ミニミ軽機関銃
テンプレート:Infobox ミニミ軽機関銃(みにみけいきかんじゅう/MINIMI)は、ベルギーの国営銃器メーカー、FN社が開発した、5.56x45mm NATO弾を使用する軽機関銃である。
概要
同社のFN MAGを元に、銃本体の重量を軽量化することにより機関銃手一人当たりの携行弾数を増加させる事に成功した。日本やアメリカでは分隊単位に配備され、火力支援に使用される。給弾方式はベルトリンク送弾の他にSTANAG マガジンを使用することも可能。冷却は空冷式で、銃身交換も容易である。
ミニミ(MINIMI)とは、フランス語で「小型機関銃」を意味する「MINI Mitrailleuse」ミニ・ミトラィユーズ)を略したものである。
二脚(バイポッド)が標準装備されており、簡単に携行できる分隊支援火器(SAW=Squad Automatic Weapon)として使用されるほか、アメリカ陸軍や陸上自衛隊では三脚(トライポッド)を付けて使用することもある。
ソマリアやイラクにおける各種作戦でも多用され、信頼度と射撃性能について優れた評価を受けている。
特徴
分隊の支援火器として、また、歩兵と同じ弾薬を共用できる軽機関銃として設計された。このことからM27弾帯からの給弾のほか、M16や89式5.56mm小銃をはじめ、NATO加盟国を含み広く採用されているSTANAG マガジンを装填しての射撃が可能となっている。切り替えの際に特別な操作は不要で、弾倉を装填するだけで使用できる。STANAG マガジン用の装填口には、ダストカバーを兼ねた弾倉止めが備わる。ただし、自衛隊では空包による射撃訓練ができなくなるため、使用されていない。
銃弾の薬室への装填は、ベルト式給弾方式の場合は引き金を引くと同時に遊底が前進し、それに合わせるように装填機能により給弾が開始されベルトリンクから弾が1発ずつ押し出され薬室に押し込まれ、遊底で固定され遊底内にセットされた撃針が雷管を叩いて銃弾が発射される。弾倉方式の場合は遊底部分が直接弾を押し出し薬室に装填される。
斜めに固定されたキャリングハンドルは、銃本体の運搬のみならず、銃身交換の際にも用いられる。このハンドルによって、射撃直後の銃身が熱せられた状態でも耐熱手袋などを必要とせずに交換が可能となった。銃身は交換レバーを押し下げ、銃身を前方へ引き抜く動作のみで外すことができる。
リアサイトにはつまみが二つ付いており、前部のつまみを回すと左右に、後部のつまみを回すと上下にそれぞれ照門が移動する。
銃把(グリップ)上部に押しボタン式の安全装置が備わる。右側に押し出す(左側から押す)と安全装置がかかり、左側に押し出す(右側から押す)と解除となる。射撃は連発(フルオート)のみ。
二脚を標準装備し、長さ調節は三段階。下部被筒内部には専用の手入れブラシや分解のための工具が収められている。
アメリカ軍やカナダ軍ではピカティニー・レールを装備し、Elcan社M145やACOGなどの倍率付きスコープ、エイムポイント社やEOtech社の光学照準器を標準的に装着している。また、日本の陸上自衛隊でもフィードカバー上部に固定式のマウントベースを装着し、専用の直接照準眼鏡(スコープ)を搭載する場合がある。
なお、全てのM249にはMILES(レーザー戦闘シミュレーションシステム)用のレーザー装備を取り付けることができる。また、サードパーティー製のサプレッサーを取り付けることもでき、ジェムテック(Gemtech)製のものはNATO標準のフラッシュハイダーに取り付けられるように設計されている。しかし、実際にこれを取り付けると持続射撃でサプレッサーがオーバーヒートを起こすため、あまり取り入れられてはいないようである。
- CSA-2006-01-12-095303 M249SAW.jpg
ピカティニー・レール・短銃身・伸縮式ストックモデルM249
- M249 with Mk46 stock.jpg
派生型 専用ストック・EOtech社製ホロサイトを装着したM249
- Canadian C9A1 LMG.JPG
Elcan C79スコープを取り付けたC9を使用するカナダ軍兵士
- Belt fed machine gun.jpg
ベルトリンクにより繋がれた弾丸をフィードパンに乗せた様子]]
- Evers M249SAW& FN Minimi feeding.svg
射手側から見た、STANAGマガジン(左)またはベルト(右)による給弾装置の位置関係
派生型
テンプレート:Seealso ミニミには様々なバリエーションが存在し、また、ミニミを参考・模倣した軽機関銃の開発も行われた。
- M249 Para
- 空挺バージョン。折り畳みストック(銃床)と短いバレルが特徴。空挺部隊用として、色々な戦闘局面に対応できるようコンパクトに設計されている。
- M249E4
- M249をベースにしたFNミニミ・特殊用途火器(SPW=Special Purpose Weapon)で、ピカティニー・レールをフィードカバーの上に取り付け、フォアグリップを装着し、銃身を短くして、空挺スタイルの折りたたみストックM5に改修したバージョン。その他の特徴として、軽量化のため、M16マガジン用ポート・三脚装着用金具・二脚を廃止した。
- Mk46 Mod 1
- アメリカ特殊作戦軍(USSOCOM)が採用したもので、M249E4と似ているが、改良されたレール型ハンドガード、ショルダーレストがなくM249E4のM5ストックよりも軽い標準タイプの固定式ストックなどの違いがある。MK43 Mod 0(M60E4 SEALsモデル)とは別物。
- Minimi.jpg
MINIMI Para
- U.S. Army Ranger, 2nd Battalion, 75th Ranger Regiment providing Overwatch in Iraq 2009.jpg
Mk46を装備した第75レンジャー連隊の隊員
- M249mg.jpg
プラスチック製固定ストックモデル
- MK48 Mod0
- ミニミの7.62x51mm NATO弾仕様タイプ。アメリカ海軍特殊部隊(Navy SEALs)など少数にて潜入任務などをこなす特殊部隊は、少数対多数の戦いになる事が多く、従来の5.56x45mm NATO弾仕様のミニミ(M249)では威力不足とされ、また、汎用機関銃であるFN MAG機関銃(米陸軍名M240)では少人数で作戦行動するには大きく重すぎ負担が大きいため、米特殊作戦軍(USSOCOM)の要請のもと作製されたモデル。2001年に制式採用され、2003年からMK 48の正式名称でNavy SEALsに配備された。
- 元々FNミニミ機関銃は、小型軽量の軽機関銃を求める英国特殊部隊SASの要請に応え開発が始められ、当初は7.62x51mm NATO弾を使用する試作軽機関銃として開発されたものであった。この試作軽機関銃は、耐久性や持続連射時間が不足しているとされ制式採用されなかったが、その後米陸軍が求めた5.56x45mm NATO弾仕様の分隊支援火器向けに、当該試作軽機関銃をスケールダウンしたモデルを提案したところ、M249として制式採用されたという経緯があった。そのため、FNハースタル社は、過去の試作段階で7.62x51mm NATO弾を使用する軽機関銃に関する開発データを蓄積しており、これを活用してUSSOCOMの要請に素早く対応することが出来た。
- Mk 48機関銃の基本的な内部構造はM249とほぼ同一であり、作動機構はガス圧利用(ロングストロークピストン方式)、ロータリーボルト式である。斜めに取り付けられたキャリングハンドルにより銃身交換も可能である。M249と異なり、弾倉給弾機能が省略され、金属製リンク(M13 リンク)によって連結された弾薬をベルト給弾する。
- Mk 48 PEO Soldier.jpg
Mk48
- MSPO2007-41.jpg
7.62mm弾使用モデル
- 大宇 K3
- M249をベースに、大宇 K2との部品の共有などで互換性を高めたモデル。韓国陸軍の要求でFN社が設計テンプレート:要出典し、S&T大宇が製造している。
- IMI Negev
- イスラエル・ミリタリー・インダストリーズ社が設計した分隊支援火器・軽機関銃。FN MAGとMINIMIの構造を参考とした。
各国の採用状況
- テンプレート:Flagicon アイルランド
- テンプレート:Flagicon アフガニスタン
- アフガニスタン国軍がM249を採用している。
- テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
- M249の名称で、1984年にアメリカ陸軍に採用された。アメリカ海兵隊でも、分隊レベルでの支援火器として積極利用しており、特に4-5人で編成される沿岸偵察チームには必携となっている。熱対策のため、銃身上部にカバーを追加する改良が施されている。
- 10年以上使われ続けたために機械強度が低下しているものが多いという評価があるが、実際は採用された時の基本設計から様々な改良が加えられ現行では第4世代であるため、現在ではもっとも進化しているであろうタイプでもある。
- また、多くのM249がフィードカバー上へのピカティニー・レール取り付け改造を施された。これで、M68エイムポイントのような、市販の昼夜共用の光学スコープや、低倍率スコープを取り付けることができるようになった。さらに一部のM249は、初期装備のプラスチック製固定ストックから、金属チューブ伸縮式ストックに改修された。
- アメリカ海兵隊は、分隊支援火器としてM27 IARを採用し、M249と部分的に置き換えている。M249は継続して使用され、その使用は中隊長クラスの判断による。
- SAWとしてはL108A1として、空挺用(Para)としてはL110A1としてイギリス陸軍で使われている。軽支援火器とGPMG(汎用機関銃:General Purpose Machine Gun)の中間の武器として採用された。特に、4人編成の分隊ではParaバージョンが重用されている。これらには、CWS(Common Weapon Sight)という、昼夜共用の光学サイトが多用されている。
- テンプレート:Flagicon イスラエル
- イスラエル国防軍(IDF)は、最初にミニミを5.56mm版SAWとして採用し、その品質を実戦で確かめた。限られた数のミニミが1990年代前半に購入され、南レバノンで実戦に使用された。ミニミは確実に動作し、高い評価を得たが、1995年にイスラエル独自開発のIMI ネゲヴ(Negev)5.56mm軽機関銃が、よりイスラエル国防軍の要求に合致するものとして採用された。
- テンプレート:Flagicon イタリア
- イタリア軍が採用している。供給はベレッタ社。
- テンプレート:Flagicon インドネシア
- テンプレート:Flagicon オーストラリア
- F89として現地生産したものがオーストラリア陸軍に採用された。特徴として、ピカティニー・レールと、1.5倍光学サイト(スコープ)が取り付けられ、また、フラッシュハイダーが長くなっている。9名からなる分隊が2丁を携行している。また、少数の空挺バージョンが、空挺部隊により使われている。
- テンプレート:Flagicon オランダ
- オランダ陸軍が歩兵用のFN MAGの代替機関銃として採用した(FN MAGは車両搭載用機銃として使われ続けている)。
- テンプレート:Flagicon カナダ
- C9としてカナダ統合軍地上軍に採用された。標準的に製造されたミニミに金属製伸縮チューブ式ストックを付けたもの。C9A1は、ピカティニー・レールが採用され、3.4倍のElcan C79スコープが取り付けられるようになっている。C9A2は銃身が短くなり、部品に緑系の迷彩塗装が施され、プラスチック製マガジンの代わりに布製のマガジンとなり、M4カービンのようなテレスコピック・ストックと、折りたたみ可能なフォアグリップが取り付けられ、標準でレーザー照準デバイス(LAM/LAD)が取り付けられている。
- テンプレート:GRE
- ギリシャ陸軍と特殊部隊にて採用。
- テンプレート:SUI
- LMg 05(Leichtes Maschinengewehr 05)もしくはFM 05(Fusil mitrailleur 05)の名で呼ばれる。
- テンプレート:Flagicon スウェーデン
- Ksp 90としてスウェーデン陸軍が採用している。
- テンプレート:Flagicon スペイン
- スペイン海軍がParaを採用している。通常の5.56mm NATO弾のほか、7.62mm NATO弾が使用できるモデルも採用。
- テンプレート:SRI
- テンプレート:Flagicon スロバキア
- スロバキア軍がParaを採用している。
- テンプレート:SRB
- テンプレート:Flagicon タイ
- テンプレート:ROC-TW
- 細部に独自改良を加えた物をT75の名で採用している。
- テンプレート:Flagicon パプアニューギニア
- F89の名で使用している。
- テンプレート:Flagicon ハンガリー
- 特殊部隊でSAWを採用している。
- テンプレート:PHI
- フィリピン軍が2002年に採用。
- テンプレート:Flagicon ペルー
- ペルー海軍で採用。
- テンプレート:MAS
- マレーシア陸軍がHK11A1機関銃の後継として採用している。
- テンプレート:Flagicon ニュージーランド
- C9としてニュージーランド陸軍が採用している。また、7.62mm仕様のミニミ7.62 T.R.を7.62 LSW Minimiとして2013年より採用した。
- テンプレート:Flagicon ネパール
- ネパール陸軍は5,500丁のミニミを使用している。2002年7月11日にベルギー政府により供給された。
- テンプレート:Flagicon ノルウェー
- 1980年代後半ごろより採用。
- テンプレート:Flagicon 日本
- 概要
- 住友重機械工業がライセンス生産を行い、「5.56mm機関銃MINIMI」の名称で自衛隊が採用している。陸上自衛隊では62式7.62mm機関銃の後継として1993年度予算から調達を開始し、2011年度予算までに4,456丁を調達している。調達価格は約200万円である。
- 陸上自衛隊だけではなく、航空自衛隊では基地警備隊やUH-60Jの自衛用火器として、海上自衛隊では護衛艦の搭載火器として調達されている。ライセンス生産されたMINIMIは62式の三脚を装着可能[1]で、精密な射撃を要求される際に使用される。さらに長距離の射撃の際には「直接照準眼鏡」(スコープ)を装着する場合もある[2]。また、微光暗視装置を装着する例もある。
- 自衛隊が採用したのは金属チューブ製の銃床を備える所謂スタンダード型で、銃本体側面に「5.56mm機関銃MINIMI」との刻印が入る[3]。銃身上部にヒートカバー(上部被筒)が取り付けられているのが外見上の特徴。なお、このカバーはアメリカ軍と同様に採用後に装備されるようになった後付け品であるが、中央の列の放熱口が7つ(従来品は8つ)あるなど、形状が異なる。
- 2013年12月18日、防衛省は過去数十年間に渡り検査データを改ざんし、要求性能に満たない機関銃を防衛省に納入したとして、製造元の住友重機械工業を指名停止処分にしたと発表した[4]。改ざんは1979年以降、少なくとも5,350挺、12.7mm重機関銃、7.62mm機関銃、5.56mm機関銃の3種類が納入されたとされる。
- 調達数
予算計上年度 | 調達数 | 予算計上年度 | 調達数 | 予算計上年度 | 調達数 |
---|---|---|---|---|---|
1993年(平成5年)度 | 96丁 | 2003年(平成15年)度 | 267丁 | 2013年(平成25年)度 | 188丁 |
1994年(平成6年)度 | 146丁 | 2004年(平成16年)度 | 252丁 | 2014年(平成26年)度 | 0丁 |
1995年(平成7年)度 | 192丁 | 2005年(平成17年)度 | 343丁 | ||
1996年(平成8年)度 | 177丁 | 2006年(平成18年)度 | 348丁 | ||
1997年(平成9年)度 | 141丁 | 2007年(平成19年)度 | 416丁 | ||
1998年(平成10年)度 | 184丁 | 2008年(平成20年)度 | 356丁 | ||
1999年(平成11年)度 | 157丁 | 2009年(平成21年)度 | 405丁 | ||
2000年(平成12年)度 | 174丁 | 2010年(平成22年)度 | 195丁 | ||
2001年(平成13年)度 | 202丁 | 2011年(平成23年)度 | 212丁 | ||
2002年(平成14年)度 | 193丁 | 2012年(平成24年)度 | 200丁 | 合計 | 4,844丁 |
- JGSDF Minimi 20120422-02.JPG
諸外国の物とは形状の異なる、自衛隊独自のヒートカバー(上部被筒)
- Jgsdf minimi 20120923 01.jpg
フィードカバー上部左側に固定された直接照準眼鏡(陸上自衛隊)
- Jgsdf 5.56mm minimi 20120923 03.jpg
直接照準眼鏡を装着した5.56mm機関銃MINIMIのフィードカバーを開ける陸上自衛隊員
- テンプレート:TMP
- テンプレート:Flagicon ブラジル
- テンプレート:Flagicon フランス
- AAT-F1の名称でフランス陸軍内で広く使われている。
- テンプレート:Flagicon ベルギー
- ベルギー陸軍が基本型(名称はM2)とPara(M3)を採用している。
- テンプレート:LAT
- テンプレート:Flagicon ルクセンブルク