髪菜

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テンプレート:生物分類表 髪菜はっさい中国語 ファーツァイ、fàcài)、Nostoc flagelliforme (Berk. et Curt.) Born. et Flahは、中華料理食材にされるネンジュモ属藍藻の一種。日本にも分布しておりやはり食用になるイシクラゲN. commune Vauch.の変種N. commune Vauch. var. flagelliforme (Berk. et Curt.) Born. et Flah.ともされる。

自生地

中華人民共和国青海省陝西省内モンゴル自治区等の乾燥地の草原において地表に生育し、毛髪状の群体を形成する。この群体は寒天質の基質からなり、この中に細胞が1列に連なり異型細胞を交える数珠状の細胞糸が埋もれている。ネンジュモ(念珠藻)の名称はこの細胞糸の形態に由来する。

利用

「髪菜」の中国語の発音は「財を成す」事を意味する中国語の「發財」の発音(fācái)と近い事から慶事の食材とされた。中華料理では乾燥品を水で戻し、蒸す、煮るなどして調理される。有名なものでは、干したカキ(蠔豉)と共に煮て、「財を成す良い市場」と語呂を合わせた「發財(髪菜)好市(蠔豉)」という広東料理がある。

採集時に熊手などで草原の地面を掻いて集めるため、中国の経済成長などに伴い需要が著しく増加すると、髪菜の採集による草原植生及び表土の破壊が著しくなり、表土流出など環境破壊が深刻になった。このため中華人民共和国では2000年6月14日国務院が採集と販売の禁止を通知するに至った。

元来、需要に比して希少な食材であるため、販売禁止になる以前から昆布ナガマツモ科海藻を用いて巧みに作られた偽物が市場に多く出回っていた。中華人民共和国国内での採集及び販売が禁止されている今日、中国国内で表の市場で出回っている物はこうした偽物のようである。まだ産業的成功にまで至っていないが、人工栽培の試みも行われている。

関連項目

  • モズク(中国で「海髮菜」とも称する)