聖なる館
テンプレート:Infobox 聖なる館 (せいなるやかた・Houses of the Holy) は、イギリスのロックグループレッド・ツェッペリンの第5作アルバム。1973年(昭和48年)3月28日発売。プロデューサーはジミー・ペイジ。レコーディング・エンジニアはエディ・クレイマー。
録音
レコーディングは1972年初めに開始されたが、オーストラリア方面へのツアーのために中断され、同年4月に本格的に再開された。諸般の事情からヘッドリィ・グランジが使えなかったため、ミック・ジャガーの別荘、スターグローヴスでローリング・ストーンズの車載スタジオを使って作業が行なわれた。
題名
『聖なる館』(Houses of the Holy) とは、レッド・ツェッペリンにとって、そして彼らのファンにとって聖なる場所である「コンサート会場」の隠喩であると思われる。なお、レッド・ツェッペリンがアルバムに「正式な」題名を付けたのはこれが初めてであった。
ジャケット
ジャケット・デザインはヒプノシスが担当した。見開きジャケットの表全面を使って、11人の裸の子供たちが岩場を登ってゆく情景が描かれている。インナー・スリーブには光に向って女性を抱き上げる男性が描かれている。このデザインはアーサー・C・クラークの名作『幼年期の終り』の第3部「最後の世代」からヒントを得たもの。撮影は子供2人をモデルにアイルランドの世界遺産、ジャイアンツ・コーズウェーにて行なわれ、コラージュとエアブラシによる彩色とで仕上げられた。レッド・ツェッペリンのアルバムジャケット中、ひときわ芸術的な仕上がりとなったが、デザインに凝ったことでアルバム自体の発売が大幅に遅れることとなった。
前作に引き続き、ジャケットには一箇所も文字が記されていない。今回は、題名とバンド名とを印刷した帯を掛けて販売されることになった。日本では以前から使われていた「レコード帯」だが、欧米でこの手法を用いたのはこのアルバムが始まりだという説がある。この「レコード帯」には、ジャケットに写っている裸体の子供の臀部を隠すという意味合いもあったと言われる。
収録曲
(LPレコードの表記をもととする)
- Side A
- 永遠の詩 (The Song Remains the Same / Page & Plant)
- レイン・ソング (The Rain Song / Page & Plant)
- 丘のむこうに (Over the Hills and Far Away / Page & Plant)
- クランジ (The Crunge / Bonham, Jones, Page & Plant)
- Side B
- ダンシング・デイズ (Dancing Days / Page & Plant)
- デジャ・メイク・ハー (D'yer Mak'er / Bonham, Jones, Page & Plant)
- ノー・クォーター (No Quarter / Jones, Page & Plant)
- オーシャン (The Ocean / Bonham, Jones, Page & Plant)
なおアウトテイクが4曲知られている。
「流浪の民」「黒い田舎の女」そしてアルバムの主題曲になるはずであった「聖なる館」は次回作『フィジカル・グラフィティ』に回された。
また、「ウォルターズ・ウォーク」は『最終楽章 (コーダ)』でようやく公開された。
チャート・アクション
『聖なる館』は1973年3月28日、全世界で同時に発売された。ビルボードのチャートで首位に立ち、トップ40圏内に39週とどまった。これはそれまでのレッド・ツェッペリンのアルバム中、最長記録である。イギリスでも首位を獲得している。
影響と評価
華々しいチャート・アクションとは裏腹に、当時の批評家からは散々にこき下ろされた。大方の批評家は「ツェッペリンは軟弱になった」と非難したのである。これを逆に言えば、より多様化したと言える。
『ローリング・ストーン誌が選ぶオールタイム・ベストアルバム500』に於いて、148位にランクイン[1]。