵、飯島直美、鈴木真紀 | 三芳町立藤久保中学校 | 1988年11月3日 |
関連項目
- 陸上競技の世界記録一覧
- 陸上競技のオリンピック記録一覧
- 世界陸上競技選手権大会 大会記録
- 陸上競技の日本記録一覧
- 日本陸上競技選手権リレー競技大会
- オリンピック陸上競技メダリスト一覧 (男子)
- オリンピック陸上競技メダリスト一覧 (女子)
脚注
テンプレート:陸上競技- ↑ 2000年のシドニーオリンピックでは、順当に準決勝まで進出したが、バトンを落とすというミスもあり準決勝最下位に終わった。
- ↑ 2009年は幾度か記録突破のチャンスがありながら、生かせなかった。まず可能性が高いIAAFグランプリ大阪大会で狙おうとしたが、国際陸上競技連盟がタイムテーブル上個人種目を優先すべきと難色を示した為、400メートルハードルを走って1時間弱しか経っていない成迫健児を使わざるを得なかった。次の機会を求めて5月下旬にかけてアジア各地のグランプリを転戦し、そこでの記録突破を目論んだが、ちょうど2009年新型インフルエンザが蔓延していた時期と重なり、連戦による選手間の感染、被害拡大は避けねばならず、マカオで行われたグランプリ1本に絞って調整したが、ここでも標準記録に届かなかった。日本陸連は最後のチャンスとして日本陸上競技選手権大会終了後にベオグラードで開かれるユニバーシアードを選び、既に世界陸上出場権を得ていた金丸祐三らを投入し、記録突破次第ではリレー要因としてこの種目のみ代表選手を追加派遣することにした。結果銅メダルは獲得したものの、バトンパスで前を塞がれるなどロスがあり記録を突破できず、この時点で世界陸上出場の可能性はなくなった。このように様々な要因が絡んだのも理由ではあるが、選手の層が薄い点を拭えなかったことが最も大きく影響している。