ウォルター・リップマン

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ウォルター・リップマン

ウォルター・リップマンWalter Lippmann, 1889年9月23日-1974年12月14日)は、アメリカ合衆国ジャーナリストコラムニスト政治評論家

生涯

ドイツからのユダヤ移民の三世としてニューヨーク市に生まれる。

1906年ハーヴァード大学に入学し3年間で全単位を修得し、最後の1年は同大学の教授で哲学者ジョージ・サンタヤナの助手を務める。1910年に最優等賞にて卒業。

卒業後、雑誌の編集助手を探していた著名なジャーナリストのリンカーン・ステファンズの招きに応じて『エヴリバディーズマガジン』の編集に携わる。1912年にはニューヨーク州スケネクタディ市の新市長でアメリカ社会党のG・ランの補佐になるが4ヶ月で辞職する。翌年には処女作である『政治序説』を発刊。同年に『ニュー・リパブリック』の創刊に携わり、セオドア・ルーズベルトとともに「ニュー・ナショナリズム」を説く。第一次世界大戦中、ウッドロウ・ウィルソン大統領のアドヴァイザーを務め、情報将校として渡仏し、対ドイツ軍に対する宣伝ビラの作成をしたり、「十四か条の平和原則」の原案作成に関わる。

戦後間もない1922年に『世論』を刊行。『ニューヨーク・ワールド』紙の論説委員・編集長を務めた後、『ニューヨーク・ワールド』紙の廃刊にともない、ライバル紙であった『ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン』紙のコラムニストになる。1931年9月8日から、彼のトレード・マークともなったコラム『Today and Tomorrow』が『ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン』紙に掲載される。マッカーシズムベトナム戦争に対し、鋭い批判を行い、ジョンソン政権と「リップマン戦争」と呼ばれる激しい論争を起こす。1967年5月25日の掲載を最後に『Today and Tomorrow』を断筆。

1974年にニューヨーク市にて85歳で死去。

1958年と1962年の2回、ピュリッツァー賞を受賞している。

著書『世論』は、大衆社会化する現代におけるメディアの意義を説いた本として、ジャーナリズム論の古典として知られる。

著書

単著

  • A Preface to Politics, (Kennerley, 1913).
  • Drift and Mastery: An Attempt to Diagnose the Current Unrest, (Mitchell Kennerley, 1914).
  • The Stakes of Diplomacy, (Holt, 1915).
  • The Political Scene: An Essay on the Victory of 1918, (Allen & Unwin, 1919).
  • Liberty and the News, (Harcourt, Brace and Howe, 1920).
  • Public Opinion, (Harcourt, 1922).
中島行一山崎勉治訳『輿論』(大日本文明協會事務所, 1923年)
高根正昭ほか訳『世論』(河出書房新社, 1963年)
掛川トミ子訳『世論(上・下)』(岩波書店岩波文庫], 1987年)
  • The Phantom Public, (Harcourt, 1925).
河崎吉紀訳『幻の公衆』(柏書房, 2007年)
  • Men of Destiny, (Macmillan, 1927).
  • A Preface to Morals, (Macmillan, 1929).
  • Interpretations, 1931-1932, (Macmillan, 1932).
  • The United States in World Affairs: An Account of American Foreign Relations, 1931, (Harper, 1932).
  • A New Social Order: An Address Delivered on Charter Day at the University of California at Berkeley, California, on March 23rd, 1933, (John Day, 1933).
  • The Method of Freedom, (Macmillan, 1934).
  • The New Imperative, (Macmillan, 1935).
  • An Inqiry into the Principles of the Good Society, (Little, Brown, 1937).
  • The Good Society, (Allen & Unwin, 1938).
  • Some Notes on War and Peace, (Macmillan, 1940).
  • U. S. Foreign Policy: Shield of the Republic, (Council on Books in Wartime, 1943).
  • U. S. War Aims, (Little, Brown, 1944).
  • The Cold War: A Study in U. S. Foreign Policy, (Harper & Brothers, 1947).
  • Isolation and Alliances: An American Speaks to the British, (Little, Brown, 1952).
  • Public Opinion and Foreign Policy in the United States, (Allen & Unwin, 1952).
  • Essays in the Public Philosophy, (Little, Brown, 1955).
  • The Public Philosophy, (Hamilton, 1955).
矢部貞治訳『公共の哲学』(時事通信社, 1957年)
  • The Communist World and Ours, (Little, Brown, 1958).
  • The Coming Tests with Russia, (Little, Brown, 1961).
  • Western Unity and Common Market, (Little, Brown, 1962).
大木雅夫訳『ヨーロッパの政治と経済』(ダイヤモンド社, 1963年)
  • Early Writings, (Liveright, 1970).
  • Public Persons, (Liveright, 1976).

共編著

  • A Modern Reader: Essays on Present-Day Life and Culture, co-edited with Allan Nevins, (Heath and Co., 1936).

対談・書簡集

  • Conversations with Walter Lippmann: Transcribed with the Cooperation of the Columbia Broadcasting System Inc, with Edward Weeks, (Little, Brown, 1965).
  • Public Philosopher: Selected Letters of Walter Lippmann, ed. by John Morton Blum, (Ticknor & Fields, 1985).

伝記

第33回全米図書賞「歴史・伝記部門」
  • J・ラスキン(鈴木忠雄訳)『ウォルター・リップマン――正義と報道の自由のために』(人間の科学社、1980年、1996年)

研究書

  • 岩切博史『W・リップマンと二〇世紀国際政治――哲人ジャーナリストが見たアメリカ外交』(志學社、2011年)