警察犬
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警察犬(けいさつけん)とは人間の4千倍~6千倍といわれる犬の鋭い嗅覚等の能力を高度に訓練し、足跡追及能力や臭気選別能力を警察など法執行機関の捜査活動に利用するものである。また警戒犬や攻撃犬としても使用される。歴史的には軍用犬や番犬、猟犬から発展した。警察犬を最初に使用したのは19世紀末ドイツのヒルデスハイム市警察とされる。
日本の警察犬
日本の警察犬には、警察が所有し使用する直轄犬と警察が実施した試験に合格し警察から非常勤の警察犬として認められた嘱託犬の2種類がある[1]。また広義には日本警察犬協会が警察犬としての能力を認定している7犬種を警察犬ということもある。
日本では1912年に警視庁がイギリスから警察犬2頭を採用したのが始まりである[2][3]。訓練においては、服従訓練・嗅覚訓練・警戒訓練が行われる[4]。2004年時点では、警視庁鑑識課だけでも32頭が使用され[3]、その他各道府県警鑑識課でも使われている。亡くなった警察犬については、1968年に東京家畜博愛院に警察犬慰霊碑が建立され、年に2回慰霊祭が行われている[5]。
なお、警視庁警備部警備二課には警察の捜索活動を行う警察犬だけではなく犯人制圧や災害救助犬のように被災者の捜索救難を行う警備犬がいる。
警察犬種として日本警察犬協会が指定するものは7種[6]。さらに民間の嘱託警察犬には指定犬種以外のもので、警察の嘱託を受ける犬がいる。
日本警察犬協会の指定犬種
- 1880年頃、ドイツ中部および南部の山岳地方に存在した羊の番犬から高度な能力を有する軍用を目指して開発された犬種。第一次世界大戦でドイツ軍が軍用犬として採用し、優秀さが認められた。世界中の公安機関で警察犬として利用されており、日本でも戦前、軍用犬として採用されている。国内の警察犬で一番登録数の多い犬種である。
- ドイツで闘犬として作出された犬種で、断尾、断耳されている。
- スコットランド原産で、警戒能力は弱いが足跡追跡や臭気選別能力が高い。日本では1992年に警察犬指定された。
指定犬種以外のもの
- 飼い主に対する忠誠心は非常に高い反面、見ず知らずの他人に対しては警戒心が強い傾向がある。
- 2010年1月1日、和歌山県警の嘱託警察犬として登録された(登録名は「クリーク号」、元の名前は「くぅ」)[7]。クリーク号は日本初の小型犬種の警察犬である[7]。
- 日本古来の犬種で、日本犬の中では唯一の小型犬種である。忠誠心が厚く勇敢で、他人に対する警戒心が強い。日本犬の特徴的な性質として、やや頑固なところがある。
- 2011年6月に行われた岡山県警の嘱託警察犬審査で「二葉」が初めて合格[9]。二葉は日本初の日本犬の警察犬となる。2013年6月に任期満了。
- 熊本県警で採用された。
2013年10月現在、小型犬種の警察犬は和歌山県警・奈良県警・鳥取県警(2頭)および熊本県警の6頭。
参考文献
- 三田村信行・田代三善 『行け!名警察犬アルフ号』 偕成社、1991年。ISBN 978-4036344604