関税
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テンプレート:財政 関税(かんぜい)は、国内産業の保護を目的として又は財政上の理由から、輸入貨物に対して課される税金で、間接消費税に分類される。
関税用語
- 特恵関税
- 保税地域
関税の機能
関税の機能は大別すると以下の通りになる。
国家収入の確保
経済の発展段階が低い開発途上国(UC)・後発開発途上国(LDC)においては、国家財政を確保する手段として重要な収入源になっている場合がある。
また通常、関税は輸入品のみに対して課せられるが、一層の収入増大を図る目的で、輸出品に対しても関税を課する所もある。特にレアメタルなどの鉱産物で、埋蔵量が一国に偏在し産業に不可欠なものへの輸出関税賦課は、国内経済への悪影響をあまり伴わずに国庫収入を増やす手段となる。
先進国においては通常、関税収入の国家収入に占める比率は低く、5%ないし10%以下程度である。日本に限って言えばここ数年は2%を割り込んでいる。発展途上国では関税の収入が、国全体の収入の50%を超えている国が多い[1]。
国内産業および市場の保護および振興・育成
国内企業の保護・振興や、海外から国内投資誘致のために特定の品目に関する関税率を(高く)設定する場合がある。
- 国内企業および市場の保護および振興策としての側面
- 国内において、国策上保護や振興を要する、国際競争力の低い産業、または衰退しつつある産業等が存在する場合、海外からの輸入品に対し、高関税を課することにより、その海外製品の国内市場での売れ行きを低下させ、ひいては上記の国内産業の存続を図る。また、徴収した関税額を以って、当該産業を振興させるための資金として配分することもある。このような目的のために高関税を振りかざす場合がある(例えば、日本のこんにゃくの1706%、米の778%など)。
- 国外からの国内投資誘致の促進策としての側面
- 国外から特定の産業の誘致を狙う方法として、当該特定産業に係る輸入品に高関税を課税する、という政策を取る場合がある。当該特定産業に係る物品の、国内市場への浸透を困難にする事で、国内において工場を建設させ、更には必要な部品・工具・設備等を一定の割合でその国内で調達(ローカルコンテント)・製造・市場流通させるように仕向ける、というのがその狙いである。国内市場の振興策にもなる上、雇用促進の効果もまた大きい。
- ローカルコンテントを課す場合においては先述の国内産業および市場振興策としての側面を持ち合わせているとも言える。この場合は、国内において国外から多額の投資を行なうに値するだけの魅力的な市場が存在し、低廉もしくは或る程度質の高い労働力が確保出来ることが条件となる。
日本の関税
一般に日本は関税が高いと考えられているが、日本は最も関税が安い国であり、一部の農産品(米などの十九品目)に高い関税が課せられている[2]。
日本の関税について規定した主な法律は次の通り。
- 関税法(昭和29年4月2日法律第61号)
- 関税定率法(明治43年4月15日法律第54号)
- 関税暫定措置法(昭和35年3月31日法律第36号)
関税表の分類
下記リスト後者ほど優先される
- 基本税率 - 関税定率法で定められた基本税率
- 暫定税率 - 関税暫定措置法を根拠とする暫定税率
- WTO協定税率 - WTO協定による上限税率(bound tarrif)
- 一般特恵税率(GSP) - 開発途上国に経済援助目的で設定された税率[3]
- 特別特恵税率(LDC) - 開発途上国のうち、後発開発途上国(LDC)に対しての特別税率
- EPA税率 - 経済連携協定(EPA,FTA含む)を締結した国に適用される特別税率。