クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦
テンプレート:Infobox Film 『クレヨンしんちゃん 電撃! ブタのヒヅメ大作戦』(クレヨンしんちゃん でんげき ブタのヒヅメだいさくせん)は、1998年4月18日に公開された『クレヨンしんちゃん』の劇場映画シリーズ第6作目。上映時間は99分。興行収入は約11億円。キャッチコピーは『このおバカ、恐るべし』。
あらすじ
国連直属の秘密組織SML(Seigino Mikata Love:正義の 味方 LOVE)の一員、コードネーム・お色気は、秘密結社ブタのヒヅメの飛行船から、ある秘密兵器を動かすために必要なディスクを盗み出し、東京湾へと脱出した。
一方、お台場沿岸を航行中の屋形船では、ふたば幼稚園の先生と園児達が大宴会で賑やかに騒いでいた。するとその場に突然、海からお色気が上がりこんでくる。困惑する一同をよそに、さらに巨大な飛行船が現れ屋形船をわしづかみにする。先生や園児達は釣り上げられた屋形船から脱出するが、トイレに入っていたしんのすけとそれを待っていた風間ら5人の園児、同じくトイレにいたお色気達が残されたまま、屋形船ごとさらわれてしまう。
ニュースでこのことを知ったみさえとひろしはしんのすけが行方不明と知り絶望するが、そこに「SML」の一員でコードネーム・筋肉と名乗る大男が現れ、しんのすけたちは生きていると告げる。筋肉はみさえたちに事情を説明し、事件は「SML」が解決すると言った。が、みさえたちは無理矢理にでもついていくと言い、筋肉の弱みにつけ込んで野原一家を同行させるという誓約書にサインをさせる。が、やはりみさえたちは取り残されてしまう。
みさえは、筋肉の持っていた資料で目にした「Hong Kong」の字から香港に手がかりがあると推測。早速支度をし始め、翌日野原一家はシロを残し香港へ発った。そしてみさえたちは香港で筋肉と再会。二人の申し出を断っていた筋肉だったが、ひろしの強い意志に押されて同行を許す。こうしてひろしとみさえは筋肉と共にしんのすけ達とお色気を救出しに向かったのだった。
その頃、屋形船ごとさらわれたしんのすけ達とお色気は「ブタのヒヅメ」の飛行船に捕らわれていた。屋形船をさらっていった飛行船はお色気を追ってきた「ブタのヒヅメ」の船だったのだ。やがて「ブタのヒヅメ」の三人の幹部バレル・ブレード・ママとリーダーのマウスが現れてお色気にディスクを返せと迫るが、お色気はこれを拒否。その後、お色気はしんのすけ達を飛行船から逃がすことに成功するも自身は囚われの身となってしまう。そして、しんのすけ達を助けに来たみさえとひろし・筋肉は乗っていた飛行機を「ブタのヒヅメ」の飛行船に撃墜され、飛行船やしんのすけ達と離れ離れになってしまった。
概要
劇場版クレヨンしんちゃんとしては初となる野原一家以外を主役もしくは準主役として描かれた作品。マスコット・キャラクターとなっているぶりぶりざえもんも話の重要な役割を占めている。
シリアスな銃撃戦や迫真のアクションシーンが展開するのが特徴。登場する銃器は全て実在のもので、作画用の設定書には射撃時のマズルフラッシュの出方や装弾数まで細かく考証され描き込まれている。肉弾戦については『ポリス・ストーリー3』などのアクション映画を参考にしており、原は本作についてパンフレットのインタビューで「炎の友情をテーマにした、ちょっと古くて懐かしい冒険アクション映画を目指しました」とコメントしている。
お色気役に三石琴乃を起用したのは監督の原恵一であり、当時原が『新世紀エヴァンゲリオン』にはまっていたと言う事もあって、三石が演じていた葛城ミサトを意識させたキャラ設定を行っていたという。なお、お色気がしんのすけのことを「しんちゃん」と呼んでいるのも新世紀エヴァンゲリオンで葛城ミサトが主人公の碇シンジを「シンちゃん」と呼んでいることからである。ちなみに三石は次回作から上尾ますみ役でレギュラー出演している。
作中にしんのすけの語りで、「ぶりぶりざえもんのぼうけん」という物語が入るが、この部分は原作者の臼井によって描かれた話をアレンジしたものである。この部分を含め、ギャグに留まらないまじめなシーンも散見される(なお、この「ぶりぶりざえもんのぼうけん」は実際に今回の映画公開前に書店で販売されていた)。
登場人物
- お色気
- 「お色気」はコードネームで本名不明。薄い生地のボディスーツのみという格好をしたSMLの女性エージェント。物語序盤でブタのヒヅメ本部から秘密兵器を起動させるパスワードの入ったディスクを盗み出し、幼稚園の面々が乗っていた屋形船に逃げてきた。だがその後、彼女のあとを追ってきたブタのヒヅメの飛空挺に屋形船ごと捕縛され、逃げ遅れたしんのすけ達と共に捕まってしまう。その後しんのすけ達を逃がすが自らは再び捕縛され、自分の顔を動物の胴体に合成させた映像を長時間無理矢理見せられるという屈辱的な拷問を受け、遂にはしんのすけ達を人質に取られたためやむなくディスクをマウスに渡してしまった。しかし、お尻の型を取らせることを条件に大袋博士の協力を得て、筋肉・ひろし達と合流した後はしんのすけと大袋博士を護るためにママとの戦いに挑む。自称「ドM、結構尽くすタイプ」らしいが、ブタのヒヅメの戦闘員を踏みつけて倒したため、しんのすけからは「男を尻に敷くタイプ」と評価された。筋肉とは元夫婦で、かつて夫婦喧嘩で鍛えたフライパンを使った武術でママを倒した。1児の母でセーギという息子がいる。格闘技の達人だが、銃は「下品」と考えているために銃撃戦は嫌い(飛行船で一度ブタのヒヅメ一般隊員から奪った銃を使用している)。
- 筋肉
- 「筋肉」はコードネームで本名不明。SMLのエージェント。筋骨隆々の大柄な男性。ひろしとみさえの下にやってきてしんのすけに関する情報を聞き出そうとしたことをきっかけにひろしとみさえの策に溺れながらも、ひろし達と行動を共にすることになる。お色気とは違い、銃撃戦で戦う。正義感が強く、物語終盤でマウスがブタのヒヅメ本部の自爆装置を作動させた際には彼に鉄拳をぶつけて気絶させ、ブタのヒヅメのメンバー達を全員飛行船に乗せ助けた。お色気とは夫婦だったが浮気をしたことが原因で離婚、息子に会わせてもらえない。終盤でお色気と生還したらセーギに会わせてもらうという約束をした。荒野において、みさえ、ひろし、ひまわりにテントを貸し与え、自分が外で寝たのも子どもを凍えさせてはいけないという子供を持つ一人の父親としての表れである。殴り合いの方が好きらしいがママには勝てずボコボコにされた。
- マウス
- 秘密結社「ブタのヒヅメ」のリーダー。スキンヘッドに眼鏡という風貌の男で、悪の巨大組織の親玉にしては意外と地味な服装をしている。冷徹かつ傲慢な性格で子供嫌い。一応子供からの質問にも素直に答えるが、しんのすけからひねくれた質問を受けると「私は子供が大嫌いなんだよ!」とモニターのアップとともに叫んだ。大袋博士に技術協力させ、サイバーテロによる世界の支配を目論む。しかし、自身の人を見下す物言いのせいでウイルスぶりぶりざえもんからは嫌われており、全くそりが合わなかった。しんのすけ達を人質にしてお色気からディスクを奪い、さらに作戦が失敗してもしんのすけ達を基地の自爆に巻き込もうとするなど、最後まで卑劣と冷徹さを貫いた。最後はそういった態度を取ったことで筋肉の怒りに触れ殴打され気絶。結局しんのすけたちに助けられ生還した。
- バレル
- 「ブタのヒヅメ」の幹部で、リーダー格。ホスト風の二枚目だが、小柄であるうえ短足なのがコンプレックス。7cmアップのシークレットシューズを愛用しているが、それでもなお足が短く、しんのすけに指摘される一幕もあった。シューズを無くすと戦意喪失してしまうのが弱点で、終盤しんのすけ達にシューズを奪われあっさり降参した。懐のサスペンダーに自動拳銃を2挺忍ばせており、機嫌を悪くするとそれを撃ちまくる(しかし、しんのすけには華麗に(?)かわされた)。性格はクールを装っているが、かなり毒舌で、銃を乱射したり、彼のことを笑った「お色気」に顔面殴打を加えるなど粗暴な一面を持つ。一方で、しんのすけの流れに乗せられてしまうなど、組織幹部には似つかわしくない面も見せた。。
- ブレード
- 「ブタのヒヅメ」の幹部。名前の通り、数々の刃物を使いこなす名手。普段は無表情かつ寡黙だが、ダジャレ好きで場を弁えずにダジャレを呟いては一人で笑う変人。ママやバレルもそのことにしばしば呆れている。だが、戦闘時となると狂気を向き出しにした危険な人物と化す。凶器の扱いも一流だが、身動きも非常に俊敏で、筋肉が放ったマシンガンの弾をすべて避けた。一方、面白いダジャレにあっさり反応してしまうため、ダジャレが弱点でもある。後に筋肉と戦った際、その弱点を自ら突いてしまい(自分が口にしたダジャレで爆笑した)、隙だらけになったところに顔面パンチを喰らい倒された。かなりの武器を隠し持っているため、終盤で筋肉が「武器を捨てて飛行船に避難」と命令した際、武器を捨てるのにかなりの時間を要していた。
- ママ
- 「ブタのヒヅメ」の幹部。プロレスラーのような体躯をもつ大柄な女性。お色気や筋肉をも圧倒する程格闘術に長け、持久力も高く武器は一切使用しない。好戦的で激情家、暴力を振るう事も辞さない荒々しい性格。部下に対する扱いも非常に乱暴である。中盤でお色気と戦った際にはお色気の俊敏な動きに翻弄されしんのすけ達の脱出を許すという失態を犯す。その強さでお色気と筋肉を苦戦させるも、フライパンを手にしたお色気との激闘の末敗北し、しんのすけたちに助けられ生還した。荒くれ者だが、しんのすけやブレードのダジャレで躊躇する場面もある。出産、育児経験はなく、「ママ」とは彼女の名前である。
- 大袋博士
- 電子学の権威である老人。コンピューターウィルス「ぶりぶりざえもん」の開発者であり、春日部に住んでいた頃、みさえが窓から投げ捨てたしんのすけの落書きを見て「ぶりぶりざえもん」のプログラムを考案。その後は助手のアンジェラ青梅と共に「ブタのヒヅメ」に捕まっていたが、実際は自身の研究を達成させるという私欲から「ブタのヒヅメ」に自ら協力していた。スリッパこそ人類最大の発明品であると考えており、どこへ行くにもスリッパを履いていく。お尻フェチで、女性の身体にはお尻以外に興味が無い。
- 物語後半でしんのすけ達に出会い、ひろし達と合流した後、お色気にお尻の型をとらせてもらう約束で味方になり、コンピューターウィルスとなったぶりぶりざえもんを止めるためにしんのすけを電脳世界へ送り込み、自らはぶりぶりざえもんのプログラムを消去するプログラムを打ち込んだ。エンディングではSMLに所属している姿が描かれていて、お色気のお尻の型もちゃんと取らせてもらった様子。名前の由来は東武伊勢崎線大袋駅。1925年4月1日生まれ、73歳。北海道千歳市出身。因みに、オカマと尻フェチの科学者のコンビは原作者である臼井のアイディアである。
- アンジェラ青梅
- 大袋博士の助手。中年のオカマで、12歳でオカマに目覚めたという。顔の輪郭がしんのすけとよく似ており、劇中本人もそのことに言及している。1958年12月25日生まれ、41歳。長野県波田町出身。ひろしのようにしょぼくれた男がタイプ。みさえから「キスまでなら許す」と言われ、しんのすけ達の救出に協力する。ちなみにTVアニメの中ではアンジェラ小梅という彼と酷似したオカマが登場しており俳優の藤原啓二と交際疑惑がもたれていた。
- セーギ
- お色気と筋肉の息子。2人の離婚後は、お色気に引き取られた。映画のラストに登場。
- 臼井儀人
- 漫画家。声も本人が担当。好きな女性のタイプはSPEED(全員)。冒頭で屋形船に乗り、カラオケで「大都会」を熱唱する。その後、「アジアカラオケ選手権」出場のため香港に赴き、その会場の場所を筋肉とみさえたちに尋ねたが、筋肉に「知らん!!」と言われ、みさえに殴り飛ばされた(TV版では、このシーンはカットされている)。
登場する銃器
- FAMAS F1 - 筋肉が使用するアサルトライフル。
- デザートイーグル - 筋肉が使用する自動拳銃。
- H&K MP5KA2 - ブタのヒヅメ団一般兵士のメインウェポンである短機関銃。お色気が奪って使ったのもこれである。
- ベレッタM92FS - ブタのヒヅメ団一般兵士のサイドアーム(予備武装)。
- コルト・ガバメント - バレルが2丁持っている自動拳銃。
キャスト
- アナウンサー - 白石文子
- レースクイーン - 引田有美
- OL - 佐藤ゆうこ ※EDクレジット表示なし
- 女の子 - 白石文子 ※EDクレジット表示なし
- 女子高生 - 白石文子、佐藤ゆうこ ※EDクレジット表示なし
- セーギ - 佐藤ゆうこ
- マンガ家 - 臼井儀人(特別出演)
スタッフ
- 原作 - 臼井儀人
- キャラクターデザイン - 原勝徳
- 作画監督 - 原勝徳、堤のりゆき
- 美術監督 - 川井憲、古賀徹
- 設定デザイン - 湯浅政明
- 撮影監督 - 梅田俊之
- ねんどアニメ - 石田卓也
- 音楽 - 荒川敏行、宮崎慎二
- 録音監督 - 大熊昭
- 編集 - 岡安肇
- プロデューサー - 茂木仁史、太田賢司、堀内孝
- 監督・脚本・絵コンテ - 原恵一
- 演出 - 水島努
- 色彩設定 - 野中幸子
- 特殊効果 - 土井通明
- 動画チェック - 小原健二
- 動画 - じゃんぐるじむ、京都アニメーション、夢弦館、ベガエンタテイメント、スノーライトスタッフ、テレコム・アニメーションフィルム、マッドハウス、OH!プロダクション
- 仕上 - ライトフット、シマスタジオ、京都アニメーション、トレーススタジオM、Production I.G、スタジオロード、マッドハウス
- 仕上検査 - 松谷早苗、稲村智子
- 美術補 - 野村可南子
- 背景 - アトリエローク、スタジオユニ、スタジオテイクワン
- 撮影 - 旭プロダクション
- 撮影協力 - 東京アニメーションフィルム
- CGI - つつみのりゆき
- 効果 - 松田昭彦(フィズサウンドクリエイション)
- 録音スタジオ - APUスタジオ
- ミキサー - 田中章喜
- アシスタントミキサー - 山本寿、大城久典、内山敬章、田口信孝
- 音響制作 - オーディオプランニングユー
- 音響制作デスク - 小澤恵
- 音響演出アシスタント - 嶋澤みどり
- 音楽協力 - 斎藤裕二(イマジン)
- 編集 - 小島俊彦、中葉由美子、村井秀明、川崎晃洋、三宅圭貴
- タイトル - 道川昭
- 現像 - 東京現像所
- 技術協力 - 森幹生
- 制作デスク - 魁生聡、和田泰、山川順一
- 制作進行 - 齋藤敦、永居慎平、高橋渉、別紙直樹
- 制作 - シンエイ動画、テレビ朝日、ASATSU
原画
- 湯浅政明 大塚正美 吉原正行 安藤真裕 高倉佳彦
- 林静香 佐々木守 清水洋 尾鷲英俊 鈴木大司
- 吉田忠勝 末吉裕一郎 大森孝敏 針金屋英郎 林隆文
- 千葉ゆみ 和泉絹子 石井智美 荒川真嗣 黒沢守
- 橋本とよ子 松下佳弘 間々田益男 入江康智
- 木村陽子 若松孝思 石黒めぐむ 福本勝 西尾あき子
- 西山里枝 高木潤 神本兼利 小田多恵子 星野守
- 原勝徳 堤規至