対象年齢10歳以上のエアソフトガン
対象年齢10歳以上のエアソフトガン(たいしょうねんれい10さいいじょうのエアソフトガン)は、各都道府県の青少年保護育成条例に合わせた威力を持ち、10歳以上18歳未満の児童にも使用できるようにしたエアソフトガンである。エアソフトガンには、対象年齢18歳以上のものと、10歳以上のものが存在する。
タイプとしては、大きく分けて18歳以上用のモデルの威力を落としたものと、10歳以上用モデルとして一から設計したものの2種類があり、前者は「子供も使えるエアソフトガン」後者は「大人も使える"子供用"エアソフトガン」といった位置づけといえる。各社エアコッキングガンの10歳以上用モデルやKSC「U-18シリーズ」、東京マルイ「Rシリーズ」が前者、東京マルイ「ミニ電動ガン」「電動ブローバック」「電動ブローバックフルオート」「電動ガンBOYs」などが後者に当たる。
18歳以上用モデルとの違い
- 条例に合わせた威力
- 低価格化
- 購買層である10歳以上18歳未満の児童は、当然、18歳以上用モデルの購買層である成人よりお金を持っていない。そのため、価格を抑えるために、工程の見直しや金属部品の削減(これは体力に合わせた軽量化にも繋がる)などによるコストダウンが行われている。
- エアコッキングガン、電動ガンメインのラインナップ
- ガスガンは、上記の2つの条件を満たすことが非常に困難である。その理由は以下の2つである。
- リキッドチャージ式の場合、高温下では威力が上がり過ぎることがある。また、外部ソース式は威力の上下が容易である。そのため、最低限の条件である1.を満たすことが困難である。また、ガス充填時の不手際や充填完了時に生ガスが飛び散り、凍傷の危険性がある。
- 児童の小遣いでは、パワーソースにかかる費用が無視できない問題となる。そのため、2.を満たすことが困難である。
- そのため、10歳以上用モデルの機構は必然的にエアコッキングガンか電動ガンとなり、10歳以上用のガスガンは少数派となっている。
- ガスガンは、上記の2つの条件を満たすことが非常に困難である。その理由は以下の2つである。
- 児童の体格に合わせたサイズの見直し
- 10歳以上用モデルとして一から設計したものには、児童と成人の体格差を考慮してサイズダウンを施したものがある。例えば、東京マルイの「電動ガンBOYs」シリーズは、実銃の86%のサイズになっている。
- 安全装置の新設
- 10歳以上用モデルとして一から設計したものには、不用意な扱いによる誤射を防止するために安全装置を新設しているものがある。例えば、東京マルイの「ミニ電動ガン」「電動ブローバック」「電動ブローバックフルオート」「電動ガンBOYs」シリーズは、全機種にグリップセフティを備えている。
この他にも、説明書内の文章にひらがなが多かったり、表現が平易なものになっていたりといった、本体以外のところに児童が扱うことを考えられた工夫がなされ、10歳以上用モデルというのはあくまでも児童が持つことを考慮されたものとなっているのが普通である。
対象年齢10歳以上用のガスガン
2007年4月にKSCが発売した「U-18」シリーズや、2009年4月10日に東京マルイが発売した「Rシリーズ」は、前述した最低限の条件である1.以外を満たしていない。全機種が10歳以上用としては異例中の異例であるブローバックガスガンであり、U-18シリーズに至っては定価2万円の機種も存在しており、10歳以上用モデルとしては超高級品ともいえるシリーズである。このシリーズの売れ行き如何では、1.以外の用件は過去のものとなるであろう。
これらは全てリキッドチャージ式であるが、Rシリーズでは14歳以上推奨という自主的な基準を設けた上で、生ガスから手を防護する「ガス注入ガード」を付属させて対応を行っている。
なお、これら以前にも対象年齢10歳以上用のガスガンは販売されていた事があったが、いずれも固定スライドガスガンであり(当時ブローバックガスガンが未発達だったという事情もある)、ガスは小さな缶入りのものが付属していた。
問題点
対象年齢10歳以上のエアソフトガンは、エアソフトガン趣味の入り口として、メーカーによっては非常に重要視されている。しかしその一方で、解決できていない問題がある。
- 「威力信仰」打破の困難さ
- 10歳以上用モデルが18歳以上用モデルに性能で劣る点は、同じ設計であれば、威力の違いから来る最大射程の差くらいである。むしろエアコッキングガンにおいては、ポンプのばねが弱い分遊底の引きが軽いため、10歳以上用モデルのほうが速射性に優れる。しかし、購買層である10歳以上18歳未満の児童の中には、性能=威力と考えていたり、威力が強い方がかっこいいと思っていたりする者が少なくない。そのため、18歳以上用モデルに目が行きやすい。逆に、威力と性能は別物と認識する18歳以上のユーザーが、少ない力で速射できる点や、命中した際の痛みを低減できる点に着目し、至近距離で撃ち合うインドアサバイバルゲーム用として10歳以上用モデルに目をつけるという逆転現象が発生している。
- バイオBB弾の適合性
- 屋外のサバイバルゲーム等で、飛距離を伸ばすホップアップシステムと併用することを想定した生分解性プラスチック製のバイオBB弾の重量は、一番軽いものでも0.2gであった。これは10歳以上用モデルには重すぎる。そのため、0.12gのバイオBB弾が求められていた。0.12gバイオBB弾は2009年11月にエクセルより発売され、またRシリーズのように0.2gBB弾対応を謳うモデルも登場しているものの、プラ製BB弾の2倍前後となる価格(エクセル製0.12gバイオ弾が1200発入り500円に対し、東京マルイ製プラ弾は1800発入り300円であり、計算するとバイオ弾の価格はプラ弾の2.5倍となる)のバイオBB弾を、経済面から見て児童が使用できるのかという問題は未解決である。