東貞蔵

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2014年7月26日 (土) 23:17時点における153.188.173.208 (トーク)による版
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先: 案内検索

テンプレート:Pathnav 東 貞蔵(あずま ていぞう)は、小説ドラマ白い巨塔』に登場する架空の人物。東都大学医学部医学科卒業。浪速大学医学部第一外科教授、呼吸器外科専攻。62歳。

来歴・人物

父親も洛北大学附属病院長を務めた医学者で、代々学者の家に生まれる。家族はの政子、の佐枝子。息子もおり、同じ医者としての道を歩ませようとしたが、無理な勉強と戦時中の食糧不足により夭折した(2003年版では登山中に事故死したという設定)。

概説

東都大学医学部卒業。呼吸器外科の権威。浪速大学医学部第一内科教授・医学部長の鵜飼教授からの紹介もあり、東都大学で教授の椅子を逃した挫折感を味わいつつ浪速大学教授に着任した。
学究肌であり、手術の腕は財前に及ばない。鵜飼とは互いに立てあいながら中央官庁と折衝を重ね、付属病院新館の建築に奔走。しかし、東の後任教授をめぐって鵜飼は財前を支持、袂を分かつことになる。

財前との確執

財前五郎の師にあたる。しかし自分の不在中に雑誌の取材を受けるなど、自分を蔑ろにする助教授・財前の傲慢な性格を非常に嫌った。このため財前との関係は日増しに悪化するが、この件については、財前の振る舞いが東の高潔な性格・教授としての矜持・また財前への複雑な嫉妬にも似た感情をおおいに逆撫でしたことが要因となっていた。

財前への後継指名回避を決意した東は、東都大学の後輩に当たる東都大学第二外科主任教授船尾徹に後任教授の推薦を打診、推薦された温和な学究肌である金沢大学(2003年に放送されたシリーズでは石川大学となっている)教授菊川昇を後任教授候補とする。これは、現在独身の菊川は娘・佐枝子の配偶者としても最適であると考えた、妻の政子の進言に拠る所もある。財前を排除し、娘婿とした菊川を自らの後任教授に迎えることがかなえば、退官後も第一外科に菊川を通して、影響力を行使できる可能性を東は察知していた。

更に教授選挙への工作のため、東は第二外科教授・今津(今津の教授就任の際には東が支援しており、今津は東に借りのある存在)に内意を打ち明け、菊川支持を取り付けると共に教授会工作を依頼。今津は財前の学位取得前の師で、財前を快く思わない病理学・大河内教授に東の内意また財前の傲慢な言動を伝え、間接的ではあるが大河内教授の選考委員立候補、そして委員長就任を促す。書類審査の結果、財前、菊川と、財前の前任助教授である徳島大学・葛西が候補として残る。投票の際、東は「二人の愛弟子(葛西・財前を指す)が骨肉相食むのを見るのは忍びない」と、名台詞を吐いて退席。これは現教授の東から後任教授として推薦されない財前に対する同情票を封じるための大芝居であったが、開票の結果、票は割れ、財前、菊川の上位2名での決選投票になる。結果は2票差で財前が勝利。利害関係・思惑が交錯する教授選挙に際して、慣れない政治工作にまで手を染めた東の奮闘は実を結ぶことなく、東は傷心のまま定年を待たずに退官する。

退官後

退官後は近畿労災病院院長に天下り(2003年版では近畿労共病院院長)。財前が起訴されると、里見脩二や関口仁からの依頼を受け、一審では東北大学名誉教授の一丸直文、二審では関東医科大学助教授の正木徹を紹介した。なお、原作には、控訴審の初公判を傍聴するという内容が記述されている。また、2003年に放送されたシリーズでは、里見脩二に財前五郎が自分の退官日に佐々木庸平の手術を行っていたことを聞き、関口に鑑定医として正木を紹介するが、一度鑑定医を受諾したはずの正木が財前側の工作によって辞退し、さらに船尾が財前側に寝返ったことで自ら出廷を決意。証言の際に財前との確執について厳しく問い詰められながらも「教え子の誤りは自分の誤り」として、その責任を取るため院長辞職を表明する、といったストーリーになっている。また2003年版では娘・佐枝子とともに第二審の判決を傍聴している。

財前への執刀

財前五郎が胃癌で倒れると、財前に依頼された里見脩二の頼みと説得により、財前への怨讐を捨て、手術を執刀するも、肝臓にまで癌が転移しており、切除が不能であった(2003年版では肺癌の肺内転移と胸膜播種を起こしていて手の施しようがないという設定に変更)。他に様々な対案が提案されたが、どれも容態が増悪を引き起こすデメリットが大きかったため、体力の温存を考えて何も施せず縫合した。直後に里見が5-FUの使用を提案したときには当初は反対していたが、最終的に里見の熱意に押されてこれを認め、結果鵜飼も了承した。

術後はしばし往診し、近畿労災病院の仕事があるのにわざわざ往診するのを恐縮する財前に対して「医者が執刀した患者を往診するのは当然のことであって、別に恐縮することはない」と言い聞かせた。

財前が黄疸から真の病状に気づいた際には、医師団の教授とともに鵜飼教授により招集される。鵜飼が財前への告知を渋るなか、「財前君ほどの臨床医を騙しおおせるのは無理だし、騙したまま死なせるには忍びないから、本来なら財前君には切除不能の癌だと告知した上で死んでもらうべきだろう。しかし、もし私自身が癌で倒れた時、一人の人間として死期を予知してもらったほうがよいかどうかは、自信を持っては答えられない…」と語り、死期が定まっている癌を前にして、人間としての弱さを見せた。また、鵜飼から財前の死期を問われ、後任教授の推薦を依頼されると、自分の弟子である財前すら使い捨てにしようとする鵜飼に「財前君はまだ生きています」と怒りを露にした(このシーンは78年版と2003年版にのみ登場するオリジナル)。そして、危篤に陥った財前の最期の脈を取った。

なお、2003年版では最期の脈を取るシーンはなく、かわりに(里見と二人だけにさせてやるため)退室しようとの又一の提案に応じ、最後まで退室を渋った鵜飼らを促した後、最後に退室、病室の扉を閉じた。

自宅

なお、住所は原作では西宮市夙川で、これは財前の自宅の近所である。しかし、平成版では芦屋市六麓荘(近畿有数の高級住宅地で、芦屋市内でも最高格)となっている。

演じた俳優

テンプレート:白い巨塔 テンプレート:Asbox