ハンフリー・ボガート
テンプレート:ActorActress ハンフリー・ディフォレスト・ボガート(Humphrey DeForest Bogart, 1899年12月25日(1月23日とする説もあり) - 1957年1月14日)は、ニューヨーク出身のハリウッド映画の俳優である。ニックネームはボギー("Bogie" )だった。
目次
来歴
テンプレート:節stub ニューヨークにおいて、イングランドとオランダ系の血をひく外科医の父ベルモント・デフォレスト・ボガートと、イングランド系で画家の母、モード・ハンフリーの間に生まれる。父は厳格なプレスビテリアン、母は厳格なエピスコパリアンだった[1]。
家庭が裕福だったこともあり、イェール大学へ進学するよう希望していたが、ボガートは高校を中退。1918年に海軍に入隊するも、3年後に除隊。やがてブルックリンの劇場で舞台に立ち、俳優の道を志す。
1930年に『河上の別荘』で初出演を果たして以降20年近くに渡り、ワーナー・ブラザーズの専属に近い形で俳優活動を行った。
1930年代はギャング映画の敵役を多く演じたが、40歳を過ぎて主演した『マルタの鷹』のようなフィルム・ノワール作品や『カサブランカ』などで、ハードボイルド・スターの地位を確立。後年は演技派としても活躍し、『アフリカの女王』(1951年)ではアカデミー賞主演男優賞を受賞した。 1947年にはハリウッドのマッカーシズムに反対し、傍聴の様子はライフ (雑誌)にも掲載された。
1940年代 - 1950年代を代表する名優として、時代の象徴的存在に挙げられることが多い。1999年にAFIが発表した「映画スターベスト100」では男優の1位に輝いている。
晩年に食道癌を宣告され、妻と共に闘病するものの1957年1月14日に、永眠する。
人物
ボガートはヘビースモーカーとして知られ、また酒豪でもあった。愛飲酒はドランブイ(スコッチウイスキーベースの薬用酒)で、飲んだ量に比例して毒舌が激しくなるといわれた。
ジョン・ヒューストンとも馬が合い、彼の監督デビュー作である『マルタの鷹』をはじめ、『黄金』、『キー・ラーゴ』、『アフリカの女王』、『悪魔をやっつけろ』など、死去するまで数多くの作品で主演を務めた。
57年の生涯の中で4度結婚をしている。4人目の妻ローレン・バコールとは非常に仲がよく、彼女との間に1男1女をもうけている。バコールの自伝によると、ボガートはその死まで、妻のことを「キッド」と呼んでいたらしい。「キッド」とは、2人が初共演した映画『脱出』でバコールが演じた役名。
「トレンチコートの襟を立て、紙巻きたばこをキザに咥えて吹かす」というボガートの姿を真似する人も多い。なお、正しい「ボガート・スタイル」では、指に挟むのではなく葉巻のように摘まんで持つ。
主な出演映画
公開年 | 邦題 原題 |
役名 | 備考 |
---|---|---|---|
1930 | 河上の別荘 Up the River |
スティーヴ・ジョーダン | |
1931 | 肉と霊 Body and Soul |
ジム | |
1932 | 歩道の三人女 Three on a Match |
ハーヴ | |
1936 | 化石の森 The Petrified Forest |
デューク・マンティ | |
弾丸か投票か! Bullets or Ballots |
バグス | ||
1937 | 札つき女 Marked Woman |
デヴィッド・グラハム | |
倒れるまで Kid Galahad |
ターキー・モーガン | ||
デッドエンド Dead End |
ベビーフェイス・マーティン | ||
1938 | 少年院 Crime School |
マーク | |
犯罪博士 The Amazing Dr. Clitterhouse |
ロックス・ヴァレンタイン | ||
汚れた顔の天使 Angels with Dirty Faces |
ジェームズ・フレイザー | ||
1939 | オクラホマ・キッド The Oklahoma Kid |
マッコード | |
脱獄者の報酬 You Can't Get Away with Murder |
フランク・ウィルソン | ||
愛の勝利 Dark Victory |
マイケル | ||
彼奴(きやつ)は顔役だ! The Roaring Twenties |
ジョージ | ||
前科者 Invisible Stripes |
チャック・マーティン | ||
1940 | ヴァジニアの血闘 Virginia City |
ジョン | |
田舎町 It All Came True |
Grasselli/Chips Maguire | ||
顔役 Brother Orchid |
ジャック・バック | ||
夜までドライブ They Drive by Night |
ポール・ファブリーニ | ||
1941 | ハイ・シェラ High Sierra |
ロイ・アール | 事実上の初主演作品 |
マルタの鷹 The Maltese Falcon |
サム・スペード | ||
1942 | パナマの死角 Across the Pacific |
リック・レランド | |
カサブランカ Casablanca |
リック・ブレイン | ||
1943 | サハラ戦車隊 Sahara |
ジョー・ガン | |
1944 | 渡洋爆撃隊 Passage to Marseille |
ジャン | |
脱出 To Have and Have Not |
ハリー・モーガン | ||
1945 | 追求 Conflict |
リチャード・メイソン | |
1946 | 三つ数えろ The Big Sleep |
フィリップ・マーロウ | 1946年版と、ローレン・バコールとの絡みを追加した1947年版がある |
第二の妻 The Two Mrs. Carrolls |
ジョフリー・キャロル | ||
1947 | 潜行者 Dark Passage |
ヴィンセント・ペリー | デイビッド・グーディスの同名小説をボガートが読んで気に入り、ハリウッドのプロデューサーであるジェリー・ウォルドに掛け合って製作された |
1948 | 黄金 The Treasure of the Sierra Madre |
ダブス | |
キー・ラーゴ Key Largo |
フランク・マクラウド | ||
1949 | 暗黒への転落 Knock on Any Door |
弁護士アンドリュー・モートン | |
東京ジョー Tokyo Joe |
ジョー・バレット | ||
1950 | 大空への挑戦 Chain Lightning |
マット・ブレナン | |
孤独な場所で In a Lonely Place |
ディクソン・スティール | ボガートが自らのプロダクション「サンタナ・プロ」でプロデュースした | |
1951 | 脅迫者 The Enforcer |
マーティン・ファーガソン | 最後のワーナー作品 |
モロッコ慕情 Sirocco |
ハリー・スミス | ||
アフリカの女王 The African Queen |
チャールズ(チャーリー)・オルナット | アカデミー主演男優賞 受賞 | |
1952 | デッドライン~USA Deadline - U.S.A. |
エド・ハッチソン | |
1953 | 悪魔をやっつけろ Beat the Devil |
ビリー | |
1954 | ケイン号の叛乱 The Caine Mutiny |
フィリップ・クイーグ中佐 | |
麗しのサブリナ Sabrina |
ライナス・ララビー | ||
裸足の伯爵夫人 The Barefoot Contessa |
ハリー・ドーズ | ||
1955 | 俺達は天使じゃない We're No Angels |
ジョセフ | |
必死の逃亡者 The Desperate Hours |
グレン・グリフィン | ||
1956 | 殴られる男 The Harder They Fall |
エディ |
受賞歴
アカデミー賞
英国アカデミー賞
ニューヨーク映画批評家協会賞
パロディほか
- 『勝手にしやがれ』(1959年)
- ジャン=リュック・ゴダールのデビュー作。ハンフリー・ボガートを崇める主人公のミシェルは、マルセイユで自動車を盗み、追ってきた警察官を射殺する…。
- 『ボギー!俺も男だ』(1973年)
- ウッディ・アレンの舞台戯曲を彼自らの脚本・主演で映画化。ボガートへのオマージュに満ちたコメディ映画。
- 原題 『Play It Again, Sam』 は『カサブランカ』が由来なのだが、厳密にはボガートはもちろん作中では誰もこの台詞は口にしていない。物真似芸人がボガートの真似をする際にこの言葉を多用したため、多くの人が「『カサブランカ』の中に登場する台詞」と誤解するにいたった。
- 『ハリウッドに別れを』(1975年)
- アンドリュー・バーグマン作の探偵小説。1950年代のハリウッドが舞台になっており、ボガートが主人公の私立探偵を助ける役回りで登場する。
- 『名探偵再登場』(1978)
- ニール・サイモン脚本の全編『マルタの鷹』と『カサブランカ』のパロディ。ボガートもどきの迷探偵ルー・ペキンポーをピーター・フォークが嬉々として演じた。同じスタッフで作られた『名探偵登場』(1976)でもフォークはボガートのパロディ(こちらの探偵の名はサム・スペードならぬサム・ダイヤモンド)を演じている。
- 『四つ数えろ』(1982年)
- スティーブ・マーティン主演のパロディ映画。ボガートらのハードボイルド映画を編集でつなぎ合わせて、マーティンの新作カットを押し込み一本の映画にでっちあげた。マーティンの演じる探偵のキャラクター自体もボガートの真似。
- 『ラスト・アクション・ヒーロー』
- 一瞬だけ登場する。セリフはない。
エピソード
- 日本語吹き替え版では久米明が専任で声を務めているが、久米がボカートの吹き替えを始めた頃に既に故人であった。
- 松田優作は『探偵物語』で山口剛から「ボギーをイメージして演じてくれ」と言われたが、「そんなにかっこいいか?捻り鉢巻すれば寿司屋の親父だろ」と拒んでいる。
Video
- "Humphrey Bogart, Behind the legend" Documentary 52'
脚注
- ↑ "The religious affiliation of Humphrey Bogart." Adherents.com.