津山城
津山城(つやまじょう)は岡山県津山市山下にあった日本の城。別名・鶴山城(かくざんじょう)。城跡は国の史跡に指定されている。
概要
城郭の形式は梯郭式平山城。日本三大平山城のひとつ。 津山盆地の中央部に位置する。城の東部を流れる吉井川支流の宮川及び丘陵の天然の断崖を防御線に取り入れている。城の南部を流れる吉井川とその支流で西部に位置する藺田川(いだがわ)を外郭とし、その内側に城下町の主要部を形成している。
天守は破風を持たない4重5階の独立型層塔形式で、小倉城の天守を模して造られたともいわれているが[1]、これに関してひとつの伝承がある。小倉城の天守の評判を聞いた森忠政が築城にあたって小倉城に家臣を派遣したが、家臣が現地を検分していたところを怪しまれ捕る事態となった。当時の常識なら打ち首の上津山藩に厳重抗議をしてもおかしくないが、話を聞いた細川忠興は好きなだけ調査させ図面まで手土産に持たせたという話が伝わっている。また、津山城天守最上階には小倉藩細川家から贈られた西洋風の鐘が明治期まで釣られていた[2]。天守の巨大さゆえに幕府に目をつけられ、忠政は4重目の瓦を破棄し「あれは庇(ひさし)であって4重である」と言い切り難を逃れたと伝えられている。
往時は外郭を含めると77棟の櫓を持ち[3]、広島城の76棟、姫路城61棟をしのぐ櫓の多さであったが、明治6年(1873年)の廃城令により天守・櫓などの建物が破却され天守台・石垣のみとなっている。
また、慶長年間の津山城の大規模な改修の為の石材集めの過程で偶然ではあるが褐鉄鉱の露頭が掘り当てられ、柵原鉱山が発見された。
現在は鶴山公園(かくざんこうえん)として桜の名所となっており日本さくら名所100選にも選ばれている。例年4月1日〜15日には津山さくらまつりが実施される。また近隣の津山郷土博物館には、文献や古写真に基づいて製作された津山城の復元模型がある。
歴史・沿革
室町時代
- 嘉吉年間(1441年 - 1444年):美作国の守護大名であった山名教清が、一族の山名忠政に現在の津山城のある丘陵(鶴山)に鶴山城を築かせたのが最初である。しかし応仁の乱で山名氏衰退ののち廃城となる。
江戸時代
- 慶長8年(1603年):森忠政が18万6千石で入封し津山藩が立藩。同年、現在見られる津山城の建設に着手。また、城地の名を「鶴山」から「津山」に改めた。
- 元和2年(1616年):13年の歳月をかけ、5層の天守を戴き櫓や城門などを合わせ80余棟が建ち並ぶ大規模な近世城郭が完成。
- 元禄10年(1697年):森氏断絶。安芸国広島藩主・浅野綱長の預かりとなる。
- 元禄11年(1698年): 松平宣富(越前家)が越後国高田藩より10万石で入封。以後、明治4年(1871年)の廃藩置県まで城主となる。
- 文化6年(1809年):火災により本丸御殿焼失。
近現代
- 明治6年(1873年):廃城令により大蔵省管理となり競売される。
- 明治7年 - 明治8年(1874年 - 1875年):天守・櫓などの建物が悉く破却される。
- 明治23年(1890年):腰巻櫓跡石垣の崩落。これを契機に城の保存運動が起こる。
- 明治33年(1900年):城跡は町有化され鶴山公園となる。以後、津山町の管理下のもと保存整備され、桜の木が多数植えられる。
- 明治38年(1905年):三の丸に藩校の修道館を移築し、「鶴山館」と改称する。
- 昭和11年(1936年):姫津線全通記念産業振興大博覧会(3月26日から5月5日まで開催)で模擬天守を建てる。(太平洋戦争中に空襲の目標とされる危惧のため解体)
- 昭和38年(1963年):国の史跡となる。
- 平成14年(2002年):築城400年記念行事の一環として、備中櫓復元工事に着手。平成17年(2005年)完成。
- 平成18年(2006年):天守台南側に太鼓塀を復元。
- 平成18年(2006年)4月6日:日本100名城(67番)に選定された。
- 平成25年(2013年):天守台に期間限定の模擬天守(1/2スケール)を復元[4][5][6][7]
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天守台
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天守台内部
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天守台の入口
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石垣
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裏鉄門跡
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鶴山館
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天守台から見る備中櫓
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備中櫓と桜
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備中櫓から見る模擬天守
現地情報
城跡は鶴山公園(かくざんこうえん)として整備されている。入園は有料。
アクセス
- JR津山駅から徒歩15分
- 中国自動車道津山インターチェンジまたは院庄インターチェンジから約15分
脚注
- ↑ 津山城築城400年記念事業
- ↑ 「よみがえる津山城」(津山観光協会製作)中の広島大学名誉教授鈴木充氏のコメントによる
- ↑ 津山"きんちゃい"観光ネット/津山城 ~いまむかし~
- ↑ 美作国建国1300年記念事業
- ↑ 津山城の模擬天守閣完成 威容再び、現地で披露式典
- ↑ [1]
- ↑ [2]
参考資料
- テンプレート:Cite book
- 『史跡 津山城跡』 津山市教育委員会作成パンフレット
- 『津山城跡(鶴山公園)・衆楽園』 現地配布冊子