ガレット・デ・ロワ
ガレット・デ・ロワ(テンプレート:Lang-fr-short)は、公現祭の日に食べるフランスの菓子である。ここでは公現祭に食べる各地の類似した菓子についても述べる。
概要
フランスの地方ごとに少しずつ異なるが、最も一般的なものは紙の王冠がのった折りパイにフランジパーヌ(アーモンドクリーム)が入ったパイ菓子で、中にフェーヴ(fève、ソラマメの意)と呼ばれる陶製の小さな人形が一つ入っている。公現節(1月6日)に家族で切り分けて食べ、フェーヴが当たった人は王冠を被り、祝福を受け、幸運が1年間継続するといわれる。名称の「ロワ」(王たち)とはフランス語で「ロワ・マージュ」(rois mages)と呼ばれる東方の三博士のことである。
伝統的には、家族が集まった中で一番小さい子供をテーブルの近くに呼び、目隠しをさせて大人の誰かが切り分け、この子供に誰に配るかを指名させる。そして、昔は毎週末家族が集まって食事をするのが常であったので、フェーヴが当たった者は次の週末の会食の際にガレット・デ・ロワを自作するか購入して皆に供した。この際、前回王冠を手にした者は、この者が男性であった場合は女王を、女性であった場合は王を家族の中から選ぶ。子供を喜ばせるため、しばしばこの女王か王は子供が選ばれる。そしてこの行事はだいたい1月一杯の間行われる。元々フェーヴは本物のソラマメだったが、1870年に陶製の人形が使われるようになった。現在ではプラスチック製のフェーヴもある。
日本でも、ガレット・デ・ロワを置く店が増えており、フェーヴだけを単独で販売する店もある。代表的なところでは渋谷区広尾にあったRUE DE SEINEというフランス雑貨店が、日本で最初にフェーヴを大々的に販売したショップである。なお、2009年末からセブンイレブンがガレット・デ・ロワを限定販売している(フェーヴはアーモンドで代用されている)。価格は777円であり、本家ガレット・デ・ロワとは直接関係ない「ラッキーセブン」と「セブン」イレブンに由来している。
ガレット・デ・ロワの起源は、古代ローマのサートゥルヌスの祭典サートゥルナーリアにさかのぼる。サートゥルナーリアの饗宴では豆を一つ入れたケーキが供され、豆が当たった出席者を宴の王とする習慣があった。
公現節を祝う習慣のある地域ではフランス同様、公現節に豆やコインを隠したケーキを食べる習慣があり、カタルーニャ州にはトルテリュ(tortell)、プロヴァンスにはブリオッシュ生地で作るガトー・デ・ロワ(gâteau des rois)またはブリオッシュ・デ・ロワ、ギリシアやキプロスにはヴァシロピタ(Vasilopita)がある。
アカディアのガレット・デ・ロワ
アカディアの伝統的なガレット・デ・ロワはケーキ生地で作られ、王と女王を象徴するエンドウマメとインゲンマメまたは黒と白のボタンが一つずつ入っていた。地域によっては指輪、1セント硬貨、ぼろきれを一つずつ入れて焼いたガレット・デ・ロワを切り分け、公現節の会食の出席者に配り、指輪が当たった人は年内に結婚し、硬貨が当たった人は金持ちになり、ぼろきれが当たった人は貧乏が続くというように、一年間の運勢を占う習慣もあった。
キングケーキ
キングケーキ(King Cake)は、カーニバルの伝統に関連づけられたケーキの一種である。この伝統はフランスとスペインから来た入植者によって、アメリカ合衆国南部の旧フランス領にもたらされた。
マルディグラのシーズンになると、カーニバルを祝う習慣のあるフロリダ州ペンサコーラからテキサス州の南東部まで、ニューオーリンズを中心にした地域でキングケーキが食べられる。ケーキには、小さな安物のおもちゃ(trinket)が中に入っており、これが当たると、さまざまな特典がもらえたり、義務が課せられたりする。中に入れるおもちゃは赤子のイエス・キリストを象徴する赤ちゃんの形をしていることが多い。
ニューオーリンズのキングケーキ
ニューオーリンズ・マルディグラの伝統であるキングケーキには多くの種類があるが、最も単純で伝統的なものは、輪状にしたブリオッシュに似た生地のパンで、通常、伝統的なカーニバルの3色、紫と緑と金色で色付けられた糖衣やグラニュー糖でトッピングされている。クリームチーズやプラリネのフィリングが入ったものもある。フランス式のガレット・デ・ロワは、フレンチ・キングケーキと呼ばれる。
キングケーキのシーズンは公現節からマルディグラ(ファット・チューズデー、肥沃な火曜日)までで、この期間中多くの団体やグループが毎週「キングケーキ・パーティ」を開く。ケーキの中のおもちゃが当たった者はパーティの王(女性の場合はもしくは女王)に選ばれ、紙やプラスチック製の王冠やティアラをつける。キングケーキ・パーティは、カーニバルのパレードの通り道の近くに住む人の家で開催される。ニューオーリンズでのキングケーキ・パーティは18世紀から行われており、南北戦争以前の上流階級のパーティでは、ケーキの中に貴金属製のフェーヴを入れることもあった。
ケーニヒスクーヘン
オーストリアで公現節 (Dreikönigsfest) に食べられるお菓子はケーニヒスクーヘン(テンプレート:Lang-de-short)と呼ばれる。
「王様の焼き菓子(ケーキ)」という意味で、パイ生地の中にレーズンやオレンジピールとレモン風味のスポンジ生地を入れて焼き上げた焼き菓子である。
ギャラリー
- Brioche des Rois dsc06781.jpg
トゥーロンのブリオッシュ・デ・ロワ
- Bolo rei 2007.jpg
ポルトガルのボーロ・レイ
- Dreikoenigskuchen in laden einzeln.JPG
ドイツ、バーデン=ヴュルテンベルク州のトライケーニヒスクーヘン
- Greek vasilopita.JPG
ヴァシロピタ
- Roscón de Reyes.jpg
マドリードのロスコン・デ・レイェス
- Tortell.jpg
トルテリュ
- Rosca de reyes.jpg
メキシコのロスカ・デ・レイェス
- CroissantDOrKingcakes.jpg
ガレット・デ・ロワ
関連項目
- フェーヴ
- テンプレート:仮リンク - メキシコで東方の三博士の日(1月6日)に食べるフェーヴが入ったパン。
- バームブラック - アイルランドでハロウィンに食べる菓子