W-VHS

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テンプレート:ディスクメディア W-VHSは、1993年(平成5年)1月8日、日本ビクター(現・JVCケンウッド)から発表された民生用アナログビデオ規格である。HD(高精細)、SD(標準画質)記録が可能で、VHS規格の上位規格として策定された。

概要

VHS規格シリーズの特徴に上位互換性が保証されていることがある。このためW-VHSはVHSS-VHSなどのテープの再生・録画が可能となり、過去のライブラリーが有効活用できる利点がある。W-VHSテープに記録されたHD・SD映像は通常のVHS・S-VHS・D-VHSデッキでは正常に再生できないばかりか、カセット構造が異なるため、VHS・S-VHS・D-VHSデッキに無理に挿入すると故障の原因となる。

W-VHSは記録の方式やシステムについてはVHS方式を基本にしているが、テープはより高出力を求めメタルテープを採用し、カートリッジも防塵タイプにした[1]。記録モードはハイビジョン記録が可能なHD[2]、アナログ地上波放送などNTSC信号録用のSD、およびNTSC信号の2チャンネル同時録画が可能なSD2(同期信号を2つのSD映像間で同期させる必要がある)[3]がある。また、テープへの記録方式はMUSEではなく、ベースバンド方式なので、MUSEハイビジョン放送をデッキ単体で録画できないが、録画した映像はハイビジョンテレビに接続するだけで再生できる。NTSC信号の記録モードであるSDモードは、ハイビジョン180分用のテープで540分記録することができる。このときの記録周波数は輝度信号6.5MHz、色信号1.5MHz(HR-W1ベースの機種は1MHz)までとなっている。かつHDモードと同様に輝度信号と色信号をテープ上で別々の領域に記録するTCI方式を採用しているため、輝度と色の干渉がほとんど無く、メタルテープ化によるS/Nの向上もあってS-VHSと比較しても相当な画質向上が図られていた。そのため、ハイビジョン録画を行わないユーザー・業者も、高画質なNTSC信号記録機器として導入する例が見られた。

規格制定当時は、将来の主流放送としてハイビジョンを想定していたが、アナログ方式のハイビジョン放送受信方式に対応したテレビ・MUSEデコーダー・ビデオデッキいずれもSDのみ対応のテレビやノーマルVHS/S-VHSと比べてたいへん高額であり普及しなかったことから、民生用W-VHSビデオデッキは日本ビクターが2機種(HR-W1, HR-W5、いずれもSD2未対応)出しただけで終わった(松下日立よりOEM製品も発売された)。2000年(平成12年)にはBSデジタル放送の開始に合わせて実質的な後継規格であるD-VHSが日本でも登場している。業務用としては放送局・制作プロダクション向けに加え、医療用(手術の記録等)として病院向けにも販売された。

2007年(平成19年)にMUSEアナログハイビジョン放送(BS-9ch)が終了した為、W-VHS方式は役目をほぼ終えたと言えるが、別途BSデジタル放送地上デジタル放送対応テレビやチューナー、CATV用デジタル放送対応セットトップボックス等を接続すれば、より高画質(ほぼハイビジョン画質)で記録・再生することが可能である。ただし、アナログハイビジョンの記録用途を想定して規格化されたため、有効水平走査線数が1032本であり、デジタルHDTVの1080本のうち1032本分しか記録できない。W-VHS専用テープは現在でも120分の物をビクターアドバンスドメディアが製造・販売しており、放送局制作プロダクションなどによっては、W-VHSが機材のひとつとして現役で活用されている場合もある。

関連項目

外部リンク

脚注

  1. D9ビデオ(Digital S)とテープに互換性があり、64分のD9テープで105分W-VHSでは記録できる
  2. ただし、輝度信号で13.3MHzまで、Pb,Pr式差信号で4MHzまでの記録となる
  3. SD2モード搭載のW-VHSビデオデッキとして、HR-SD201(VICTOR)があった。2カメラ2アングル撮影記録による医療用途をはじめとした各種立体映像制作や、スポーツ動態分析などの業務用である。
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