規制が議論されている兵器

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2013年12月9日 (月) 18:36時点におけるBluedot (トーク)による版 (その他の兵器)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先: 案内検索

テンプレート:大量破壊兵器 規制が議論されている兵器(きせいがぎろんされているへいき)では、世界的に規制が議論されている現代の兵器のカテゴリーについて述べる。

これらの多くは、兵器により生み出される戦果が「非人道的」であるとの見地から、制限が検討されている。中には、既に制限に関する条約などが複数の国家により批准され発効しているものもある。

兵器の概要や詳しい特性などについては、それぞれの兵器の記事を参照のこと。

NBCR(CBRN)/ABCR兵器

かつては原子爆弾だけだったのでA(Atomic)兵器と呼ばれた。他に水素爆弾中性子爆弾など。
包括的核実験禁止条約 (CTBT) は爆発を伴う核実験を禁止する条約である。但し現在のところ未だ発効していない。臨界前核実験はこの条約によっても禁止されないと考えられているが、核開発を推進するものだとして非難する意見もある。
核拡散防止条約 (NPT) は核兵器の連鎖的な拡散を防ぐために考案された条約である。1970年に発効し、1995年にその効力を無条件・無期限に延長することが決定された。
核兵器禁止条約 (NWC) は核兵器の開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用及び威嚇としての使用の禁止ならびにその廃絶等、核兵器の全廃と根絶を目的として起草された国際条約案である。2007年、コスタリカ・ マレーシア両政府の共同提案として正式に国連総会に提出された。2011年10月には国連総会で軍縮・国際安全保障問題を扱う第一委員会が採択した52の決議のうちマレーシアなどが提出した核兵器禁止条約の交渉開始を求めた決議が127ヵ国(昨年より6ヵ国多い)の賛成で採択された。


細菌兵器(細菌ウイルス、それらを媒介する宿主生物を含む)など
これはジュネーヴ議定書にて使用が禁じられている。
生物兵器禁止条約 (BWC) は開発・生産・貯蔵について禁じる条約である。
いわゆる毒ガス、枯れ葉剤等の薬物、薬品、毒物など
これはハーグ陸戦条約ジュネーヴ議定書にて使用が禁じられている。
化学兵器禁止条約 (CWC) は開発・生産・貯蔵・使用について禁じる条約である。

以上をまとめて、NBC兵器もしくはABC兵器と呼ぶ。

核兵器が核分裂による爆発の衝撃波と熱線、放射線による直接的な破壊や殺傷を主な目的としているのに対して、核反応の有無に関係なく爆発によって間接的に放射性物質を散布することによって、直接的な殺傷や破壊よりも放射能汚染や社会的混乱などを引き起こすことを主な目的とした兵器のこと。俗に汚い爆弾(DIRTY BOMB)と呼ばれる。
核テロ防止条約核テロ行為防止と容疑者の取扱い・犯罪人引渡しなどを規定する条約である。
核物質防護条約は核物質の不法な取得と使用を防止し、核物質及び原子力施設を妨害破壊行為から防護し、容疑者の引渡しを規定し、これらの犯罪を政治犯罪とみなしてはならないことを定めた条約である。

以上をまとめて、NBCR兵器もしくはABCR兵器と呼び、大量破壊兵器という場合、通常はこれをさす。なおCBRN(シーバーン)兵器と称することもある。

その他の兵器

対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約(対人地雷全面禁止条約)(1999年3月発効)
除去の困難性や民間人への被害による。除去困難性に対する補足だが、費用が嵩むが一定期間経過すると爆発しなくなる地雷がある。
特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)議定書IIIにおいて、文民や人口密集地周辺への使用が制限されている[1]
  • 目潰し用レーザー兵器
Blinding Laser Weapon (BLWs) と呼ばれる兵器は、人の目に向けてレーザーを照射し、その出力によって網膜に損傷を与えて視力を奪うタイプの兵器である。(→光線銃
1990年前後からアメリカなどが実用的な実験を行っているが、可視領域外の波長を用いることができること、一瞬でも目に飛び込むと効果を及ぼすこと、使用が著しく容易でかつ継続的に作動させ続けることができること、網膜に及ぼした損傷が多くの場合不可逆的で永久的に失明する恐れがあること、などから非人道的兵器と見なされた。
1980年代後半には中国で歩兵用レーザー銃テンプレート:仮リンクの開発が始まったとされる。これは敵の失明や、兵器の光学機器の破壊を目的としていた。
1995年10月、特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)議定書IVが採択され、失明をもたらすレーザー兵器の使用・移譲禁止が規定された。
1996年のジュネーブ協定において、実戦配備されない段階にもかかわらず、視力を奪うために用いられるレーザー兵器の使用は禁止された。この迅速な決定の背景には、テロリストの手に渡るほど量産・普及してからの規制では手遅れであるとの各国の一致した判断があったという見方がある。
しかし2002年7月にNew Scientist誌に掲載された報告をきっかけに、戦闘機の空対空兵器として搭載が検討されているレーザー兵器についても、地上の民間人に対し偶発的に同様の効果を及ぼす恐れがあるとして、反対運動が起こっている。
  • クラスター爆弾も不発弾化したものが地雷と同様の被害を与えるという理由から人道上の問題を指摘する意見がある。(→不発弾
特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)でクラスター爆弾について検討中(2006年)。
2007年2月にノルウェーオスロで「オスロ宣言」が46カ国により採択され、2008年5月、ダブリンで開かれたクラスター爆弾に関する外交会議で107カ国によってクラスター弾に関する条約が採択された。
  • 燃料気化爆弾は急激な気圧の変化による内臓破裂などを起こさせ、無差別かつ不必要な殺傷を引き起こすため、禁止するべきとの意見がある。
  • ダムダム弾は、命中時に容易に変形・分裂し、人体内部に大きな損傷を与える。そのため、残酷な被害を与えるとして1907年ハーグ陸戦条約にて戦争での使用が禁止された。
  • 劣化ウラン弾は、分類上、核兵器でも放射能兵器でもないとされており、すなわち大量破壊兵器ではない。しかし砕けた砲弾の微細な破片を人間が吸い込む事により重金属中毒を起こす事、更に内部被曝による放射能被害が出るのではないかと言われている事から使用を制限すべきだという意見がある。
  • 対物ライフルは「対物」という名称ながら、実際には機内に立てこもったテロリストをガラス越しに狙撃したり、1000m以上離れた場所からの長距離の対人狙撃に用いられているが、ハーグ陸戦条約で禁止されている「不必要な苦痛を与える兵器」に該当するという意見もある。

注記

テンプレート:Reflist

参考文献

関連項目

テンプレート:Asbox
  1. イスラエルトルコ韓国などは未締約。[1]