塩野七生
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塩野 七生(しおの ななみ、女性、1937年7月7日 - )は、日本の歴史作家である。名前の「七生」は、7月7日生まれであることに由来。
来歴・人物
東京市滝野川生まれ。父親は詩人・小学校教師の塩野筍三(1905-84)、神田神保町の古本屋から軒並み借金をするほどの読書好き。東京都立日比谷高等学校、学習院大学文学部哲学科卒業。日比谷高校時代は庄司薫、古井由吉らが同級生だった。1970年代にはイタリア共産党に関する文章も書いているが[1]、テンプレート:要出典範囲。1963年からイタリアで学び、1968年に帰国すると執筆を開始。『中央公論』掲載の「ルネサンスの女たち」でデビュー。
1970年には『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』で毎日出版文化賞を受賞。同年から再びイタリアへ移り住む。ローマ名誉市民を経てイタリア人医師と結婚(後に離婚)。息子は、後に共著を書くアントニオ・シモーネ。イタリア永住権を得ており、ローマに在住。イタリア中心に、古代から近世に至る歴史小説を多数執筆。ローマ帝国前期の「小さな政府」を理想としており、直接的に小泉構造改革を支持していたと思われる叙述が見られる[2]。1992年から古代ローマを描く『ローマ人の物語』を年一冊のペースで執筆し、2006年に『第15巻 ローマ世界の終焉』にて完結した(文庫版も2011年9月に刊行完結)。『文藝春秋』で巻頭エッセイ「日本人へ」を執筆。
著作
小説・歴史
- 『ルネサンスの女たち』(1969年 中央公論社/1973年 改版1996年 中公文庫/2012年8月 新潮文庫) ※第2巻
- イザベッラ・デステ、ルクレツィア・ボルジア、カテリーナ・スフォルツァ、カテリーナ・コルネールの女性4名の生涯を描いた連作。
- 『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』(1970年 新潮社/1982年 改版2013年2月 新潮文庫) ※第3巻
- 『神の代理人』(1972年 中央公論社/1975年 改版1996年 中公文庫/2012年11月 新潮文庫) ※第6巻
- 『愛の年代記』(1975年 新装版2003年 新潮社/1978年 改版2002年 新潮文庫)
- 『海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年』(1980~81年 中央公論社(正・続)/1989年 中公文庫(上下)/2009年 新潮文庫 全6巻) ※第4・5巻
- ヴェネツィア共和国の一千年の興亡。伊題 STORIA della REPUBBLICA di VENEZIA
- 『サロメの乳母の話』(1983年 中央公論社/1986年 中公文庫/2003年 新潮文庫)
- 『コンスタンティノープルの陥落』(1983年 新潮社/1991年 改版2009年 新潮文庫)
〔英訳〕The Fall Of Constantinople (2005.7) ISBN 1932234179- 1453年、最後の東ローマ帝国皇帝コンスタンティヌス11世と、その首都コンスタンティノープル攻略に燃えるオスマン帝国皇帝マホメッド2世との戦いを描く。
- 『ロードス島攻防記』(1985年 新潮社/1991年 改版2009年 新潮文庫)
〔英訳〕The Siege of Rhodes (2006.11) - 『レパントの海戦』(1987年 新潮社/1991年 改版2009年 新潮文庫)
〔英訳〕The Battle of Lepanto (2007.1) ISBN 1932234330 - 『わが友マキアヴェッリ フィレンツェ存亡』 (1987年 中央公論社/1992年 中公文庫/2010年 新潮文庫 全3巻) ※第7巻
- ※は『塩野七生ルネサンス著作集』に収録。(全7巻、2001年 新潮社/2008~2012年 新潮文庫)。伊題 SCRITTI SUL RINASCIMENTO
- 『緋色のヴェネツィア 聖マルコ殺人事件』(1988年 朝日新聞社/1993年 朝日文芸文庫)
- 『銀色のフィレンツェ メディチ家殺人事件』(1990年 朝日新聞社/1993年 朝日文芸文庫)
- 『黄金のローマ 法王庁殺人事件』(1992年 朝日新聞社/1995年 朝日文芸文庫)
- 『三つの都の物語』(1999年 朝日新聞社)、上記三部作を合本。
- 『ローマ人の物語』(1992~2006年 新潮社 全15巻/2002~2011年 新潮文庫 全43巻)
- 『ローマ亡き後の地中海世界』(2008~2009年 新潮社 上・下/2014年7月-8月 新潮文庫 全4巻)
- 「ローマ人の物語」のその後(西ローマ帝国終焉以降)を描く。羅題 DE MARI POST DELETAM ROMAM
- 『十字軍物語』(2010~2011年 新潮社 全4巻)
- 『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』(2013年 新潮社 上・下)
- 「世界の驚異」と言われたシチリア王兼神聖ローマ皇帝の生涯。羅題 De Imperatoris Friderici Secundi Vita
イタリア関連
- 『イタリアだより 君知るや南の国』(1975年 文藝春秋)
- 『イタリア共産党讃歌』(1976年 文藝春秋)
- 『イタリアからの手紙』(1981年・改版2003年 新潮社/1996年・改版2006年 新潮文庫)
- 『イタリア遺聞』(1982年 新潮社/1994年・改版2009年 新潮文庫)
- 『マキアヴェッリ語録』(1988年・改版2003年 新潮社/1992年・改版2009年 新潮文庫)
- 『ルネサンスとは何であったのか』(2001年 「塩野七生ルネサンス著作集 第1巻」 新潮社/2008年 新潮文庫)
- 『ローマの街角から』(2000年 新潮社)
- 『ローマ人への20の質問』(2000年 文春新書)
- 『痛快!ローマ学』(2002年 集英社インターナショナル)
- 改題 『ローマから日本が見える』(2005年 集英社/2008年 集英社文庫)
エッセイ 他
- 『サイレント・マイノリティ』(1985年 新潮社/1993年・改版2009年 新潮文庫)
- 『男の肖像』(1986年 文藝春秋/1992年 文春文庫)
- 『男たちへ フツウの男をフツウでない男にするための54章』(1989年 文藝春秋/1993年 文春文庫)
- 『再び男たちへ フツウであることに満足できなくなった男のための63章』(1991年 文藝春秋/1994年 文春文庫)
- 『人びとのかたち』(1995年 新潮社/1997年・改版2006年 新潮文庫)。映画エッセイ集
- 『日本人へ-リーダー篇』(2010年 文春新書)
- 『日本人へ-国家と歴史篇』(2010年 文春新書)
- 『生き方の演習 若者たちへ』(2010年 朝日出版社)
- 『想いの軌跡 1975-2012』(2012年 新潮社)。エッセイ集成
- 『日本人へ-危機からの脱出篇』(2013年 文春新書)
共著
- 『信長 「天下一統」の前に「悪」などなし』(第10章執筆/1991年 プレジデント社/2007年 プレジデント・クラシックス)
- 『おとな二人の午後 異邦人対談』(五木寛之との対談/2000年 世界文化社/2003年 角川文庫)
- 『ローマで語る』(子息アントニオ・シモーネとの対談/2009年 集英社インターナショナル)
- 『ヴァチカン物語 とんぼの本』(石鍋真澄・藤崎衛 共著/2011年 新潮社)
- 『ヴェネツィア物語 とんぼの本』(宮下規久朗 共著/2012年 新潮社)、各ヴィジュアル本
絵本
受賞
- 1970年 第24回毎日出版文化賞(文学・芸術部門) 『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』
- 1981年 サントリー学芸賞(思想・歴史部門) 『海の都の物語』
- 1982年 第30回菊池寛賞
- 1988年 第27回女流文学賞 『わが友マキアヴェッリ フィレンツェ存亡』
- 1993年 第6回新潮学芸賞 『ローマ人の物語Ⅰ ローマは一日にしてならず』
- 1999年 第2回司馬遼太郎賞
- 2000年 イタリア共和国功労勲章(グランデ・ウッフィチャーレ章)
- 2001年 土木学会出版文化賞 『すべての道はローマに通ず ローマ人の物語Ⅹ』
- 2005年 紫綬褒章
- 2006年 第41回書店新風賞 『ローマ人の物語 (全巻)』
- 2007年 文化功労者
舞台化
- 『緋色のヴェネツィア 聖マルコ殺人事件』と『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』が、宝塚歌劇団によって舞台化された。別項も参照。
- 「カエサル -『ローマ人の物語』より-」。栗山民也演出、松本幸四郎主演で、2010年10月に日生劇場で舞台上演された。
- 原作は『ユリウス・カエサル ルビコン以前 ローマ人の物語IV』、『同 ルビコン以後 ローマ人の物語V』。
メディア出演
- 「ビートたけし・塩野七生のイタリア三つの都の物語」 (2001年11月3日、TBS)。創立50周年記念番組
- 「塩野七生×向井理 魅惑のイタリア大紀行」(2014年6月8日(前編)・6月15日(後編)、BS-TBS)
脚注
関連項目
- 呉茂一 - 学習院大学の卒業論文の指導教授。彼女の論文を「文学的」と評し、小説家になる道筋をつけた。
- 田中美知太郎 - 呉と並ぶ西洋古典学の大家。彼女の作品の理解者で、歴史学と文学の中間に位置するとした。
- 会田雄次 - 西洋史学者、同上
- 木村尚三郎 - 西洋史学者、同上
- 林健太郎 - 西洋史学者、同上
- 弓削達 - 西洋史学者、同上
- 司馬遼太郎 - 作家、同上
- 佐伯彰一 - 評論家、文学研究者。同上