自治医科大学
テンプレート:Infobox 自治医科大学(じちいかだいがく、テンプレート:Lang-en)は、栃木県下野市薬師寺3311-1に本部を置く日本の私立大学である。1972年に設置された。大学の略称は自治医大。
目次
概要
設立の背景
1972年開学。僻地医療、地域医療の充実を目的に、各都道府県の共同の出捐によって作られた学校法人の形態を取る。このため、大学の運営には各都道府県の負担金や、「全国モーターボート競走施行者協議会」による競艇収益金の寄附金、大学のある栃木県が発行する特別の当せん金付証票(宝くじ、地域医療等振興自治宝くじ、愛称レインボーくじ)の収益金が充てられたりしている。
運営形態
名目上は学校法人自治医科大学が設置する私立大学となっているが、実際には自治省(現総務省)が設置した大学であり、総務省の自治系職員が大学に出向し事務局を統括し、元総務事務次官が理事長を務める。入試面では私立大学らしく大学入試センター試験には参加しない大学独自の方法で行うが、医学部ではその設置趣旨のためか各都道府県の定員枠(2名ないし3名)により選抜するという異色な方法をとる。
教育制度
医学部は全寮制であり、地域医療に従事する総合医養成という観点から、臨床実習に重点を置いた教育が特徴であり、臨床実習のための共用試験(CBT・OSCE)を日本の医学部で唯一3年次に行い、4年次から病棟実習を行うというスタンスを取っている。 卒業後は採用枠都道府県の定めにより、公立病院を中心に9年間地域医療に従事することが求められている(4年半の僻地診療所・病院を含む)。6年間の学費は2200万円程度だが在学中は貸与され、卒業後9年間指定公立病院等に勤務した場合その返還は免除される。類似した制度を持つ省(庁)所管の医師養成機関として産業医科大学(厚生労働省所管)・防衛医科大学校(防衛省所管)がある。
看護学部は、前身の自治医科大学看護短期大学を改組し2002年に開設。医学部とは異なり通常の入試選抜方法をとる。
なお、栃木県は国立又は公立大学の医学部・看護学部を持たない都道府県であり、自治医科大学がその役割を担っているため、医学部においては、他の都道府県の合格枠が2名または3名で毎年変動するのに対し栃木県枠は常に3名の合格を出したり、看護学部においては指定校推薦入学制度で栃木県内高校枠を確保する等、両学部とも定員や入試制度上の地元枠配慮がなされていたが、2008年度の医学部入学試験においては栃木県の合格者が2名となった。また、東京都においても2008年にはそれまでの合格枠3名が2名になったことから、受け入れ方針の転換がなされているとみられる。
入試制度
入学定員を各都道府県に振り分けて合格者を決定するため、必ずしも入試成績上位の者が合格するとは限らない。特に、有名進学校が存在する都道府県では合格が難しい。
問題点
本学は創成期より、即戦力となる若い臨床医を多数養成し、95%を超える卒業生が入学時の契約を履行して出身県の地域医療に貢献しており、卒業生の卒後についても積極的な支援を行ってきた。しかしながら、9年の義務年限終了後に引き続き地域に留まる卒業生は期待されるほどに多くはない。
出身地の定義
自治医科大学では、出身地を「受験者の出身高校の所在地」と定義している。従って、受験者本人の出身地(居住地)が出身高校と同一ならば問題がないが、寮生・下宿生・自宅が県境に近いなど出身地(居住地)とは異なる都道府県の高校に進学した場合、出身高校の所在地が「出身地」として登録されるため、卒業後9年間を本人の帰属意識が全くない地域の僻地医療に携わるという問題が生じる。
このため、「出身地を本人の出身地にしてほしい」との要望も出されていた。
平成22年度入試より医学部ではこの条件が拡大され、「入学志願者の出身高校の所在地」に加え、「入学志願者の現住所の所在地」および「入学志望者の保護者の現住所の所在地」となった。[1]
卒業生の出身地定着率格差
2006年7月23日の朝日新聞ウェブ版が報じたところによると(「自治医大卒業生の出身地定着率に格差 最低は50%」)、自治医大の卒業生が出身地にとどまる定着率は、都道府県によって最高90%から最低50%までと大きな格差がある(全国平均は70.9%)。これは1986年度以降に義務年限を終えた計1782人の卒業生について、厚生労働省の要請を受けた総務省の2005年7月時点の調査によるもので、地元への定着率が最も高かったのは、新潟県の90%。岩手県、沖縄県、奈良県など11県が80%を超えた。逆に、定着率が最低だったのは福島県、熊本県の50%で、東京都、佐賀県などの6都県も50%台であったという。
「定着率は全国平均70% 自治医大卒、地域格差も 「厚生労働省は10日、地域医療を担う医師を養成する自治医大(栃木県下野市)の卒業生が、出身地にどれだけ定着しているかを調査した結果を初めて明らかにした。全国の平均定着率は70.9%で、最高は新潟県の90.0%、最低は福島、熊本両県の50.0%と、自治体によって格差が目立つことが分かった。 総務省が実施した調査結果を厚労省が10日、医療制度改革に携わる各都道府県の担当者を対象にした説明会で公表した。 自治医大の卒業生は、原則として出身都道府県の公立病院などで9年間の勤務が義務付けられている。自治医大1期生が9年間の義務を修了した1986年度以降の計1782人について、昨年7月時点の勤務地の状況を都道府県別で調べた。」(2006/07/10 12:05 【共同通信】)
沿革
- 1970年7月 僻地医療の充実を目指し、当時の秋田大助自治大臣が「医学高等専門学校設立構想」を表明
- 1972年4月 自治医科大学開学、医学部設置
- 1974年4月 自治医科大学附属病院開院
- 1987年4月 自治医科大学看護短期大学開学
- 1989年11月 自治医科大学附属大宮医療センター開設
- 2002年4月 自治医科大学看護学部設置
- 2006年9月 とちぎ子ども医療センター開設
- 2007年7月 自治医科大学附属大宮医療センターを自治医科大学附属さいたま医療センターに名称変更
基礎データ
所在地
教育および研究
組織
学部
大学院
附属施設
交通アクセス
関連人物
卒業者
教員
- 高久史麿 - 前学長
- 日野原重明 - 元客員教授
- 長野敬 - 名誉教授
- 宮本忠雄 - 初代精神医学教授・名誉教授
- 鴨下重彦 - 元小児科学教授
- 森岡恭彦 - 元外科学教授)
- 柏井昭良 - 元消化器一般外科教授、元自治医科大学看護短期大学学長
- 楡木満生 - 元心理学教授
- 笠原忠 - 元薬理学教授
- 松田たみ子 - 元看護学部教授
- 大久保利晃 - 元衛生学助教授
- 花村誠一 - 元精神医学講師
- 澁木克栄 - 元神経内科講師
- 間野博行 - 分子病態治療研究センターゲノム機能研究部教授
- 大槻マミ太郎 - 皮膚科学教授
- 平井義一 - 感染・免疫学主任教授
- 渡辺英寿 - 脳神経外科学教授
その他
- 荻久保和明 - 校歌編曲
関連項目
- 医科大学
- 秋田大助
- ドナルド・マクドナルド・ハウス - 子ども医療センター開設に合わせ誘致
- 滝沢清人