王子検車区
王子検車区(おうじけんしゃく)は、東京都北区にある東京地下鉄の車両基地。南北線の車両が所属している。最寄り駅は王子神谷駅。王子5丁目にある区立神谷堀公園下に建設された。
概要
1991年(平成3年)11月に王子車両区として発足し、1996年(平成8年)3月15日に王子検車区と名称変更をした。
後述の計画変更から、神谷堀公園の地下に建設された。車両基地の建設時には開削工法によって建設するため、営団が占用をしたが、完成後は神谷堀公園として復旧をしている。地上部には地下鉄王子ビルと車両搬入庫があるが、車両基地自体は地下にある。また、本検車区は営団として初めて半永久的に使用する地下構造の車両基地として造られた[1]。
- 敷地面積:16,985.8m²(地上部1,244m²、地下部15,741.8m²)
- 車両留置能力:40両(8両編成×5本)
なお、南北線は当初目黒 - 桐ヶ丘間で建設することが予定されていた。このため、車両基地は、陸上自衛隊十条支処武器補給処赤羽地区跡地に230両収容が可能なものを建設する予定であった[2]。しかし、住民による建設反対運動が行われ、この計画は中止となり、現在の神谷堀公園下に建設することになった。また、本車両基地の収容不足を補うため、市ケ谷駅付近の地下に市ケ谷留置線が建設されることになった。
施設
地下鉄王子ビルと車両搬入庫
車両基地の上部に南北線相互事務所として「地下鉄王子ビル」が設けられた。同ビルには南北線工務区、電気区、王子検車区事務所、王子運輸区の設備を収容している。同ビルは地上5階、地下1階構造としている。
また、付近には地上から地下の車両基地へ車両を搬入するための車両搬入庫が設けられている。後述のとおり現在は車両搬入には使用されないが、資機材の搬入口として使用している。
南北線最初の開業時(駒込駅 - 赤羽岩淵駅)には、他路線との接続がないことから、9000系車両は最初に綾瀬検車区に搬入し、受取検査・整備等を実施、その後千代田線で試運転を実施した。
そして、綾瀬検車区よりトレーラーで道路輸送をし、本検車区でクレーンを用いて地下の南北線へと搬入をした。この方法は1992年(平成4年)に搬入された第08編成(4両編成)が最後となっている。
その後、1996年の四ツ谷駅開業以降は市ケ谷駅構内に有楽町線との連絡線が設置されたため、道路輸送の車両搬入はされない。
検修設備
検車区は地下2階および地下3階の2層構造である。また、地下2階は王子神谷駅の地下2階に連絡している。
地下2階には詰所、作業室、空調機械室、電気室、幌シート置き場、車体置場、台車・仮台車置き場があり、工場設備が設けられていた。
地下3階は車庫線で王子神谷駅からの引き込み線から分岐し、本線側より試運転線、自動洗浄線、月検査線、整備線、転削線の5線がある。転削線より本線側へ引き上げ線が分岐するほか、試運転線からは車両洗浄線、修繕線の2線が分岐する(名称は第1期開業時で現在は一部変更されている)。
第1期開業時には、1次車の重要部検査を施工したが、四ッ谷駅へ延伸開業をした1996年以降は市ヶ谷駅付近に設置した連絡線を介して有楽町線経由で千代田線・綾瀬工場で全般検査・重要部検査を施工をしている。
- 最終的な計画は以下のとおり
- 月検査線 8両×1
- 修繕線→整備線 8両×1
- 試運転線 1線
- 車両洗浄台 6両×1
- 自動洗浄機1台
- 留置線 8両×2
月検査線、整備線→修繕線はピット構造で床下機器の点検が可能である。また、屋根上点検台も設置し、移動式の架線設備も有する。
車輪転削盤は第1期開業時に設置していたが、第2期開業時の6両編成に対応できないため、以後は和光検車区で実施することになった。また埼玉高速鉄道線開業後は、同線の浦和美園車両基地でも実施している。和光検車区のほかに新木場分室でも施行することもある。
車両洗浄は本検車区で実施をしてきたが、埼玉高速鉄道開業後は浦和美園車両基地で実施をしている。なお、自動洗浄機は現在も設置をしている。
沿革
- 1991年11月 - 王子車両区発足。
- 1996年3月 - 王子検車区に組織変更。工場業務を綾瀬工場に、車輪転削業務を和光検車区に移管。
- 2001年4月 - 車両清掃ならびに一部の列車検査を王子検車区から、また車輪転削業務を和光検車区から埼玉高速鉄道に委託先変更。
配置車両
脚注
参考文献
- 帝都高速度交通営団「東京地下鉄道南北線建設史」