サイバネティックス
テンプレート:科学 サイバネティックス(テンプレート:Lang-en)は、通信工学と制御工学を融合し、生理学、機械工学、システム工学を統一的に扱うことを意図して作られた学問。語源は、ギリシャ語で「(船の)舵を取る者」を意味するキベルネテス(テンプレート:Lang-el[1])。第二次世界大戦の後、ノーバート・ウィーナーによって提唱された。
当時はまだ情報理論の発展する前であり、自動制御とフィードバックがそれぞれ発展しても、両方の関連を認識することにすら年数を要した、という時代であった[2]。ウィーナーはフィードバックの考えがいろいろと応用でき、また総合のために使えると考え、サイバネティックスを提唱した。
各分野の発展および、特にコンピュータの飛躍的な発達により、それらを総合する学をいちはやく提唱したものとして言及されざるべからず、という存在であり、様々な分野に影響を及ぼした。
日本での影響
テンプレート:節stub 日本では、ロゲルギストの集まりがサイバネティックスに刺激を受けたものとして知られる。また、鉄道におけるコンピュータ導入としては、穂坂衛らによる座席予約(マルス (システム)#開発の経緯)や近鉄と日本電気によるそれが初期のものとして知られるが、他の流れとして国鉄電気局通信課の小田達太郎によって通信分野を主として国鉄にサイバネティックスがもたらされ[3]、日本鉄道サイバネティクス協議会などにサイバネティクスの名が付いている。
フィクションとサイバネティックス
サイバーパンクなどのSFにおいては、そうした学問の成果によって作られた技術・装置を指して「サイバネティックス」と呼ぶこともある。機械と人間の融合物を意味する「サイボーグ」もしばしば使われる。またそういったSFなどで、コンピュータの応用を指して漠然と「サイバー」の語が使われることがあり、そういった場合に接頭辞「サイバー」を「電脳」と訳すこともしばしば見られる(「サイバースペース」を「電脳空間」、など)。
近年では「サイバー」という接頭辞がフィクションの枠を超えて使われることもある。日本では「インターネットを使用した事件」といった文脈でインターネットなどを指して「サイバースペース」の語が使われることがあり、そういった警察の部署名などに「サイバー」という語が使われている。またコンピュータやネットワークを介する攻撃や犯罪はしばしば「サイバー攻撃」や「サイバー犯罪」と呼ばれる。
脚注
文献
- 基本文献
- Norbert Wiener, Cybernetics: Control and Communication in the Animal and the Machine
- 第1版 (1948) / 池原止戈夫, 彌永昌吉, 室賀三郎訳『サイバネティックス: 動物と機械における制御と通信』岩波書店 (1957)
- 2nd edition (1961) / 池原止戈夫, 彌永昌吉, 室賀三郎, 戸田巌訳『サイバネティックス 第2版: 動物と機械における制御と通信』岩波書店 (1962) / 岩波文庫 ISBN 978-4-00-339481-6 (2011) / Note: 第1部として旧版の内容をほぼ含む
- Norbert Wiener, The Human Use of Human Being: Cybernetics and Society(w:The Human Use of Human Beings)
- 第1版 (1950) / 池原止戈夫訳『人間機械論: サイバネテイックスと社会』みすず書房 (1954)
- Revised (1954) / 鎮目恭夫, 池原止戈夫訳『人間機械論 第2版: 人間の人間的な利用』みすず書房 (1979) / 新装版 ISBN 978-4-622-07318-5 (2007)
- Norbert Wiener, I Am a Mathematician (1956) / 鎮目恭夫訳『サイバネティックスはいかにして生まれたか』みすず書房 (1956) / 新装版 ISBN 4-622-05105-2 (2002) / Note: 1 巻目の自伝 Ex-Prodigy『神童から俗人へ』の続編にあたる
- Norbert Wiener, Cybernetics: Control and Communication in the Animal and the Machine