ブラジリア

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テンプレート:Pathnav テンプレート:世界の市 ブラジリアポルトガル語: Brasília)は、ブラジル首都連邦直轄地区。中部の標高約1,100mの高原地帯に建設された、計画都市である。人口は約200万人。

概要

計画都市

ブラジル高原の荒涼とした未開の大地(セラード)に建設された計画都市。ブラジル人建築家ルシオ・コスタの設計により建設された計画都市地域は、人造湖であるパラノア湖のほとりに飛行機が羽根を広げた形をしており、飛行機の機首の部分に国会議事堂行政庁舎、最高裁判所が並び、羽根の部分には高層住宅や各国の大使館がある。

国会議事堂や大聖堂などの主要建造物は、いずれもモダニズムの流れを受けた未来的なデザインで作られている。これらの公共建築の主任建築家は、ニューヨーク市の国際連合本部ビルの設計も担当したブラジル人建築家オスカー・ニーマイヤーである。

世界遺産登録

1987年には、世界遺産に登録された。歴史的な街並みを持つ都市が世界遺産に登録されることは多いが、建設されて40年未満という若い都市が登録されたのは、当時としては異例のことであった。のちに世界遺産委員会の「世界遺産条約履行のための作業指針」において、20世紀建築の登録は推進されるべき分野のひとつと位置づけられた。

気候

ケッペンの気候区分ではサバナ気候(Aw)とされるが、温帯夏雨気候(Cwa,Cwb)にも近い。 テンプレート:Weather box

歴史

ファイル:Vista parcial do Distrito Federal, Brasil.jpg
飛行機の羽根の形状を模したブラジリアの衛星画像

遷都

ブラジルは、ポルトガル植民地から独立した頃から(ブラジリア建設以降、現代に至るまでも含め)旧首都であるリオデジャネイロやブラジル最大の都市であるサンパウロといった大都市が存在する大西洋沿岸部に人口や産業が集中している。そのため、内陸の高原部との間で所得などの面で大幅な格差があり、既に19世紀頃からその解消と、その方策としての内陸部遷都が叫ばれていた。

建設開始

20世紀に入ってからも、何度か内陸遷都が検討されながらも度重なる政変や第二次世界大戦の勃発などで具体的な形にならないままでいたが、1956年に大統領に当選したジュセリーノ・クビチェック(ジュセリーノ・クビシェッキ)は、新首都建設で内陸部の開発とそれによる国土の均衡的発展を企図し、正式に新都市の建設とリオデジャネイロからの遷都を発表した。

インドチャンディーガルと並び、モダニズムの理念に基づいて計画的に建設された都市で、工事はクビチェックの任期である5年以内に間に合うよう、急ピッチで進められわずか41ヶ月間で完成。1960年4月21日に供用を開始した。

功罪

この新首都の建設によって内陸部の開発が進んだが、その一方で、莫大な建設費はブラジルの国家財政に大きな負担となって残り、1970年代から1980年代にかけてブラジルを襲った経済不振と高インフレの大きな原因の一つとなったとの評価もある。

新首都を国土の中央に建設した結果、開発の進行によって内陸部の経済振興は進み、ブラジル全体としてみれば、ブラジルの国土の中央部にブラジリア国際空港(ジュセリーノ・クビシェッキ国際空港)を建設したことにより、航空路線の航路は東西南北の各地域を結ぶハブを得ており、商業運輸の面でもこの地域の国道が整備されたことで、中西部のマットグロッソ州方面から北東部のバイーア州など大西洋側の地域へ、あるいはサンパウロ州から中西部、北東部へと抜ける物流や長距離バス路線が再整備されており、連邦直轄区の建設自体には今日、一定の意義が認められる。

しかしながら、道路は整備されているものの、河川が無い内陸部に建設されたため水運手段がなく、航空路線も国内線は充実しているが、大きな産業もないため国際線定期便の就航は少ない。また、サンパウロやリオデジャネイロ、マナウスなどの他の大都市とは距離がかなり離れている。このような状況から大企業の本社機能の移転などが行われるには至っていない。

ファイル:Entrada de São Sebastião (DF).jpg
雑然とした家並みの広がる衛星都市

さらに、ブラジリアは整然とした計画都市だが、市内の移動は自動車による移動を前提にしているために、実際の市民生活を送るには不便である。

しかも、国家プロジェクトとして緻密な計画が練られて開発されたブラジリア市とは対照的に、周囲の衛星都市は無秩序に発展し、ブラジリアが位置する連邦直轄区内は州境の幹線脇を中心に土地の不法占拠など半ばスラム化しているところもあり、そうした衛星都市を都市圏とすることで成り立つブラジリア市もその影響を免れておらず、一口に成功したとは言い難い状況である[1]

莫大な建設費を一挙に投じて、巨大建築が立ち並ぶ理想都市を建設したブラジリアのアンチテーゼとして、低コスト、ヒューマンスケール、小さなプロジェクトの積み上げという街づくりを掲げ、成功したのがパラナ州クリティーバ市であった。

人口動態

白人(49.15%)、混血(44.77%)、黒人(4.80%)、アジア人(0.39%)、先住民(0.35%)

交通

市内

市内は自動車道と歩道が完全に区別されており、自動車道も極力立体交差になるよう設計されている。住宅区画と商業区画、官庁街など各区画は厳然と分かたれており、市民生活においても移動が不便であるため、総人口250万人弱に対して自家用車の総数は100万台弱と、ブラジルの都市としては自動車の保有率が高い。

市内の主な公共交通手段はバスタクシーである。近年になって公共交通機関の整備が始まり、一部で地下鉄が開業し、またトラムの建設工事が進行中である。

市外

サンパウロリオ・デ・ジャネイロマナウスなどの他の大都市とは距離が離れており、旅客機と長距離バスが都市間の主な交通手段である。鉄道駅も存在するものの、こちらは貨物が主であり、一般に旅客には用いていない。

航空便

空港ブラジリア国際空港があり、国際便と国内便が就航している。国内便については、全てのブラジルの大都市との間に定期便が就航しており、特に南部の大都市であるサンパウロコンゴニャス国際空港との間には15分-30分に1本程度、リオ・デ・ジャネイロのサントス・デュモン空港アントニオ・カルロス・ジョビン国際空港との間には30分―1時間に1本程度の定期便が就航している。

またブラジル国内の旅客便は南部の都市、中部の都市、北部の都市にまたがって移動する場合、中小都市同士との間には必ずしも直行便があるわけではないので、ブラジルの中心に位置するブラジリア国際空港が各都市を結ぶ乗り換えのハブ的役割を果たしている。

国際便については、ブラジリア自体に大きな産業がないため、首都の空港であるにもかかわらずTAPポルトガル航空によるリスボンへの直行便のみにとどまっていたが、昨今のブラジルの経済成長と、ブラジル中西部そしてブラジリア発着客の増加を受けて、北米便の就航が2009年より相次いでいる(アトランタマイアミ)。なお、TAM航空ニューヨークとの直行便を就航させる予定である。

主な建造物

  • アルボラーダ宮殿(大統領官邸)
  • 国会議事堂
  • 連邦最高裁判所
  • 三権広場
  • カテドラル・メトロポリターナ
  • ドンボスコ聖堂
  • クビチェック大統領記念館
  • 国立美術館
  • ジュセリーノ・クビチェック橋
  • 国立劇場
  • テレビ塔

世界遺産

テンプレート:Infobox

登録基準

この世界遺産は世界遺産登録基準における以下の基準を満たしたと見なされ、登録がなされた(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。テンプレート:世界遺産基準/coreテンプレート:世界遺産基準/core

スポーツ

ブラジリエンセFCSEガマ、レギオンFCなどのサッカークラブがあるが、ブラジルの1部リーグに所属するクラブは2014年の時点では存在しない。なおブラジリアの州リーグが存在しているが(ブラジリアは連邦直轄区なので厳密に言うと「州リーグ」ではない)小規模である。市内にあるエスタジオ・ナシオナル・デ・ブラジリアFIFAコンフェデレーションズカップ20132014 FIFAワールドカップの会場として使用された。2019年には夏季ユニバーシアードを開催予定。

姉妹都市

関連項目

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

外部リンク

公式
日本政府
観光

テンプレート:Commons&cat テンプレート:ブラジルの世界遺産 テンプレート:Coord

  1. 「計画とは無縁」となっているとの指摘もある(不動産協会広報誌FORE 2012年1月号[1])。