非国民
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非国民(ひこくみん)とは、自国で「国民に非ざる振る舞いをする」とされる人物を指す蔑称である。
概要
2つ説がある。
- 時の政府の方針への反逆者。日本固有のものではなく、世界各国でも用いられている。
- その国の地域社会の集団利益に忠誠心のないありさま、所謂「公共財ジレンマ」のフリーライダー。税金のがれ、徴兵拒否、敵前逃亡などが典型例である。
歴史
日本
第二次世界大戦前
第二次世界大戦中に、戦争遂行に協力しない・不十分な者、果ては生活に不満を漏らす者などに使用され、不満を抑圧するための各種標語が唱えられた(「贅沢は敵だ」「足りぬ足りぬは工夫が足りぬ」「欲しがりません勝つまでは」)。戦時体制に順わない者・具体的に反戦を唱える者は近隣住民から「非国民」呼ばわりされ、迫害されることもあった。
第二次世界大戦後
戦後は、「非国民」の用語は半ばタブー視された。しかし自分が体制に順わないことを強調するため、「非国民」を自称する者もいる。転じて、スポーツなどの国際試合で自国の代表を応援しなかったり、試合自体を見なかったりする人などを揶揄して「非国民」と呼ぶ例もある。
アメリカ合衆国
アメリカ合衆国では、第一次世界大戦に反対したアメリカ社会党にも、「非国民」呼ばわりが行われた。
現在では、原子爆弾を批判する者、アフガニスタン紛争やイラク戦争に反対する者に対しても、「非国民」という呼称が用いられている(→米国愛国者法)テンプレート:要出典。しかし、イラク戦争についてはブッシュ大統領が「大規模戦闘の終結」を宣言後も逆に各所で戦闘が続いた事から、戦争の大義を問い直すなど様々な異論反論が噴出し、「非国民」のような声は聞かれなくなっている。
英語では、Unpatriotic=非愛国者という。Traitorも使用される場合があるが、裏切者・反逆者・国賊・売国奴といった意味となる。