死蝋
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テンプレート:出典の明記 死蝋(しろう、旧字体では「屍蠟」)は、永久死体の一形態。死体が何らかの理由で腐敗菌が繁殖しない条件下にあって、外気と長期間遮断された果てに腐敗を免れ、その内部の脂肪が変性して死体全体が蝋状もしくはチーズ状になったものである。鹸化したものもみられる[1]。ミイラとは異なり、乾燥した環境ではなく湿潤かつ低温の環境において生成される。
魔術に用いられる用具のひとつに、テンプレート:仮リンク(ハンド・オブ・グローリー)と呼ばれるものがある。これは死刑になった罪人の腕を切り落として死蝋化させた物で、儀式における蝋燭代わりや、様々な加護をもたらす護符として使用された。また、泥棒が盗みに入る家の門前でこれに火をつけ、うまく火がつけば盗みは成功するが、うまくつかなかった時は失敗するので退散したほうが良い、とされる。
実例
- イタリアのシチリア島にあるカプチン修道会の地下納骨堂に安置されているロザリア・ロンバルドのミイラは、世界一美しいミイラ(永久死体)として有名な死蝋である。
- 1977年、改葬のために発掘された福沢諭吉の遺体は完全に死蝋化していたといわれる。その後、遺族の希望で火葬された。
- 1950年、デンマークのユトランド半島において、ピート・ボグの中から発見されたトーロンマンは、紀元前4世紀に生きていた男性の遺体が自然に死蝋化したもので、考古学的には湿地遺体と呼ばれている。
- アメリカのテンプレート:仮リンクに収蔵されている女性の鹸化した遺体。19世紀に死亡して埋葬されたと推定されている[1]。