JTRAM

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JTRAMジェイ・トラム)とは、近畿車輛三菱重工業東洋電機製造で共同開発された、初の日本製独立車輪式台車を使用した超低床路面電車である。

2012年(平成24年)現在、国内の鉄道・軌道事業社で営業用に運行されているJTRAMは広島電鉄5100形のみであったが、2013年(平成25年)に広島電鉄1000形が登場した。(なお、試運転時は2両の内1両が近畿車輛・三菱重工業・東洋電機製造のラッピング電車であった[1]。 車両の詳細は広島電鉄5100形電車の項目に譲り、本項ではJTRAMの開発の歴史的背景と経緯、その意義等を中心に述べる。

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広電5100形の先頭車台車
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広電5100形の中間車台車

概要

JTRAMが登場する以前、日本国内での超低床車両は、アドトランツボンバルディア・トランスポーテーション)のGTシリーズ熊本市交通局9700形電車など)やシーメンスコンビーノ広島電鉄5000形電車)といった、ドイツ等の外国製の車両が中心となっていた。 これらの経験から、外国設計の車両では日本の環境にそぐわないという問題があり、また狭軌での超低床LRVの開発が求められ、2001年より、超低床エルアールブイ台車技術研究組合により、国土交通省の支援も得て、鍵となる独立車輪台車の技術開発が行われてきた。

超低床エルアールブイ台車技術研究組合参加企業
アルナ車両川崎重工業、近畿車輌、東芝、東洋電機製造、ナブテスコ日本車輌製造、三菱重工業の8社

これとは別に、アルナ工機(現アルナ車両)によってリトルダンサーシリーズが国産初の超低床車として開発されたが、これは従来の路面電車製造技術の延長線上と位置づけられる車両であり、外国製の超低床車両とはコンセプトが異なるものである。

コンセプト

2004年3月に組合が解散後、冒頭の3社では、Ultimate(究極の)、User friendly(利用しやすい)、Urban(都会的な)を意味する、「U3プロジェクト」を立ち上げた。完成直後はU3ALFAVehicle (Advanced Low Floor Articulated Vehicle=新型+低床+連接の車両 の意)という愛称であったが、後に現在のJTRAMという名称に変更された。

2014年1月段階で、広島電鉄5100形電車として10編成が製作、5車体3台車の連接構造であり、また、広島電鉄1000形(2代目)電車として4編成が製作、3車体2台車の連接構造となっている。 5100形の5車体3台車の構造は第1・5車体が運転席と客席を備え、動力つきの台車を装備した車両、第3車体が客席下に無動力のフリー台車装備の車両、第2車体と第4車体目は台車のないフローティング車体となっている。構造上の特徴は、中間車のフリー台車を動力台車とは別構造で設計し、またフローティング車体(第2・4車体)をロングシートとしたことにより、定員の増加と、外国形車両に比べて幅広い通路を確保することの双方を実現したことにある。

5100形の第1編成は2004年秋に完成し、試運転などの後、2005年3月30日に運行を開始した。その後、2005年度に3編成、2007年度に4編成、2008年度に2編成が納入され、広島電鉄の看板車両として市内線~宮島線直通系統を中心に運行されている。1000形は市内線で運行されている。

日本の路面電車の中ではかなりの大型車両であり、LRVの規範車両・看板車両として広く認知されている。

脚注

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関連項目

外部リンク

近畿車輛 JTRAM製品紹介

国土交通省 第4回「日本鉄道賞」の受賞者の決定について

  1. [1]