RYU FINAL

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:Sidebar with collapsible listsRYU FINAL』(リュウ・ファイナル)は、中平正彦による日本漫画作品。1997年から1998年にかけて『ゲーメスト』(新声社)で連載された。正式タイトルは『STREET FIGHTER III RYU FINAL -闘いの先に-』。

概要

カプコン対戦型格闘ゲームストリートファイターIII』を原典として、作者の中平が独自に構成した漫画化作品。『ストリートファイター』シリーズを通して主人公的存在であった、リュウの物語の結末が描かれているが、作者の中平の過去作品『ストリートファイターZERO』『さくらがんばる!』の続編に当たるため、それに準じた設定や描写も盛り込まれている。

単行本

新声社・ゲーメストコミックス
新声社の倒産以後は入手困難。巻末には、『特別番外編』として『さくらがんばる!』に登場する神月かりんを主役とした描き下ろし漫画『THE KANZUKI〜万事において常に勝利者であるべし〜』が収録されている。
  1. 『天の巻』1999年2月10日 ISBN 4-88199-583-9
  2. 『地の巻』1999年3月10日 ISBN 4-88199-584-7
SJR(集英社コンビニコミック
『ストリートファイターII-3』2007年5月7日 ISBN 978-4-08-109397-7
上記の『THE KANZUKI〜万事において常に勝利者であるべし〜』は、先に発売されたSJR『ストリートファイターII-2』(『さくらがんばる!』の再録)に収録されたため、こちらには収録されていない。2012年11月2日には、『ストリートファイター』シリーズ25周年記念として第2刷の発売が行われた。

あらすじ

日々修行を続けるリュウの目指す「真の格闘家」への道は、未だ見えずにいる。そんな折、同門として育った親友であるケン・マスターズは、リュウより先に「真の格闘家」への道を見つけていた。ケンが見つけた答えは家族のために拳をふるうことであり、一人では手に入れることのできない力だという。

自分は何のためにこの拳をふるうのか、迷いつつもリュウは旅を続けるが、その途中で謎の仙人オロと出会い、彼に導かれる形で巨人レスラーのヒューゴー、若き拳法家の兄弟ユンヤンらと拳を重ねていく。そしてボクサーの強敵ダッドリーとの闘いで、ついに一撃必殺の境地「風の拳」へ辿り着く。相手を「倒す」ためではなく相手に「勝つ」ための力、それがリュウの見つけた「真の格闘家」の答えだった。

かつて「倒し」た相手サガットとの再戦を果たし、リュウは最後の闘いへ赴く。その相手はリュウの知る唯一の「真の格闘家」であり、同時に「殺意の波動」という死と破壊をもたらす力の使い手ゴウキであった。リュウは「殺意の波動」へ至る道を断ち切るため、すべての始まりの場所「朱雀城」跡でゴウキと雌雄を決することとなる。

死闘の末、リュウは重傷を負いながらゴウキの奥義「瞬獄殺」を破り、風の拳で勝利する。自らの「殺意の波動」に呑み込まれながら崩壊していくゴウキは、リュウに「子」を、すなわち次の世代を運び育むよう言い残して消滅する。それと同時にリュウも力尽き、ここに彼の旅は結末を迎える。

そして時は流れる。若者アレックスは、かつてリュウと闘い打ちのめされ、それでも自分の中に残ったもの、それが何かを知るためにもう一度彼と会うことを望んでいた。それを見たケンは、リュウの鉢巻をアレックスに託し、朱雀城跡へ向かうことを勧める。そこでアレックスが見たものは、雄々しく悠然とたたずむリュウの姿だった。リュウがアレックスに語りかけるところで、物語は幕を下ろす。

登場人物

リュウ
「真の格闘家」への道を追い求める男で、本作の主人公。さまざまな相手との出会いで、「真の格闘家」への道を見つけていく。
ケン・マスターズ
リュウにとって親友でもあり、ライバルでもある。妻イライザや息子メルと共に登場する。
ショーン
ケンの弟子になった若者。
ギル
歴史を裏から支配する秘密結社の総統。闘いの中、神を自称するほどの力でケンを一度は地に伏させるが、強い父であってほしい家族の思いを力として「真の格闘家」への道を見出した彼に倒される。
オロ
ひょんなことからリュウの師匠役を買って出る、仙人を自称する老人。リュウの荷物を狙う形にて彼を片手で軽くあしらったほどの強者であり、リュウの旅に同行して彼を導いた後、ゴウキとの最終決戦を見届ける。
ポイズン
ヒューゴーのマネージャー。
ヒューゴー
立派な男になって母と再会する夢を抱いている巨漢。マネージャーのポイズンと共にストリートファイトをしながら、旅を続けている。本作ではリュウの数倍の巨躯であり、彼の身体を片手のみで掴んで放り投げることもできる。リュウと互角の闘いを繰り広げた後はサガットに挑むが、敵わずに倒される。
ユンヤン
武者修行の旅をしている功夫(クンフー)使いの兄弟の兄弟。ユンは自分の力をまっすぐにぶつけ、ヤンは工夫を重ねながら続けざまにリュウへ挑むが、共に軽くあしらわれて倒される。
ゴウキ
「殺意の波動」の使い手で、リュウが越えるべき存在。物語終盤、それまでの闘いの旅によって成長を遂げたリュウと朱雀城跡で死闘を繰り広げる。リュウの相手を「倒す」ための技はすべて通じず、圧倒的な力で彼の肉体を破壊していくが、「勝つ」ための技である風の拳を受けて倒される。殺意の波動によって自壊していく中、リュウに次の世代を育むよう言い残して消滅した。
作中ではリュウの血縁者とも受け取れるような描写が盛り込まれているが、作者の中平はそう取れるよう描いたことを後に認めている。
ゴウケン
リュウとケンの師匠で、ゴウキの兄。かつてゴウキとの戦いで命を落とした。
ダッドリー
完成された実力を持つボクサーの紳士。本作では「風の拳」の境地を目指すリュウにとって重要な相手であり、それによって彼は境地へ辿り着くこととなった。
エレナ
アフリカに暮らす少女。リュウがダッドリーとの闘いの中、彼の庭に生えていた大樹を通じて対話することとなる。
サガット
かつて「帝王」と呼ばれたムエタイ使いだったが、リュウの「殺意の波動」と昇龍拳によって倒される(ゲーム『ストリートファイター』でのストーリー)。現在でもリュウにとっては手強いライバルの一人。
本来『ストリートファイターIII』には登場しないが、本作ではリュウから受けた敗北を克服するまでが2話に渡って描かれている。ゴウキとの最終決戦を前に現れたリュウとの闘いで、昇龍拳を再び受けることによってかつての敗北を克服し、彼の成長を見届けた。
アレックス
ゲーム『ストリートファイターIII』の本来の主人公。本作での登場は最終話のみだが、ゲームの副題『NEW GENERATION』にふさわしく、旧世代であるリュウからバトンを受け取る役割を担う。

備考

  • 本作が連載されていた『ゲーメスト』は誤植が多く、本作も連載開始の告知で「中平正彦宣誓執筆!」(正:中平正彦先生執筆!)、物語中盤のダッドリーの台詞で「体勢を大きく崩す蹴り技など不様!」(正:体勢を大きく崩す蹴り技など不要!)、最終話のリュウの台詞で「確かてみろ!」(正:確かてみろ!)などと誤植されていた。どの台詞も単行本では修正されているが、「確かみてみろ!」については後年、これをデザインに盛り込んだTシャツが発売されている[1]
  • 作中、ケンが語るゴウケンとゴウキの対決場面は『ストリートファイターZERO』で語られるものとは若干違っている。
  • 新声社の単行本版『RYU FINAL』の題字は、漫画家の琴義弓介が担当している。

脚注

テンプレート:Reflist

テンプレート:StreetFighter

テンプレート:Asbox
  1. GAMEST Generation 確かみてみろTシャツ |アルカディ屋