ヨウサイ
ヨウサイ(蕹菜、学名:Ipomoea aquatica)は、ヒルガオ科サツマイモ属の野菜。茎が空洞になっており、このため、中国語で空心菜(コンシンツァイ、kōngxīncài)や通菜(トンツァイ、tōngcài)とも呼ばれる。「空心菜」を日本音で読んでクウシンサイともいう。
名称
別名エンサイ(蓊菜)、アサガオナ(朝顔菜)。沖縄では「ウンチェー」(蕹菜)、「ウンチェーバー」(蕹菜葉)と呼ばれる。
中国広東省では、俗に食べ過ぎると痙攣を起こすともいわれ、広東語で抽筋菜(チャウカンツォイ、chau1gan1choi3)の俗称がある。
フィリピンではkang kong、インドネシアではkangkung、タイではผักบุ้ง(パックブン、phak bung)、ラオスではຜັກບົ້ງ(パックボン、phak bong)、カンボジアではត្រកួន(トロクオン、tro kuŏn)、ベトナムではrau muống(ザウ ムォン)といい、一般的な野菜のひとつである。オーストラリア英語でもフィリピンの言い方を用いている。
英語ではwater spinach(水のホウレンソウ)、river spinach(川のホウレンソウ)、water morning glory(水のアサガオ)、water convolvulus(水のヒルガオ)、 chinese spinach(中華ホンレンソウ)、swamp cabbage(沼キャベツ)などと呼ばれる。
「空芯菜」、「クウシンサイ」は日本で個人により野菜、種子[1]、料理、飲料など[2]の呼称として商標登録されている。また、別名のエンサイも、「莚菜」、「エンサイ」が野菜の名称として[3]、「筵菜」、「エンサイ」、「ムシロナ」が料理、飲料など[4]の呼称として登録されている。
特徴
つる性多年草だが、作物としては一年草扱い。東南アジア原産で、古くは沖縄県方面を経て九州に渡来した。
湿地で多く栽培され、水耕栽培も可能。外見はサツマイモに似ており、茎は中空で這う。葉は切れ目の入った長卵形。アサガオのような淡紫色または白色の花を付けるため、朝顔菜(あさがおな)の別名もある。最低気温が10度を下回ると、茎も根も枯れる。九州以北の露地栽培では花をつけても種をつけず、自生繁殖による生態系への影響は発生しない。
汽水域や塩分を含む農地での栽培が可能であることが、恵那農業高等学校の研究で確認された(2010・2011年)。津波の流入した農地で栽培し塩分の吸収が確認できたことから、津波被災地や海岸近くの農地での栽培に期待が高まっている[5]。
水辺に生育し、水面に茎(空洞で節がありフロートと同じ)を浮かせて進出する。暑さに強く水上で栽培すると大量に根を伸ばして水をよく吸収することから、近年では湖沼などの水質浄化活動によく用いられている[6][7]。
利用
茎葉を主に炒め物または中華風のおひたし (タン[燙]青菜) として、中国やフィリピン、タイ、マレーシア、インドネシアなどの東南アジアで用いる。ニンニクと一緒に塩で炒めたり、魚醤の類や豆豉で味付けして炒めたりすることが多い。
オーストラリアの先住民族アボリジニの間ではブッシュ・タッカーとして古くから消費されてきたテンプレート:要出典。
茎葉を乾燥させたお茶も農業高校で開発された。葉を刻み天日で10日ほど乾燥させたお茶と、茎のみを乾燥機で乾燥させたお茶の2種類が考案された。 葉茶はほんのり甘く、茎茶はほうじ茶よりもやや甘めで香りも強く、カフェインを含まないことが確認されている。
脚注
- ↑ 第4343207号。1999年12月10日登録。
- ↑ 第4513683号。2001年10月19日登録。
- ↑ 第4372141号。2000年3月31日登録。
- ↑ 第4512839号。2001年10月12日登録。
- ↑ 「[1]」恵那農業高校 環境科学科
- ↑ 「[2]阿木川ダム水質浄化実験」恵那農業高校 環境科学科
- ↑ 「[3]名古屋市堀川にて水質浄化実験」
関連項目
外部リンク
- ヨウサイ Ipomoea aquatica - アサガオ画像データベース
- [4] - 仙台市での空芯菜栽培による水田の塩分吸収実験
- [5] - 阿木川ダム水質浄化実験