シルエットフォーミュラプロジェクト
シルエットフォーミュラプロジェクト (Silhouette Formula Project: SFP) は、漫画『機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91』に登場する、架空の兵器開発計画。
目次
概要
当初サナリィの提唱する「モビルスーツ (MS) の小型化」に積極的でなかったアナハイム・エレクトロニクス社 (AE) は、連邦の要請を受けて小型MSであるRGM-109 ヘビーガンを開発こそしたものの、従来のMS開発手法の洗練に依然として主眼を置いていた。その結果、次期主力MSとして開発されたMSA-120は、サナリィ製のガンダムF90に破れ、その座を奪われる事となる。
グリプス戦役以来、連邦軍MS開発を独占してきたAEにとってこの事実は屈辱であり、失地回復を図るべく、宇宙世紀0112年にサナリィからの技術吸収(盗用や非合法な諜報活動なども含む)を目的とした新型MS開発計画シルエットフォーミュラプロジェクト (SFP) を発動させる。
3機の試作機の完成過程で、その技術力がサナリィと同等に達したと判断したAEは、更にクロスボーン・バンガードと接触。当初から存在したこの計画の政治的暗闘の色合いは、ますます深くなる事となる。
Gキャノン・マグナ
Gキャノン・マグナ(ジー・キャノン・マグナ)は、漫画『機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91』に登場する架空の兵器。AEのSFPによって開発されたMS。同社製造のGキャノンの改良型。
サナリィから新たに入手したデータにより、新型の小型熱核反応炉が搭載されている。サナリィ製造のF71 Gキャノン ヴェスバータイプに匹敵する性能である。
テレビアニメ『ガンダムビルドファイターズ』の第21話には本機のガンプラが登場し、『機動戦士ガンダム00』のイナクトのガンプラと戦闘を繰り広げている。
- ビームキャノン
- 両肩に装備しているビームを放つキャノンである。サナリィから得た小型核反応炉により両肩のビームキャノンはメガ粒子の可変速制御(ただし連続帯域での微調整は不可能)・集束距離の高速変換が可能になり、廉価版ヴェスバーと呼べる性能に仕上がっている。
Gキャノン スーパーデストロイ
強化火器支援機タイプである。右肩にセンサー、左肩に大型ビームキャノン、両足に増加ブースター、左腰にガトリング砲、右腰にミサイルランチャー、スナイパー強化型ビームライフルを持つ火力に優れた機体である[1]。
ハーディガン
ハーディガンは、漫画『機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91』に登場するSFPによって開発されたMS。 テンプレート:機動兵器 ヘビーガンをベースに建造されているが、実質的にF70 キャノンガンダムの模倣機に当たる。
そもそもはF90Sの簡易型であるF70のさらに量産仕様にあたるF71 GキャノンのOEM生産受注にまつわる一件に端を発する。
サナリィ設計開発によるF70であるキャノンガンダムの量産化に一応のゴーサインは出たものの、本来開発研究機関であったサナリィは、MSの大量生産ラインがまだ完全には整っておらず、さらにクライアントである(アナハイム利権を持つ一部の)連邦軍上層部の意向により、サナリィには不本意なかたちでAEに生産を委託する結果となった。だが、秘匿主義を固持するサナリィの体質にまつわる企業間連帯の不備や、連邦軍より命題とされたコストの大幅削減化やAEの技術不足などの様々な事情により、AEは独力による完全な形でのOEM生産を行えなかった。そのためにサナリィは生産性を第一に優先し、スペックダウンしたF70の簡易量産型であるF71を完成させた。この事は両企業間の確執をさらに深くする一件であった。この際、AEはOEM生産の契約時に公開提供されたF70の情報の中からサナリィの先進的なアイディアを吸収し、よりオリジナルに近い形で自社製品開発に反映させた新型機を製作する。それが本機RGM-111である。よってサナリィのF70に匹敵できる性能になっている。
当初、本機はRGM-109II ヘビーガン・カスタムの名称が与えられていたが、F70の模倣ではなくOEM生産受注以前に独自開発していたとする主張を強調する意図をもって、程なくしてRGM-111 ハーディガンと改称された。
サナリィのデータから得た新型の小型熱核反応炉を搭載し、ベース機体であるヘビーガンよりジェネレーター出力が大幅に向上している。またF90同様、機体各所にハードポイントが設置されている。設計段階から対MS戦を想定されていた為、総合戦闘能力ではGキャノン・マグナを上回る。ハードポイント増設による拡張性の高さなどから、ヘビーガン以上に多数のバリエーションが考案・製作されているのが大きな特徴である。漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム』では、アップデートされビームシールドを持つハーディガンが登場する。
- ビームランチャー
- サナリィから得たデータの小型核反応炉により両背部のビームキャノンはメガ粒子の可変速制御(ただし連続帯域での微調整は不可能)・集束距離の高速変換が可能になり、廉価版ヴェスバーと呼べる性能に仕上がっている。
バリエーション
本機はF70のみならず、F90系列の影響も大きく、本機をベースに各種武装の実験機として20機種以上に及ぶバリエーションが提案され、そのうちの約半数が実際に建造されている。
- ビームシールド搭載機
- ビームシールドを搭載した機体である(『機動戦士クロスボーン・ガンダム』に登場)。肩のアーマーはヘビーガンに近い形状だが同じ形状ではない。当時の連邦軍量産機におけるビームシールド普及状況から鑑みて、主に指揮官機として使用されたと思われる。
- RGM-111A ハーディガン強襲用
- 大気圏内での運用を想定した強襲タイプ。わずかながら量産されている[2]。
- RGM-111B ハーディガン ブリッツクリーク
- 電撃戦仕様タイプ。ゲリラ活動鎮圧のために出撃した第106守護中隊の専用機。第106守護中隊はコロニー内戦等のために特別訓練を受けたスペシャルフォースである。そして、ハーディガン ブリッツクリークもコロニー内戦闘を意識した機体である。RGM-109とRGM-111の中間形態ともいえる特色を持った機体である。
- ビームスピア、シールド、ビームサーベル、小型ビームライフル、腰付け中型グレネード×3、腰付け小型グレネード×4を装備した機体である[1]。
- RGM-111C ハーディガン中距離支援型
- RGM-111G ハーディガン白兵戦仕様
- かつてのガンダムタイプの運用思想に近付けたタイプ。ただし頭部意匠はハーディガンのままである[2]。
- RGM-111L ハーディガン陸戦用
- A型同様、こちらもわずかながら量産されている[2]。
- RGM-111N ハーディガン ナイトレイド
- 夜襲降下作戦タイプ。主翼が付いた飛行用バック、ロングビームマシンガン、盾、暗視スコープ等を装備した機体である。宇宙世紀0118年にインド地方で起こった旧ネオ・ジオン派の反地球連邦運動の鎮圧に参加した特殊降下部隊で運用された機体[1]。
- RGM-111R ハーディガン偵察型
- 宇宙世紀0122年にロールアウト。ハーディガンの試作機から5機生産されたのち、その一部が実戦で運用され、成果を挙げている[2]。
シルエットガンダム
シルエットガンダムは、漫画『機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91』に登場するMS。SFPの一応の集大成である。 テンプレート:機動兵器
本機はSFPにおいてサナリィから非合法に入手したデータによって開発されたアナハイム版のガンダムF91といえる機体である。 アナハイムではガンダムF91の特徴でもあるバイオコンピュータの技術が未完成だったために、本機は代替装備としてパイロットの技術や癖を見込んで機体バランスの変更・調整するタイプの高性能教育型コンピュータを搭載している。また、通常はコンピュータが行う機体バランスのバイアスやベクトル調整を、コクピットのサイドコンソールパネル上にあるMACSS(マニューバ・コントロール・サンプリング(サポート)・システム)の各トリムタブにおいてマニュアルで変更できるという大きな特徴を持っており、能力を単一方向に偏らせた状態での瞬発的な機動性能は過去の歴代ガンダムを含む既存のあらゆるMSを上回るとされているが、その場合はパイロットに大きな負担がかかりそして漫画『機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91』ないでも言及されているがフレームがヘビーガンであるために機体の分解が危惧される。この状態をサポートエンジニアのアイリス・オーランドは「機動性能が不安定なほど機敏になる」と述べている。既存の機体からの素材の流用も多かったため機体軽量化の面ではF91に及ばないものの、ジェネレーター出力の点ではこれを上回っており、総合性能はほぼ互角のものを持っている。しかし、SFPの性格上技術の模倣・開発に重点が置かれ、本機はデータ収集用として開発されたため、プロペラントの積載量は少なく戦闘可能時間は短い。武装面ではF91同様にヴェスバーとビームシールドを搭載する。
ビームシールド発振機の形状はノウハウ不足からビームシールド発生器部が大型になってしまっている。しかし、後に利点が発見されている。ヴェスバーは新たにサナリィから入手した技術により完成したが、内蔵されていた大規模コンデンサーの十分な解析ができなかったため、本体から分離しての使用は不可能である。また、盗用技術に不安を持った開発エンジニアがフェイルセイフ用の武装として、本来ならば大容量コンデンサ部にあたるユニットスペースに通常のビームキャノンを併用搭載させている。
シルエットガンダム改
シルエットガンダムでクロスボーン・バンガードの包囲網を単身突破したトキオ・ランドールが月のAEに帰還した際に、本機は破損箇所の修復を兼ねてシルエットガンダム改に改装された。なお、漫画においてはこのエピソードはなく、そのためシルエットガンダム改も登場していない。
本機は戦闘によって大破したシルエットガンダムに徹底的な改修を施した仕様である。胸部インテーク周辺からコクピットハッチに至る箇所の装甲強化、メインジェネレーター出力向上、新型ヴェスバーへの換装により、さらなる高次元の性能を獲得している。本機は試験用のテストヘッドとして建造されたためメンテナンス体制が確立されており、機体に対応したオプションユニットも同時に建造され、また各種アライメントのマニュアル操作を前提に設計されていた。このため、本機の機体そのものは以後のMS開発研究のために様々な機能を導入し、AE内部における小型高性能MSのスタンダードとして活用されたとされている。型式番号に使われている「A」は、「ADVANCED(アドヴァンスド)=次の、新しい」という意味を持っている。
ネオガンダムの技術をフィードバックした新型ヴェスバーはクランク構造によって本体と接続されAMBAC機能を有し、通常のビームライフルを併設した上でカウンタースラスターやサブノズル、姿勢制御バーニア、ランダムスラスターユニットとしての機動性能を盛り込まれ、本機の運動性能を引き上げている。
総合性能ではネオガンダムに及ばないものの、瞬発的な機動力や運動性能ではネオガンダムを上回る側面を有する。なお、シルエットガンダム改の設定画ではヴェスバー側面に「GBRD(G-B.R.D=G-バード)」というマーキングが確認できるが、技術の詳細な関連は不明である。
ネオガンダム
ネオガンダムは、漫画『機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91』に登場するSFPによって開発されたMS。社内開発コードはAFX(ANAHEIM Formula eXamination)-9000。 テンプレート:機動兵器
シルエットガンダムの完成により、SFPは一応の達成をみる。同機は機体性能の面においてサナリィ製の超高性能機F91と同等の能力を獲得していたが、AE社は、サナリィの様なバイオコンピュータの製造能力を有してはおらず、あくまでハードとしてのF91を模倣したものに過ぎなかったため、機体管制及び統合システムに関しては教育型コンピュータを基幹とする従来の手法に依存していた。しかし、AEがサナリィを抑え、次期主力MS開発メーカーの座に返り咲くためには、これをあらゆる点で凌駕する性能を持つMSを開発することが必要であった。
ネオガンダムにはSFPで得られたデータを基本に、それまでのアナハイム・ガンダムの全てのコンセプトが導入されている。AEでは、既存のノウハウであっても有効であると判断すれば採用することが往々にしてあり、本機にも運用データ回収、及びパイロットの生還率向上のためにコア・ブロック・システムが採用されている。ドッキング・システムはホリゾンタル・インザ・ボディ形式を採用[3]、バックパックにはビーム・サーベル兼用のビーム・カノンを装備するなど、かつてのガンダム試作1号機を想起させる設計が随所に見られる。
機体管制にはF91のバイオ・コンピュータに相当する新技術として、ブッホ・コンツェルンより入手したネオ・サイコミュ・システムが搭載されている。このデバイスの採用によって操縦者と機体をソフト・ハード両面で直結させることが可能となり、ネオガンダムはF91をも上回る限界性能を実現した。
本機独自の武装であるG-B.R.D(G-バード)は、ジェネレータを内蔵する大出力ビーム砲であり、その威力は、ヴェスバーを上回る。これらの各種能力を充実させたネオガンダムは、次期主力MSの開発ベースたるに相応しいポテンシャルを有し、次期主力MSのベースとして地球連邦軍への納入が内定していたとされるが、その後の経緯は不明である。
- 1号機
- ブラック・ボックスとして、ブッホ・コンツェルンから入手したネオ・サイコミュ・システムをコア・ファイター内に搭載した漆黒の機体。バズ・ガレムソンが搭乗。ビギナ・ゼラ、ネオガンダムの2号機と交戦している。
- 2号機
- カラーリングは、従来のガンダムと同じく白系統のトリコロールである。コア・ファイターにはネオ・サイコミュは搭載されず、余剰スペースには複座式のシートを仮設している。
G-バード(G-B.R.D)
ネオガンダムの専用武装。大型ビーム・ライフルの一種である。バストライナーやメガ・バズーカ・ランチャー、メガライダーなどの機動力を備えたビーム兵器、及びサブフライトシステムの延長上に存在する武装である。さらにヴェスバー開発で得られたビーム可変速機能のノウハウ導入、ジェネレーターを内蔵した上で徹底的に小型化している。出力面ではF91のヴェスバーを大きく凌駕しており、必要な電力は全て内蔵ジェネレーターによって賄われる。またG-B.R.D自体が機動用のスラスターを搭載しており、本体のサブ・ユニットとしての機能を備えている。このためネオガンダムは本体のジェネレーター出力の殆どを機体駆動・スラスター稼動に回すことができ、本体の推力とG-B.R.Dの推力とが相まって機動力の飛躍的な向上を実現している。センサー類も格段に強化され、手持ち式としたことでF91のヴェスバーで問題となっていた射角の制限、及び照準の不安定さが解消されている。コア・ファイターとのドッキングが可能であり、大火力と機動力を併せ持った重戦闘機としての運用も可能である。なお、G-B.R.Dとは、Generative Beam Rifle Deviceの略称である。
ネオ・サイコミュ・システム
AEがブッホ・コンツェルンとの裏取引きを通じて入手したサイコミュの発展型。MS搭載用に小型化されてはいるが、機能的にはXMA-01 ラフレシアに採用されたものと同等である。ネオガンダムの試作機は2機が建造されているが、同システムは1号機のコア・ファイターのみに搭載された。
劇中の活躍
エイジャックスの真の任務がアナハイムの自社違法活動の隠蔽工作とネオ・ジオン残党の虐殺計画だと知ったトキオ・ランドールはエイジャックスより脱走する際にネオガンダム2号機を奪取し、エイジャックス艦長であるバズ・ガレムソンの乗る1号機と対決する。ガンダムの兄弟機が敵味方に別れて(特に2号機が敵側の機体となって)対決するというシチュエーションはOVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』以降多用されているが、本作では主人公が2号機を強奪して悪役の1号機と戦うという、その後も見受けられないパターンであった。
ネオ・サイコミュによる1号機の高機動性に苦戦する2号機であったが、何とか背後に回りこんだのち1号機を羽交い絞めにし、身動きを取れなくした状態のままコア・ファイターを分離、1号機を羽交い絞めにしている状態の2号機ごと攻撃し、破壊するという奇策により勝利している。
RX-100
テンプレート:出典の明記 アナハイムの小型次世代機。RX-99 (AFX-9000) ネオガンダムの後継機であると思われるが詳細は不明。
ホビージャパンで登場予定であったが、その次の刊に未登場になってしまったテンプレート:要出典。ホビージャパンのネオガンダムの特集記事にも書いてあり、模型情報・MJのネオガンダムデザイン発表記事にも設定されている幻の機体。「ニューセンチュリーシリーズ」という名称が用意されていた[4]。
“センチュリーガンダム”という呼称が用意されていたテンプレート:要出典。