RAINBOW RAINBOW
『RAINBOW RAINBOW』(レインボー・レインボー)は、日本の音楽ユニットであるTM NETWORKのファースト・アルバム。
背景
アルバムタイトルの由来は、虹の7色では収まりきらないバラエティー豊かなアルバムにしたいということから名付けられた。
録音
利用したレコーディングスタジオは、当時活動していたフォークシンガー達から「使えない」と見限られていた場所だった。小室は「小さなボーカルブースに何度も出入りして、殆どミキシング・コンソールを通さずにテープレコーダーに直接録音する」「リズムはスネアドラムを借りて録る」「一人の声を4回重ねる」「環境の悪さが原因でノイズが入ったら、逆相で打ち消そうとその声域のノイズを入れる」等様々な工夫を凝らした。その経験から、小室は「『そのスタジオにある機材で何が出来るか』という実験性・遊び心を身に着けた」と回想している。
小室の意向により「カリビアーナ・ハイ」のように打ち込みでなくバンドスタイルでレコーディングしたいという意図があった曲では、何人かのミュージシャンが参加している。クレジットには明記されていないが、北島健二、阿部薫等その後のTM NETWORKに欠かせないサポートメンバーが参加している。
「1/2の助走」では有名なサックスプレイヤーが参加していたが、間奏のわずか8小節部分だけであったにも関わらず、リハの際、自分が納得いくまでフレーズを吹きなおしていた為、なかなか録音に入れず、ブース外にいた小室が木根に「ねぇ、もう(このフレーズで)いいよね?」と呟いたという。
アルバム収録の際にボツとなった「OPEN YOUR HEART」はその後1989年に小室のソロアルバム「Digitalian is eating breakfast」収録の「OPERA NIGHT」としてメロディーを付け足し、歌詞、アレンジを変えて発表されている。お蔵入りしていたTMバージョンについても1994年発売のベストアルバム『TMN RED』に収録され日の目を見ることになった。それ以外にも「QUATTRO」「17 to 19」「HAPPY BIRTHDAY YOUR POINT」「LOVIN’YOU」「悲しき16才」などボツとなった曲があり、最終的には9曲に絞られた。
アートワーク
当時はシングル、アルバムの同時リリースでデビューする事自体が破格の扱いだったのもさる事ながら、ワニのお面を被った少女のジャケットが印象的であり、アーティスト自身が登場していないジャケットデザインは業界でも異例の事だったという。ちなみに、その少女は後に1993年に宇都宮隆のソロツアーにコーラスとして参加したYURIAの妹である。ジャケット撮影を浜松の海岸で行う際に、駅で5時間も待たされ寒い思いをしたため、「モデルの仕事を辞める」と言ってやめてしまったことが、宇都宮の単行本に収録されているYURIAのインタビューに書かれている。
収録曲
テンプレート:Tracklist テンプレート:Tracklist
曲解説
- カリビアーナ・ハイ - CARIBBEANA-HI
- 収録はこのアルバムのみ。
- クロコダイル・ラップ (Get Away) - GET AWAY
- 収録はこのアルバムのみ。
- 1/2の助走 (Just For You And Me Now) - JUST FOR YOU AND ME NOW
- 1974 (16光年の訪問者) - 1974
- 冒頭に英語での会話が挿入されているが、後にシングルカットされた際にはカットされている。
- クリストファー - CHRISTOPHER
- 収録はこのアルバムのみ。
- イパネマ'84 - IPANEMA'84
- 収録はこのアルバムのみ。
- 金曜日のライオン (Take it to the Lucky) - TAKE IT TO THE LUCKY
- 表記は特に無いがシングル版と異なり、イントロ、リフレインがシングル版では「2サビ→1サビ→フェードアウト」に対し、「3サビ→2サビ→1サビ→フェードアウト」と全体的に長くなっているなど、別バージョンとなっている。
- RAINBOW RAINBOW (陽気なアインシュタインと80年代モナリザの一夜) - RAINBOW RAINBOW
- アルバムタイトルとなった曲。ベストアルバムであるGIFT FOR FANKSなど後のアルバムにも多数収録されている。
- パノラマジック(アストロノーツの悲劇) - PANORAMAGIC
- インストゥルメンタルバージョンがTBS天気予報において使用されている。
スタッフ・クレジット
TM NETWORK
スタッフ
- 小坂洋二 - エグゼクティブ・プロデューサー
- 松村慶子 - スーパーバイザー
- 伊東俊郎 - エンジニア
- 大森正人 - サウンド・エンジニア
- TOMOYUKI KAIHARA - サウンド・エンジニア
- 笠井鉄平 - マスタリング・エンジニア
リリース履歴
No. | 日付 | レーベル | 規格 | 規格品番 | 最高順位 | 備考 |
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1 | 1984年4月21日 | EPIC・ソニー | LP CT CD |
28・3H-117 28・6H-100 35・8H-11 |
71位 | |
2 | 1987年7月1日 | EPIC・ソニー | CD | 32・8H-126 | - | |
3 | 1991年9月5日 | EPIC・ソニー | CD | ESCB-1208 | - | |
4 | 1996年6月17日 | EPIC・ソニー | CD | ESCB-1751 | - | |
5 | 2000年3月23日 | エピックレコード | CD | ESCB-2113 | - | |
6 | 2004年3月31日 | エピックレコード | CD | ESCL-2521 | - | CD-BOX『WORLD HERITAGE DOUBLE-DECADE COMPLETE BOX』(完全生産限定盤)収録 紙ジャケット、24bitデジタルリマスタリング仕様 |
7 | 2007年3月21日 | ソニー・ミュージックダイレクト | CD | MHCL-1034 | - | 紙ジャケット、デジタルリマスタリング仕様(完全生産限定盤) |
8 | 2013年2月20日 | ソニー・ミュージックダイレクト | Blu-spec CD2 | MHCL-30007 | 215位 | デジタルリマスタリング仕様 |