メキシコの鉄道
メキシコの鉄道では、メキシコ合衆国の鉄道について記す。
目次
概要
メキシコにおける鉄道は1873年にメキシコシティ - ベラクルス間 419 km が列強資本によって建設されたのを始まりとし、1908年にはいくつかの私鉄を買収する形でメキシコ国鉄(FNMまたはNdeMと通称される)が発足、1937年には鉄道を国有化し、 20,000 km を越す鉄道網が整備された。
しかし、その後航空機や自動車など多交通機関の発達によって収支は極端に悪化、1987年にチワワ太平洋鉄道など残されていた私鉄を国有化したものの、後になって民営化され、それに伴い収益性の悪かった旅客輸送はチワワ太平洋鉄道など一部を除き、ほとんどが廃止された。
旅客運行
前述の通り、民営化の過程で旅客列車は多くが廃止されたため、現在ではチワワ太平洋鉄道など一部の路線にしか存在していない。
チワワ太平洋鉄道
チワワ太平洋鉄道は、メキシコのチワワ州都チワワからシナロア州の中都市であるロスモチスまでの 655 km を走る鉄道で、山岳地帯やバランカ・デル・コブレ(銅峡谷)と呼ばれる峡谷地帯などを横断する形で線路が引かれている。建設は難航し、全通したのは着工から90年たった1961年であった。
その地形からバスなどが未発達であり、旅客列車もそういった事情のために運行が継続され、現在に至っている。
メキシコシティ地下鉄
メキシコシティ地下鉄は、メキシコの首都メキシコシティの大部分をカバーする公共交通機関である。パリ地下鉄と同様のシステムであり、金属車輪の案内条規とゴムタイヤの走行車輪を併せ持つ。
メキシコシティ都市圏郊外鉄道
メキシコシティ都市圏郊外鉄道は、2008年に27kmが開通したメキシコシティと郊外を結ぶ電車。将来的には総延長242kmに拡大する予定。
グアダラハラ地下鉄
グアダラハラ地下鉄は、ハリスコ州のグアダラハラ都市圏にある地下鉄である。
貨物輸送を主とする鉄道
フェロメックス
フェロメックス(Ferromex)は、旧メキシコ国鉄の太平洋北部鉄道にあたる。メキシコの鉱山会社であるグルポ・メヒコとアメリカのユニオン・パシフィック鉄道(UP)が共同で設立した会社が運営している、メキシコ最大の鉄道である。チワワ太平洋鉄道も運営する。
カンザス・シティ・サザン・ド・メキシコ
カンザス・シティ・サザン・ド・メキシコ(KCSM)は、アメリカのカンザス・シティ・サザン鉄道(KCS)の子会社である。旧メキシコ国鉄の北東鉄道にあたり、メキシコ国営の海運会社であるTMMとKCSとが共同で所有するメキシコ鉄道輸送(TFM)であったが、2005年より現在の形態となる。
フェロスール
フェロスール(Ferrosur、南東鉄道)は、旧メキシコ国鉄の南東鉄道の一部にあたる。当初はメキシコの建設会社であるトリバサ・グループと、同金融グループであるインブルサ・グループが所有したが、現在はフェロメックスと同じくグルポ・メヒコの孫会社となっている。
そのほかにも、支線的な鉄道についてはその主要ユーザーである鉱山会社等が継承している。
参考文献
- 主要国運輸事情調査報告書 メキシコ(2002年2月) 国土交通省総合政策局国際企画室
- 『最新世界の鉄道』社団法人海外鉄道技術協力協会編(ぎょうせい、2005年)
外部リンク
- ferromex(英語)