デカン高原
デカン高原(デカンこうげん)は、インド半島の大部分を構成し西ガーツ山脈から東ガーツ山脈にいたる台地。インド共和国のマハーラーシュトラ州、カルナータカ州、アーンドラ・プラデーシュ州、テランガーナ州にまたがる。
デカン高原は大きな三角形をしており、北辺はヴィンディヤ山脈、東西端はそれぞれ東ガーツ山脈・西ガーツ山脈である。総面積は1,900万平方キロメートル、ほぼ平坦で標高は300-600メートルである[1]。
「デカン」の名称はサンスクリット語で「南」を意味する dakshina に由来する。
概要
高原は西から東に緩く傾斜しており、ゴーダヴァリー川・クリシュナ川・カヴェリ川・ナルマダ川などの河川がある。この高原は両ガーツ山脈の風下になるため半乾燥地帯である。植生は一部に落葉広葉樹林があるが、ほぼ全域を針葉低木林が覆う。夏の気候は暑く冬は暖かい。 地形の起源としてはデカントラップと呼ばれる白亜紀末期に噴出した洪水玄武岩で形成された溶岩台地であり、玄武岩の風化によりできたレグール土に覆われた肥沃な土地である。。綿花の世界的な産地である。雨量は少なく、貯水用の溜め池が点在する。
歴史
古来よりサータヴァーハナ朝(前1世紀頃-2世紀頃)、前期チャールキヤ朝(6-8世紀)、後期チャールキヤ朝(10世紀末-12世紀)、ラーシュトラクータ朝(8世紀末-10世紀末)、バフマニー朝(14世紀-16世紀初頭)、ムスリム5王国(15世紀末-17世紀末)、ムガル帝国(17世紀末-18世紀初頭)、マラーター同盟(17世紀後半-19世紀初頭)などの有力な王朝が興亡した。
地理
デカン高原はヒンドスタン平野の南に位置する。高い西ガーツ山脈が、南西モンスーンからの湿気がデカン高原に達するのを妨げるので、領域はほとんど降雨がない。東デカン高原はインドの南東の海岸に至る低高度地域にある。森林も相対的に乾燥しているが、内湾、そしてベンガル湾に至る川の流れを形成する、雨を蓄える働きをしている。
高原北部の大部分を、西ガーツ山脈を源流とするインドラヴァティ川を含むゴーダーヴァリ川とその支流が東に向かって流れ、ベンガル湾に注ぐ。トゥンガバドラー川、クリシュナ川、およびビーマ川を含むその支流(これらも、西から東へ流れる)が、高原の中心部を流れる。高原の最南の部分は、カルナタカの西ガーツ山脈を源流とするカーヴィリ川が流れ、ホゲナカル滝でニルギリを過ぎてタミル・ナードゥ州に向かって南に曲がる。シバサムドラムの島の町でシバサムドラム滝を形成して、スタンリー貯水池と貯水池を生成したメーットゥールダムを流れ、最終的にベンガル湾へ注ぐ。ベンガル湾に流れない2本の川が、ナルマダ川とタピ川である。これらは東ガーツ山脈を源流とし、アラビア海へ注ぐ。
ヒマラヤの川は融雪を源としており、年間を通して流れる。しかし、デカン高原の川は降雨に依存するため、夏には干上がる。
高原の気候は、極めて北部の地域の亜熱帯から、高原の大部分を占める雨季と乾季が分かれる熱帯へと変化に富んでいる。雨は6月頃から10月までの雨季からモンスーンの季節の間に降る。3月から6月は定期的に非常に乾燥し、気温が40度を超える場合がある。
地質
デカン高原を覆う巨大な玄武岩台地はデカントラップと呼ばれる6700-6500万年前の白亜紀の終わりにかけて起きたマグマ噴出で形成された。高原には鉱物組成の違う花崗岩もあり、大陸地殻内で生成したものだが、玄武岩は現在のインド洋レユニオン島付近にあったと推定されるホットスポットから、インド洋の海底拡大(インド亜大陸の北上)運動を生じたマントルの活動に伴って地表へ噴出したものである。