宮島喬
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宮島 喬(みやじま たかし、1940年10月19日 - )は、日本の社会学者。法政大学大学院社会学研究科教授。専門は社会学。とくにエミール・デュルケムやピエール・ブルデューなどフランス社会学の研究で知られる。
人物・来歴
1940年、東京都生まれ。父は哲学者の宮島肇。東京大学文学部卒業、東京大学大学院社会学研究科博士課程中退。1973年よりお茶の水女子大学助教授、同教授、立教大学教授を経て、現職。日本学術会議連携会員。弟に経済学者の宮島洋、政治学者の宮島泉がいる。また、折り紙作家の宮島登は次男。
研究歴
デュルケムを中心としたフランス社会学研究者として出発し、1990年頃からは、ヨーロッパ諸国におけるナショナル・マイノリティと移民に関する研究を進めている。とりわけ、カタルーニア、オクシタニー、南ティロルなどの住民の言語・文化運動、そして移民問題については、フランスにおけるマグレブ系、ブラックアフリカ系移民の第二世代の教育、就労、社会参加に焦点をあてている。また、その知見から日本の移民問題についても発言している。
著書
単著
- 『デュルケム社会理論の研究』(東京大学出版会, 1977年)
- 『現代フランスと社会学――社会構造と社会理論の変容』(木鐸社, 1979年)
- 『デュルケム自殺論』(有斐閣, 1979年)
- 『現代社会意識論』(日本評論社, 1983年)
- 『デュルケム理論と現代』(東京大学出版会, 1987年)
- 『デュルケム「自殺論」を読む』(岩波書店, 1989年)
- 『外国人労働者迎え入れの論理――先進社会のジレンマのなかで』(明石書店, 1989年)
- 『ひとつのヨーロッパいくつものヨーロッパ――周辺の視点から』(東京大学出版会, 1992年)
- 『外国人労働者と日本社会』(明石書店, 1993年)
- 『文化的再生産の社会学――ブルデュー理論からの展開』(藤原書店, 1994年)
- 『ヨーロッパ社会の試練――統合のなかの民族・地域問題』(東京大学出版会, 1997年)
- 『文化と不平等――社会学的アプローチ』(有斐閣, 1999年)
- 『共に生きられる日本へ――外国人施策とその課題』(有斐閣, 2003年)
- 『ヨーロッパ市民の誕生――開かれたシティズンシップへ』(岩波書店[岩波新書], 2004年)
- 『移民社会フランスの危機』(岩波書店, 2006年)
共著
- (石川晃弘・梅澤正・高橋勇悦・江草忠允)『みせかけの中流階級――都市サラリーマンの幸福幻想』(有斐閣, 1982年)
- (梶田孝道・伊藤るり)『先進社会のジレンマ――現代フランス社会の実像をもとめて』(有斐閣, 1985年)
編著
- 『ライブラリ社会学(10)社会学の歴史的展開』(サイエンス社, 1986年)
- 『現代社会学』(有斐閣, 1995年)
- 『文化の社会学――実践と再生産のメカニズム』(有信堂高文社, 1995年)
- 『現代ヨーロッパ社会論――統合のなかの変容と葛藤』(人文書院, 1998年)
- 『外国人市民と政治参加』(有信堂高文社, 2000年)
- 『講座社会学(7)文化』(東京大学出版会, 2000年)
- 『岩波小辞典・社会学』(岩波書店, 2003年)
- 『外国人の子どもと日本の教育――不就学問題と多文化共生の課題』(東京大学出版会, 2005年)
- 『移民の社会的統合と排除――問われるフランス的平等』(東京大学出版会、2009年)
共編著
- (梶田孝道)『現代ヨーロッパの地域と国家――変容する<中心-周辺>問題への視角』(有信堂高文社, 1988年)
- (藤田英典)『文化と社会――差異化・構造化・再生産』(有信堂高文社, 1991年)
- (梶田孝道)『統合と分化のなかのヨーロッパ』(有信堂高文社, 1991年)
- (手塚和彰・伊藤祐禎)『シリーズ外国人労働者(5)外国人労働者と自治体』(明石書店, 1992年)
- (藤田英典)『文化と社会』(放送大学教育振興会, 1993年)
- (原輝史)『フランスの社会――変革を問われる文化の伝統』(早稲田大学出版部, 1993年)
- (加藤節)『難民』(東京大学出版会, 1994年)
- (西川長夫)『ヨーロッパ統合と文化・民族問題――ポスト国民国家時代の可能性を問う』(人文書院, 1995年)
- (北川隆吉)『20世紀社会学理論の検証』(有信堂高文社, 1996年)
- (梶田孝道)『外国人労働者から市民へ――地域社会の視点と課題から』(有斐閣, 1996年)
- (羽場久浘子)『ヨーロッパ統合のゆくえ――民族・地域・国家』(人文書院, 2001年)
- (小倉充夫・加納弘勝・梶田孝道)『国際社会(全7巻)』(東京大学出版会, 2002年)
- (石井洋二郎)『文化の権力――反射するブルデュー』(藤原書店, 2003年)
- (島薗進)『現代日本人の生のゆくえ――つながりと自律』(藤原書店, 2003年)
- (岩崎信彦、ケリ・ピーチ, ロジャー・グッドマン, 油井清光)『海外における日本人、日本のなかの外国人――グローバルな移民流動とエスノスケープ』(昭和堂, 2003年)
- (五十嵐暁郎)『平和とコミュニティ――平和研究のフロンティア』(明石書店, 2007年)
- (若松邦弘・小森宏美)『地域のヨーロッパ――多層化・再編・再生』(人文書院, 2007年)
訳書
- レイモン・ブードン『社会学の方法』(白水社, 1970年)
- レイモン・アロン『社会学的思考の流れ』(法政大学出版局, 1974年-1984年)
- モーリス・デュヴエルジュ『ヤヌス――西欧の二つの顔』(木鐸社, 1975年)
- デュルケム『社会学的方法の規準』(岩波書店 [岩波文庫], 1978年)
- デュルケム『社会学講義 習俗と法の物理学』(みすず書房, 1982年)
- アラン・トゥレーヌ『現代国家と地域闘争――フランスとオクシタニ』(新泉社, 1984年)
- デュルケム『自殺論』(中央公論社 [中公文庫], 1985年)
- A・ギデンズ『社会理論の現代像――デュルケム, ウェーバー, 解釈学, エスノメソドロジー』(みすず書房, 1986年)
- ピエール・ブルデュー, ジャン=クロード・パスロン『再生産――教育・社会・文化』(藤原書店, 1991年)
- D・トレンハルト編『新しい移民大陸ヨーロッパ――比較のなかの西欧諸国・外国人労働者と移民政策』(明石書店, 1994年)
- レイモン・ブードン、フィリップ・ベナール、モハメッド・シェルカウィ、ベルナール=ピエール・レキュイエール編『ラルース社会学事典』(弘文堂, 1997年)
- マルコ・マルティニエッロ『エスニシティの社会学』(白水社, 2002年)
- パトリック・シャンパーニュ『世論をつくる――象徴闘争と民主主義』(藤原書店, 2004年)
- ミシェル・ヴィヴィオルカ『差異――アイデンティティと文化の政治学』(法政大学出版局、2009年)