阪急9000系電車
テンプレート:鉄道車両 阪急9000系電車(はんきゅう9000けいでんしゃ)は、2006年(平成18年)より製造を開始した阪急電鉄の通勤形電車である。
概要
京都線用の9300系と同様に日立製作所に発注し、06年5月22日から5月25日にかけて正雀工場に第1編成(8両)が搬入され、同年6月25日に西宮車庫へ回送した。ファンクラブ会員のみを対象にした試乗会が、神戸線で7月29日に実施され、7月31日に神戸線で営業運転を開始し、翌2007年(平成19年)9月18日に宝塚線でも営業運転を開始した。
車体
A-trainをベースとしたアルミニウム合金製車体で、9300系と基本的なデザインは変わらないが、9300系より全長が100mm長く、全幅が50mm短くなっている。これは従来からの神宝線規格に合わせたものである。
内装
座席は9300系のドア間が転換・固定式クロスシートであるのに対し、全席片持ち式ロングシートとなった。これに伴い座席の背もたれの高さを約10cm拡大している。また、ドア間の座席には3人-2人-3人、車端部の座席には3人-2人に分割する肘掛けを兼ねた仕切り板を設置した。この仕切り板は8200系改造車にも採用された。座席モケットは2300系から8300系までのロングシートと同様に、アンゴラヤギの毛織物である。網棚の形状は9300系の板状から棒状のものに変更された。これも8200系改造車に採用された。照明は9300系に引き続き間接照明である。9002編成以降は車内照明がLEDに変更された。また、貫通扉は9300系同様自動扉である。車内案内表示装置には液晶ディスプレイ(LCD)を採用した。東日本旅客鉄道(JR東日本)のE231系500番台や東京急行電鉄の新5000系列などと同様にドア上部に2基設置されている(ただし千鳥配置)。左側は広告やニュース、右側は路線案内を表示。ただし、フォントなどの表示フォーマットは、これらとは大きく異なる。
主要機器
制御装置や主電動機をはじめとした床下の電気機器は、神宝線用車両の慣例により東芝製である。本系列ではIGBT素子による純電気ブレーキ対応VVVFインバータを採用。9300系と同様に定速制御も装備している(阪急内部では惰行制御と呼称)。
台車には9300系に引き続き住友金属工業製FS565(電動台車)、FS065(付随台車)を採用。ブレーキ装置には踏面片押し式ユニットブレーキユニットブレーキを装備。
種別・行先表示器はフルカラー式LEDを採用。8200系の側面表示器以来で、正面では初のLED表示となる。なお、表示フォントは8200系と違って従来の字幕式のものに準じている。
- HK-9000series-momiji.jpg
神戸線で特急運用に就く
阪急9000系
(2006年11月9日) - Display in Hankyu Line.jpg
車内案内表示装置
- Hankyu 9000 interior.jpg
車内
- Hankyu 9000 led.jpg
フルカラーLED式
種別表示器 - Hankyu9000 Mc9101 controler.jpg
運転台
- 阪急9000系電車.jpg
9002F「未来のあかり号」
形式
- 9000形
梅田駅寄りの制御電動車。VVVFインバータ2組、蓄電池とシングルアーム式パンタグラフを搭載。
- 9100形
新開地駅、宝塚駅寄りの制御電動車。VVVFインバータ2組と蓄電池を搭載。
- 9500形
新開地駅・宝塚駅寄りから2両目に連結される中間電動車。VVVFインバータ2組、蓄電池とシングルアーム式パンタグラフを搭載。
- 9550形、9560形
補助電源装置として静止形インバータ2組と電動空気圧縮機を搭載する中間付随車。9550形は梅田駅寄りから2両目、9560形は新開地駅・宝塚駅寄りから3両目に連結される。
- 9570形
特別な機器は搭載しない中間付随車。
在籍数
2013年4月1日現在、11編成88両が在籍しており、そのうち6編成が神戸線、5編成が宝塚線に所属している[2]。2012年度は2編成が増備され、6月に宝塚線、10月には神戸線に各1編成が配置されている[3][4]。
9000系を運用している宝塚・神戸線間での編成の移動については、2012年10月に神戸線所属の9004編成が一時的に宝塚線で運用されており[5]、同年12月5日には宝塚線所属の9001編成が神戸線での運用を開始していたが、2013年2月に宝塚線に復帰した。また、2013年3月に9003編成が神戸線に転属している。[5][6][7][8]
編成
テンプレート:TrainDirection | 所属 | 備考 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
9000 (Mc1) |
9550 (T1) |
9570 (T2) |
9580 (T2) |
9590 (T2) |
9560 (T1) |
9500 (M1) |
9100 (Mc2) |
||
9000 | 9550 | 9570 | 9580 | 9590 | 9560 | 9500 | 9100 | 神戸線 | |
9001 | 9551 | 9571 | 9581 | 9591 | 9561 | 9501 | 9101 | 宝塚線 | |
9002 | 9552 | 9572 | 9582 | 9592 | 9562 | 9502 | 9102 | 神戸線 | 本編成以降車内LED照明を採用 |
9003 | 9553 | 9573 | 9583 | 9593 | 9563 | 9503 | 9103 | 宝塚線 | 艤装工事はアルナ車両が担当[10] |
9004 | 9554 | 9574 | 9584 | 9594 | 9564 | 9504 | 9104 | 神戸線 | |
9005 | 9555 | 9575 | 9585 | 9595 | 9565 | 9505 | 9105 | 宝塚線 | |
9006 | 9556 | 9576 | 9586 | 9596 | 9566 | 9506 | 9106 | 神戸線 | 艤装工事はアルナ車両が担当[11] |
9007 | 9557 | 9577 | 9587 | 9597 | 9567 | 9507 | 9107 | 宝塚線 | [12] |
9008 | 9558 | 9578 | 9588 | 9598 | 9568 | 9508 | 9108 | 神戸線 | [13] |
9009 | 9559 | 9579 | 9589 | 9599 | 9569 | 9509 | 9109 | 宝塚線 | 手すりの形状が変更されている[14] |
9010 | 9650 | 9670 | 9680 | 9690 | 9660 | 9510 | 9110 | 宝塚線 | 手すりの形状が変更されている[15] |
関連項目
- A-train
- 阪急9300系電車
- 神戸電鉄6000系電車 - 内装がほぼ共通している。
脚注
外部リンク
- ↑ 広岡友紀『日本の私鉄 阪急電鉄』, 毎日新聞社, 2011年, p.106
- ↑ 阪急電鉄鉄道ファンクラブ会報vol.64による
- ↑ 【阪急】9000系9008編成が営業運転開始 - Rail Magazine公式サイト RMニュース (ネコ・パブリッシング)2012年11月1日
- ↑ 【阪急】9000系9008編成が京都線で試運転 - Rail Magazine公式サイト RMニュース(ネコ・パブリッシング) 2012年10月23日
- ↑ 5.0 5.1 【阪急】9000系9001F 神戸線で運用|2012年12月7日掲載|レイル・マガジン
- ↑ 「阪急9000系9001編成が神戸線へ転属|鉄道ニュース|2012年12月7日掲載|鉄道ファン・railf.jp」
- ↑ 鉄道ファンの記事では9001編成については「神戸線へ転属」、レイル・マガジンでは「一時的なのものか正式な転属であるのかは不明」となっている
- ↑ 阪急電鉄鉄道ファンクラブ会報vol.64による
- ↑ 阪急電鉄鉄道ファンクラブ会報vol.64による
- ↑ 阪急電鉄鉄道ファンクラブ会報vol.64による
- ↑ 阪急9000系9006編成が試運転 - 交友社『鉄道ファン』railf.jp鉄道ニュース 2012年1月30日
- ↑ 阪急電鉄鉄道ファンクラブ会報vol.64による
- ↑ 阪急電鉄鉄道ファンクラブ会報vol.64による
- ↑ 阪急電鉄鉄道ファンクラブ会報vol.64による
- ↑ 阪急電鉄鉄道ファンクラブ会報vol.64による