脱離基

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2013年3月24日 (日) 07:41時点におけるAddbot (トーク)による版 (ボット: 言語間リンク 16 件をウィキデータ上の d:q320141 に転記)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先: 案内検索

脱離基 (だつりき、テンプレート:Lang-en-short) はヘテロリシスで開裂された原子団のうち電子対を持つほうの原子団のことである。脱離基はアニオンか中性の分子である。Cl、Br、Iのようなハロゲン化物イオン、トシル基 (TsO) のようなスルホン酸エステルはよくみられるアニオン性脱離基である。 (H2O)、アンモニア (NH3)、アルコール (ROH)はよくみられる中性脱離基である。

ファイル:BromoethaneSN2reaction-small.png
このSN2反応(求核置換反応)において、臭化物イオン (Br) は脱離基として働き、水酸化物イオン (OH) は求核剤として働く。

脱離基の脱離しやすさは共役酸pKaと関係があり、小さなpKaを持つほどよい脱離基(脱離しやすい脱離基)として働く場合が多い[注 1]。よって強塩基であるアルコキシド (RO)、水酸化物イオン (HO)、アミドイオン (R2N) はよくない脱離基である。

脱離基の一覧。おおまかに言って、表の下部のものほど脱離しにくい[1]
*R-N2+ ジアゾニウム塩
R-OR'2+ オキソニウムイオン
R-OSO2C4F9 ノナフルオロブタンスルホナート
R-OSO2CF3 トリフルオロメタンスルホナート
R-OSO2F フルオロスルホン酸エステル
R-OTs, R-OMs, etc. トシラート, メシラート, その類似体
R-I ヨウ化物
R-Br 臭化物
R-OH2+ (アルコールの共役酸)
R-Cl 塩化物, 酸塩化物
R-OHR'+ エーテルの共役酸
R-ONO2, R-OPO(OH)2 硝酸エステル, リン酸エステル, 無機酸エスエル
R-SR'2+
R-NR'3+ 第四級アンモニウム塩
R-F フッ化物
R-OCOR エステル,酸無水物
R-NH3+ アンモニウム塩
R-OAr フェノキシド
R-OH アルコール, カルボン酸
R-OR エーテル, エステル

ヒドリド (H-)、アルキルアニオン (R3C-)、アミドイオン (R2N-)は不安定なのでふつう脱離基として働くことはない。

関連項目

注釈

テンプレート:Reflist

出典

テンプレート:Reflist


引用エラー: 「注」という名前のグループの <ref> タグがありますが、対応する <references group="注"/> タグが見つからない、または閉じる </ref> タグがありません
  1. Smith, March. Advanced Organic Chemistry 6th ed. (501-502)