類書
類書(るいしょ)とは、各種の書籍より、一つないしは複数の部門の資料を集め、分類順または韻順に編集し、検索の便をはかった、中国や日本古来の参考図書のことである。一種の百科事典のようなものである。
内容は、史実・名称・成語・典故・詞賦・文章・名詞解釈などの項目により分類される。
歴代の類書中には、あらゆる領域の各種書籍からの引用文章が収められている。それぞれの類書の成立以後、引用した底本となった書籍が散逸してしまうケースも多々生じた。散逸した書籍を「佚書」、佚書より類書に引用された文章を「佚文」と呼び、その文献学的価値は高く評価されている。
歴史
中国では、『呂氏春秋』や『淮南子』が原点とされているが、いずれも思想について纏めたものであり、本格的な類書の最古のものとされるのは、魏の曹丕(文帝)の『皇覧』(現在、散迭)がルーツと考えられている。ただし、初期の類書は漢詩作成のための用語集的なものであったと考えられ、現在中国に残されている最古の類書とされる初唐に作られた欧陽詢の『芸文類聚』、虞世南の『北堂書鈔』、徐堅の『初学記』などは、そうした色彩の強い類書である。
また、仏教文献に関する類書として、唐の道世の『法苑珠林』、道教文献に関する類書として、北周の武帝の撰とされる『無上秘要』、北宋代の『雲笈七籤』がある。
五代十国以後に、より実用的な目的を持った類書が登場するようになる。宋代の『太平御覧』や『冊府元亀』、明代の『永楽大典』や『三才図会』、清代の『佩文韻府』や『古今図書集成』などが、その代表例である。
中国と海を隔てた日本では漢籍を蒐集する事が困難であったため、類書の伝来は歓迎された。『群書治要』や『太平御覧』などは、江戸幕府が入手のために金沢文庫から正確な版を取り寄せて更に校訂を加えて写本させた事が知られている。