チャイニーズリング
チャイニーズリング (Chinese ring) とは、知恵の輪の一種。九連環(きゅうれんかん)ともいう。
構造
金属製の輪が順につながった形をしている。それに針金の細長い輪をさしいれ、根本までからませている。
はずすときは、すべての輪をはずして、本体と細長い輪が分離された状態にする(写真参照)。
根元の方の輪をはずす(かける)ためには、先の方の輪をかけたりはずしたりしなければならない。はずすための作業数は輪の個数nに対して、
奇数の場合
- <math>\frac{2^{n+1}-1}{3}</math>
偶数の場合
- <math>\frac{2^{n+1}-2}{3}</math>
となる。つまり、輪が1個増えるごとに作業量が約2倍になる。
商品
知恵の輪の一種として市販されている。「九連環」という名前が通用していることから、輪が9個のものが最も多い。しかし5個のものや、11個や13個のもの、さらにもっと多いものも存在する。
輪が5個の商品
歴史
チャイニーズリングは、もっとも古い種類の知恵の輪と考えられている。
『戦国策』には、「秦の昭王が斉国に玉連環を贈った」という記述が出てくる。確証はないがこの「玉連環」が、「九連環」と同種のものであるといわれている。
一方では九連環は、「諸葛亮が、妻の無聊を慰めるために考案した」という伝説もある。
イタリアの数学者カルダーノが1550年に書いた本でチャイニーズリングを論じている。なおイタリアではチャイニーズリングを「カルダノの輪」と呼んでいる。
チャイニーズリングは、錠前の一種として、財布の留め金に用いられたという。『蘭学事始』の中には、平賀源内がカピタン(オランダ商館長)に会ったとき、知恵の輪付の金袋を出されたという話が載っている。
「この口試みに明け給ふべし、あけたる人に参らすべしといへり。その口は智惠の輪にしたるものなり。座客次第に傳へさまざま工夫すれども、誰も開き兼ねたり。遂に末座の源内に至れり。源内これを手に取り暫く考え居しが、たちまち口を開き出せり。」(『蘭学事始』より)
このときの袋に付いていた知恵の輪はチャイニーズリングであろうと思われる。
和算家の会田安明は、数え年で9歳の時九連環を解いたと自伝『自在物談』に書き残している。
参考文献
- 『新数学事典』大阪書籍(VII. 数学特論、3. 興味ある数学問題、§3.9 組合せパズルなど、pp.936-938.)、1979年。ISBN 4-754-82009-6
- 秋山久義『知恵の輪読本 その名作・分類・歴史から解き方、集め方、作り方まで』新紀元社、2003年。ISBN 4-7753-0170-5
- 高木茂男『パズル遊びへの招待 古典的名作から最新の傑作まで、古今東西パズルの博物館』PHP研究所、1994年。ISBN 4-569-54452-5
関連項目
- 清楽 - 江戸後期から明治にかけて、チャイニーズリングをモチーフにした「九連環」という中国(当時は清)の歌が、日本でも大流行した。
- 人形劇 三国志(NHK) - シリーズ序盤で登場している悪役董卓について、大のチャイニーズリング好きという独自脚色を行なった。