Keisuke Kuwata

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テンプレート:InfoboxKeisuke Kuwata』(ケイスケ・クワタ)は、サザンオールスターズボーカル桑田佳祐のソロデビューアルバム1988年7月9日発売。発売元はビクターTAISHITAレーベル

解説

最初の桑田佳祐名義のソロアルバムである。桑田はこれ以前にも嘉門雄三名義でソロアルバムを発売済みであるが、そちらは現時点でもCD化はされていない。先にシングル発売していた「悲しい気持ち (JUST A MAN IN LOVE)」(1987年)、「いつか何処かで (I FEEL THE ECHO)」を収録しているが、c/w曲は企画アルバム『フロム イエスタデイ』発売までアルバム未収録となっていた。なお、本作はベストアルバムTOP OF THE POPS』に収録された楽曲が最も多いアルバムでもある。

KUWATA BANDの活動中は、レコーディングはスタジオセッションで比較的短時間で仕上げ、ライブやテレビ出演も精力的に行ったものの、それらの活動が終わった後、KUWATA BANDでの活動に疑問を感じ、もうしばらくソロとしての時間が欲しい、今度はスタジオにじっくり篭って曲作りに専念したいという桑田の意向で制作は始まった。1987年から1年掛かりでレコーディングは続けられ、サザンのデビュー10周年の時期に重なる事となり、サザン復活の直後にソロアルバムリリースということになってしまった。

小林武史が全面プロデュースを務めており、この時から桑田と小林のレコーディング体制が始まっている。この頃からサザンオールスターズ本体の編曲にも関わるようになり、1993年辺りまで参加していた。

桑田は「このアルバムで一番幸せだったのは、小林君というパートナーに出会えたこと」「このアルバムのシェフは小林君。素材桑田は気持ちよく仕事させていただきました。」と、小林を絶賛している[1]

桑田は、このアルバムでは詩の内容にも力を入れたといい、以前の作品のような語感重視の言葉遊びで終わらせるのではなく、洗練された内容の詩が多い。また、英語部分を前活動のKUWATA BANDの英語詩を担当していたトミー・スナイダーが全編に補作しているのも大きい。夫妻に長男、次男が生まれていた時期でもあり、子供の目線や子供へのメッセージをテーマにした曲もある。

このアルバムの制作時に桑田・小林・藤井の3人がお互いの主張を譲らないため、一時はアルバムの完成すらも危ぶまれたという逸話がある。

ジャケットには桑田のピカソ風の肖像画が使用され、歌詞カード内部や裏面にはレコーディングスタジオの風景が写されている。写真には桑田のほかプロデューサー兼サポートメンバーの藤井丈司小林武史も共に写っている。サザンや桑田関連の作品で、名義となるメンバー以外のサポートメンバーが写真に写っているのはこれが唯一である。現在は禁煙している桑田だが、本作では当時喫煙していたハイライトを吸う姿が写されており、机の上にもハイライトの箱が置いてある。なお、クレジットから確認できる通り桑田は本作ではギターを演奏していない。

キャッチコピーは『くちづさんでいるのは、彼です。』である。

1992年6月27日には企画アルバムフロム イエスタデイ』の発売に合わせて再発、2001年6月25日には7年ぶりのソロシングル「波乗りジョニー」リリースに合わせてリマスタリング盤が発売された。再発盤の初回出荷分には専用のスリーブケース付き。

収録曲

  1. 哀しみのプリズナー
    コーラスアン・ルイスが参加。なお、この仮イントロ部分が紆余曲折を経て1995年に桑田佳祐&Mr.Children名義でリリースした「奇跡の地球」へと変化したと言う。
  2. 今でも君を愛してる
  3. 路傍の家にて
    メジャーコード進行の明るいポップス路線の楽曲。韻を踏んでおり、英語を多用した語感重視の歌詞だが「利鞘」「乱売」など、社会風刺を連想させる言葉も登場する。フジテレビ音楽番組夜のヒットスタジオ』での演奏時には、あまりに歌詞が難解で聞き取りにくいため、それまで使われていなかった歌詞テロップを表示させている。
  4. Dear Boys
    ノスタルジックで子供の目線を取り入れた物憂げな楽曲で、バックにウクレレ音色口笛が響く。コーラスは原由子が参加している。
  5. ハートに無礼美人 (Get out of my Chevvy)
    ブラスセクションを大胆に取り入れた、このアルバムで最もプログレッシブでジャズィーな曲。最近の桑田のソロライブでも度々演奏されている。歌詞は都会的な大人の恋の駆け引きを歌っている。曲の終盤ではリズムが加速、転調し、怒涛の勢いで終わり、次曲のゆったりとしたシングル曲に繋がる。
  6. いつか何処かで (I FEEL THE ECHO)
    ソロ2ndシングル。イントロは小林武史のアレンジによって出来たものであると桑田が語っている。
  7. Big Blonde Boy
    いつか何処かで (I FEEL THE ECHO)」のC/w曲「SHE'S A BIG TEASER」のレコーディングにコーラスで参加したダリル・ホール&ジョン・オーツに逢った印象が歌詞になっている。コーラスには桑名晴子が参加している。
  8. Blue ~こんな夜には踊れない
    • ベストにも収録。サビ後で転調して、サビ前で再度元のキーに戻る。
  9. 遠い街角 (The wanderin' street)
    4拍子のピアノを基調としたノスタルジックで美しい曲。コーラスで竹内まりやが参加。桑田・原夫妻は竹内とその夫・山下達郎と共に夫婦ぐるみで交友が深い。山下達郎の「蒼氓」(アルバム「僕の中の少年」に収録)には、達郎含めた4人がコーラスで参加したこともある。フジフイルムCMソングになった。ベストにも収録。
  10. 悲しい気持ち (JUST A MAN IN LOVE)
    ソロデビューシングル。
  11. 愛撫と殺意の交差点
    歌詞の内容は恋愛ではなく政界や財界などへの風刺であり、サビの英語で「子供たちよ、自分達がしてきたことを真似しないでくれ」「自分達が死んだだあとはいい子になって」と締めくくっている。また、最後に桑田の息子が「オーライ」とコーラス(担当パートはShoutとして掲載)で参加している。コーラスで竹内まりやが参加。
  12. 誰かの風の跡
    本作で唯一他のサポートメンバーを用いず、桑田ら3人で製作した楽曲となる。ベストにも収録。
  • 全曲作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐、藤井丈司、小林武史

参加ミュージシャン

出典・参考文献

テンプレート:脚注ヘルプ

  1. 『ただの歌詩じゃねぇか、こんなもん '84-'90』新潮社、1990年)

外部リンク

テンプレート:桑田佳祐 テンプレート:オリコン週間アルバムチャート第1位 1988年