三相交流
三相交流(さんそうこうりゅう)とは、電流または電圧の位相を互いにずらした3系統の単相交流を組み合わせた交流である[1]。
120度 (<math>2 \pi / 3 </math> [rad] ) ずつ位相をずらし、それぞれの位相のずれが同じである三相交流を対称三相交流と称し、通常は対称三相交流を単に三相交流と呼ぶ[2]。
三相交流電源は主に交流電動機の駆動に用いられることから、電力会社などでは動力(どうりょく)と呼ぶ[2]。これに対し、単相交流電源を電灯(でんとう)と呼ぶ[3]。
相の呼び方
相順 | 電源記号 | 変圧器端子 | |
---|---|---|---|
入力 | 出力 | ||
第一相 | R | U | u |
第二相 | S | V | v |
第三相 | T | W | w |
第四相 | N | O | o |
- 三相4線式の場合、第四相は中性相、中相ともいう。
結線
Y結線
Y結線(ワイけっせん, ほしがたけっせん, スターけっせん)は、三相各相をその一端の中性点で接続する結線[4]。星形結線(ほしがたけっせん)、スター結線とも表記する[5]。
各相間の電位差を線間電圧(せんかんでんあつ)といい、各相と大地間の電位差を相電圧(そうでんあつ)という。また、結線外の各相の電流を線電流(せんでんりゅう)といい、結線内の各相の電流を相電流(そうでんりゅう)という。
Y結線では、線間電圧は相電圧の<math>\sqrt{3}</math>倍に等しい。また、線電流は相電流に等しい[4]。
Δ結線
Δ結線(デルタけっせん, さんかくけっせん)は、三相各相を相電圧が加わる向きに接続し閉回路とする結線。三角結線(さんかくけっせん)、デルタ結線とも表記する[5]。
Δ結線では、線間電圧は相電圧に等しい。また、線電流は相電流の<math>\sqrt{3}</math>倍に等しい[4]。
Y結線とΔ結線の相電圧と相電流の差を利用し、かご形三相誘導電動機をY結線で始動し、途中でΔ結線に切り替えることによって始動電流を3分の1に抑えるスターデルタ始動法が存在する。
V結線
V結線(ブイけっせん)は、Δ結線より三相のうち一相を除いた結線[5]。
V結線では、線間電圧は相電圧に等しい。また、線電流は相電流と等しい。単相変圧器を2台組み合わせてV結線を構成することができるが、その場合、変圧器の最大容量は単相変圧器1台分の定格容量の<math>\sqrt{3}</math>倍となり、単相変圧器を3台必要とするが、単相変圧器1台分の3倍の最大容量が得られるY結線やΔ結線に比べて効率が悪い。
三相交流電力
Y結線、Δ結線における三相交流電力 P は、線間電圧を V 、線電流を I 、力率を cos θ とすると、
- <math>P = \sqrt{3} \ V I \cos \theta</math>
で表される[4]。
三相交流送電
三相交流による送電は、単相交流によるものと比較し以下のような利点がある。
- 電線一本あたりの送電電力が大きい。
- 同じ送電電力ならば、電線の質量を低減できる[6]。
- 三相交流から単相交流を取り出すことができる。
- 三相交流からは回転磁界を容易に得られる。
具体的な送電方式として、以下のような方法がある。